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第27回 お客様お悩み相談
経営・管理に修士号か3年経験が必要になった?2025年改正後の経歴要件
よくあるご相談
「大学は学士卒で、会社経営の経験も2年しかありません。改正後は修士号か3年の経営経験がないと経営・管理を取れないのでしょうか?」というご相談です。
先に結論
2025年改正後の新規の経営・管理では、申請人の経歴について、経営・管理に関連する分野の博士・修士・専門職学位を有すること、または事業の経営・管理について3年以上の経験を有することという基準が導入されています。申請人がどちらのルートで要件を満たすかを確認し、学位の分野または実務経験の内容・期間を客観資料で証明します。
1.制度上の整理
在留資格「経営・管理」は2025年10月16日に上陸基準省令等が改正され、事業規模、常勤職員、日本語能力、経歴・学歴、事業計画等について新しい基準が施行されています。2026年現在は経過措置も併存しているため、新規申請と既存の在留者の更新を同じ基準で単純に考えないことが重要です。
新基準は、経営者の能力・経験を確認するため、一定の学位または実務経験を求めています。学士号があるだけで学位ルートを満たすとは限らないため、学位の種類と専攻を確認します。
実務経験ルートでは、単に会社員として3年以上勤務したことではなく、事業の経営または管理に関する経験であることを立証する必要があります。役職名、部下、決裁権、担当事業等を具体化します。
公式資料では、一定の起業準備活動として認められる期間を経験に含め得る取扱いも示されています。スタートアップ系の特定活動等を利用していた場合は、活動内容と期間を確認します。
2.このケースで確認したいポイント
• 取得学位が博士・修士・専門職学位に該当するか
• 専攻が経営・管理に関連する分野か
• 3年経験の開始・終了日と職務内容
• 肩書だけでなく実際の管理権限を説明できるか
• 海外職歴証明を勤務先から取得できるか
ここで重要なのは、項目を一つずつ切り離して考えないことです。申請書、届出、契約書、課税・社会保険資料、会社資料などに同じ事実が異なる形で現れます。日付・会社名・職務・収入・家族関係を時系列でそろえ、資料相互に矛盾がない状態を作ることが、追加資料対応や不許可リスクを減らす基本になります。
3.準備しておきたい資料
• 学位記・卒業証明書・成績証明書
• 在職証明書・職務経歴証明書
• 組織図、役職・権限を示す会社資料
• 海外資料の日本語訳
• 起業準備活動を経験に使う場合の在留・活動資料
上記は典型的な確認資料であり、すべてのケースで同じ資料が法定必須という意味ではありません。出入国在留管理庁の公式提出書類を基礎にしつつ、個別事情を説明するために必要な補足資料を選びます。外国語資料には、審査上意味を持つ氏名・日付・金額・身分関係等を正確に反映した日本語訳を付けます。
4.行政書士として考える実務上の進め方
・学位ルートと経験ルートのどちらで申請するか決める
・経験期間を日付まで通算する
・「経営・管理」の具体的内容を証明書に反映する
・海外企業の証明書は発行主体・連絡先・真正性も確認する
申請を急ぐほど、先に結論を決めて資料を後付けしたくなりますが、順序は逆です。まず事実を確認し、現在の法令・公式運用に当てはめ、足りない資料と説明が必要な点を整理してから申請方針を決めます。特に在留期限や14日以内の届出期限がある場合は、期限管理と実体審査の準備を並行して進めます。
5.よくある誤解
「MBAという名前なら何でもよい」「管理職という肩書が3年あればよい」とは限りません。学位の法的位置付けと専攻、実務経験の実質を資料で確認します。
入管手続では、似た状況でも現在の在留資格、申請区分、経歴、会社・家族の状況によって結論が変わります。インターネット上の過去事例をそのまま自分のケースに当てはめず、申請時点の制度と事実関係で確認することが大切です。
よくある質問
Q1 日本の大学の学士卒では学歴要件を満たしませんか?
A 新しい学歴ルートは博士・修士・専門職学位を対象とするため、学士だけでそのルートを満たすとは言えません。3年以上の経営・管理経験等、別の基準を確認します。
Q2 海外で家族会社を3年経営していました。使えますか?
A 実際に経営していたことを登記、税務、在職・役職証明、事業資料等で客観的に示せるかが重要です。
Q3 経営経験が2年11か月なら四捨五入できますか?
A 期間要件は厳密に確認する必要があります。満3年に達していない状態を四捨五入して扱うべきではありません。
行政書士へ相談した方がよいケース
• 在留期限・届出期限が近く、手続の優先順位が分からない
• 公式の提出書類一覧だけでは、自分の事情をどう説明すべきか判断しにくい
• 転職、失業、家族変更、会社の経営状況など申請後・前回許可後に事情が変わっている
• 過去の届出、税金、年金、社会保険、在留状況に気になる点がある
• 不許可を避けるため、申請前に事実と立証資料の整合性を確認したい
行政書士鈴木茂事務所では、単に書類をそろえるだけでなく、現在の在留資格、これまでの経緯、申請後の生活・就労計画を確認し、どの事実をどの資料で説明するかを整理します。許可を保証することはできませんが、申請前に論点を明確にし、入管に伝わりやすい形へ整えることができます。
まとめ
2025年改正後の新規の経営・管理では、申請人の経歴について、経営・管理に関連する分野の博士・修士・専門職学位を有すること、または事業の経営・管理について3年以上の経験を有することという基準が導入されています。申請人がどちらのルートで要件を満たすかを確認し、学位の分野または実務経験の内容・期間を客観資料で証明します。
在留資格の手続は、制度を知るだけでなく、自分の事実関係を正確に当てはめる作業が必要です。少しでも判断に迷う事情がある場合は、期限直前ではなく、資料を集められる段階で相談することをおすすめします。
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主な公的情報源
・出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00237.html
・出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/businessmanager.html
※本記事は2026年10月7日時点で確認できる法令・出入国在留管理庁の公表情報を基に作成しています。制度改正、告示改正、運用変更等が行われることがありますので、実際の申請時には最新の公式情報をご確認ください。
【この記事の執筆・監修者】
申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。
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