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第25回 お客様お悩み相談
経営・管理の3,000万円要件。資本金・出資・借入・設備投資はどう考えますか?
よくあるご相談
「3,000万円は全部自己資金で資本金にしなければいけませんか?銀行借入や設備投資を含めてもよいのでしょうか?」というご相談です。
先に結論
法人で経営・管理を申請する場合、公式Q&Aでは株式会社の払込済資本の額(資本金額)や持分会社の出資総額によって3,000万円以上の事業規模を確認するとされています。個人事業の場合は「資本金」ではなく、事業所確保、1年分の職員給与、設備投資等、事業に必要なものとして投下されている総額で確認します。法人と個人で計算の考え方が異なるため、借入金や設備費を一律に足せると考えないでください。
1.制度上の整理
在留資格「経営・管理」は2025年10月16日に上陸基準省令等が改正され、事業規模、常勤職員、日本語能力、経歴・学歴、事業計画等について新しい基準が施行されています。2026年現在は経過措置も併存しているため、新規申請と既存の在留者の更新を同じ基準で単純に考えないことが重要です。
2025年10月16日施行の新基準では、申請に係る事業の用に供される財産の総額として3,000万円以上の事業規模が必要です。法人の場合は資本金等、個人の場合は事業に投下されている総額で確認すると公式に示されています。
法人の「3,000万円」を、会社の銀行残高、借入金、売上、設備購入額を自由に足して満たす制度とは説明されていません。法人は登記事項証明書等で資本金・出資総額を確認します。
公式Q&Aでは、複数の会社の資本金等を合算して基準を満たすのではなく、申請に係る事業自体が基準に適合する必要があるという考え方です。資金の形成過程も不自然にならないよう説明資料を整えます。
2.このケースで確認したいポイント
• 法人か個人事業かを最初に分ける
• 法人なら登記上の資本金・出資総額
• 資金の出所(自己資金、贈与、借入等)を説明できるか
• 個人事業なら事業所・給与・設備等の投下額を証明できるか
• 増資後も事業運転資金を確保できるか
ここで重要なのは、項目を一つずつ切り離して考えないことです。申請書、届出、契約書、課税・社会保険資料、会社資料などに同じ事実が異なる形で現れます。日付・会社名・職務・収入・家族関係を時系列でそろえ、資料相互に矛盾がない状態を作ることが、追加資料対応や不許可リスクを減らす基本になります。
3.準備しておきたい資料
• 払込証明・通帳・登記事項証明書
• 資金形成・送金経路を示す資料
• 金銭消費貸借契約書等(借入がある場合)
• 個人事業の場合の事業所費・給与・設備購入資料
• 事業計画・資金繰り表
上記は典型的な確認資料であり、すべてのケースで同じ資料が法定必須という意味ではありません。出入国在留管理庁の公式提出書類を基礎にしつつ、個別事情を説明するために必要な補足資料を選びます。外国語資料には、審査上意味を持つ氏名・日付・金額・身分関係等を正確に反映した日本語訳を付けます。
4.行政書士として考える実務上の進め方
・法人・個人ごとの3,000万円の定義を確認する
・資金の出所と払込経路を時系列で整理する
・資本金だけでなく開業後の運転資金も計画する
・登記・銀行・事業計画・申請書の金額を完全に一致させる
申請を急ぐほど、先に結論を決めて資料を後付けしたくなりますが、順序は逆です。まず事実を確認し、現在の法令・公式運用に当てはめ、足りない資料と説明が必要な点を整理してから申請方針を決めます。特に在留期限や14日以内の届出期限がある場合は、期限管理と実体審査の準備を並行して進めます。
5.よくある誤解
「会社に3,000万円相当の資産があればよい」「借入を含めて口座残高が3,000万円なら法人の資本金要件を満たす」という単純な考え方は避け、公式の法人・個人それぞれの定義で確認します。
入管手続では、似た状況でも現在の在留資格、申請区分、経歴、会社・家族の状況によって結論が変わります。インターネット上の過去事例をそのまま自分のケースに当てはめず、申請時点の制度と事実関係で確認することが大切です。
よくある質問
Q1 3,000万円は外国人本人が全額出資する必要がありますか?
A 新基準の事業規模と、申請人本人の出資割合・経営実態は分けて確認します。会社の資本構成や申請人の経営権限を含めて説明します。
Q2 親から贈与を受けて資本金にできますか?
A 民事・税務上適切な贈与で、資金の形成・移動を客観的に証明できるかを確認します。名義借りや一時的な資金移動に見えないよう注意が必要です。
Q3 2社を経営していて各1,500万円なら合計3,000万円ですか?
A 申請に係る事業について基準を満たすことが必要であり、別会社の資本金を単純合算して考えるべきではありません。
行政書士へ相談した方がよいケース
• 在留期限・届出期限が近く、手続の優先順位が分からない
• 公式の提出書類一覧だけでは、自分の事情をどう説明すべきか判断しにくい
• 転職、失業、家族変更、会社の経営状況など申請後・前回許可後に事情が変わっている
• 過去の届出、税金、年金、社会保険、在留状況に気になる点がある
• 不許可を避けるため、申請前に事実と立証資料の整合性を確認したい
行政書士鈴木茂事務所では、単に書類をそろえるだけでなく、現在の在留資格、これまでの経緯、申請後の生活・就労計画を確認し、どの事実をどの資料で説明するかを整理します。許可を保証することはできませんが、申請前に論点を明確にし、入管に伝わりやすい形へ整えることができます。
まとめ
法人で経営・管理を申請する場合、公式Q&Aでは株式会社の払込済資本の額(資本金額)や持分会社の出資総額によって3,000万円以上の事業規模を確認するとされています。個人事業の場合は「資本金」ではなく、事業所確保、1年分の職員給与、設備投資等、事業に必要なものとして投下されている総額で確認します。法人と個人で計算の考え方が異なるため、借入金や設備費を一律に足せると考えないでください。
在留資格の手続は、制度を知るだけでなく、自分の事実関係を正確に当てはめる作業が必要です。少しでも判断に迷う事情がある場合は、期限直前ではなく、資料を集められる段階で相談することをおすすめします。
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主な公的情報源
・出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00237.html
・出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/businessmanager.html
※本記事は2026年10月6日時点で確認できる法令・出入国在留管理庁の公表情報を基に作成しています。制度改正、告示改正、運用変更等が行われることがありますので、実際の申請時には最新の公式情報をご確認ください。
【この記事の執筆・監修者】
申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。
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