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第38回 お客様お悩み相談
日本人配偶者と離婚した。現在の配偶者ビザから「定住者」へ変更できる要件は?
 
 
よくあるご相談
「日本人夫と離婚が成立しました。配偶者ビザの期限がまだ残っていますが、このまま日本で働き続けたいです。『定住者』へ変更できると聞きましたが、どのような条件がありますか?」というご相談です。
 
先に結論
日本人配偶者と離婚した場合、当然に日本にいられなくなるわけではありませんが、法務大臣が特別な理由を認める「定住者(告示外定住)」への在留資格変更を検討することになります。主な許可基準の目安は、「実質的な婚姻関係が概ね3年以上継続していたこと」または「日本人の実子を日本で親権者として現に監護・養育していること」です。加えて、自立して生活できる生計能力や素行の善良さが求められます。
 
1.制度上の整理
● 「日本人の配偶者等」は配偶者としての身分を基礎とする在留資格であるため、離婚または死別によってその身分を失った場合、正当な理由なく6か月以上配偶者としての活動を行っていないときは在留資格取消しの対象となり得ます。
● 離婚した日から14日以内に、入管へ「配偶者に関する届出」を提出する義務があります。
● 離婚後も日本への定住を希望する場合、告示外定住(法務大臣が特別の理由を考慮して認める定住者)への変更申請を行います。
● 要件の類型としては、主に①実質的な婚姻生活が3年以上継続していた場合(婚姻破綻後の別居期間等は除外される傾向にあります)、②日本人との間の子(実子)の親権を持ち、現に日本国内で養育している場合の2つがあります。
 
2.このケースで確認したいポイント
● 同居して実質的に夫婦生活を営んでいた正確な期間(別居期間を除く)
● 日本人との間に子どもがいるか、親権および監護養育の実態があるか
● 離婚後の本人の職業、年収、預貯金等の独立生計能力
● 離婚に至った経緯(DV被害等があった場合は特別な考慮要素となる場合あり)
● 公的義務(住民税・年金・健康保険)を適正に納付しているか
ここで重要なのは、項目を一つずつ切り離して考えないことです。申請書、届出、契約書、課税・社会保険資料、会社資料などに同じ事実が異なる形で現れます。日付・会社名・職務・収入・家族関係を時系列でそろえ、資料相互に矛盾がない状態を作ることが、追加資料対応や不許可リスクを減らす基本になります。
 
3.準備しておきたい資料
● 離婚の事実が記載された日本人配偶者の戸籍謄本、または離婚届受理証明書
● 婚姻期間中の共同生活を証明する資料(過去の住民票の除票、賃貸契約等)
● 本人の収入を証明する資料(課税・納税証明書、給与明細、在職証明書)
● 子どもを養育する場合は、子の戸籍謄本、住民票、養育実績・学費支出資料
● 離婚に至った経緯および日本定住を希望する詳細な理由書
上記は典型的な確認資料であり、すべてのケースで同じ資料が法定必須という意味ではありません。出入国在留管理庁の公式提出書類を基礎にしつつ、個別事情を説明するために必要な補足資料を選びます。外国語資料には、審査上意味を持つ氏名・日付・金額・身分関係等を正確に反映した日本語訳を付けます。
 
4.行政書士として考える実務上の進め方
● 離婚後14日以内の配偶者届出を最優先で行う
● 実質的な婚姻期間(同居期間)を客観資料で計算・整理する
● 本人の経済的自立(就労先・収入見込)を証明する書類を固める
● 告示外定住の理由書を作成し、日本への定着性や生活基盤の継続性を入管へ訴える
申請を急ぐほど、先に結論を決めて資料を後付けしたくなりますが、順序は逆です。まず事実を確認し、現在の法令・公式運用に当てはめ、足りない資料と説明が必要な点を整理してから申請方針を決めます。特に在留期限や14日以内の届出期限がある場合は、期限管理と実体審査の準備を並行して進めます。
 
5.よくある誤解
「配偶者ビザの在留期限がまだ2年残っているから、期限ギリギリまで何もしなくてよい」という考え方は非常に危険です。離婚後6か月放置すると在留資格取消しの対象となるため、離婚成立後は速やかに定住者等への変更申請を行う必要があります。
 
入管手続では、似た状況でも現在の在留資格、申請区分、経歴、会社・家族の状況によって結論が変わります。インターネット上の過去事例をそのまま自分のケースに当てはめず、申請時点の制度と事実関係で確認することが大切です。
 
よくある質問
Q1 結婚して2年で離婚しました。子どもはいません。定住者は取れませんか?
A 原則として3年以上の実質的婚姻期間が目安とされるためハードルは高いですが、相手方のDVによる破綻など特別な人道的事情があれば許可される余地があります。
Q2 職歴がなく無職です。定住者へ変更できますか?
A 独立生計要件が極めて重要です。就職活動を行って内定を得るか、親族からの確実な援助証明等がないと不許可リスクが高くなります。
Q3 子どもの親権が元夫にある場合、私は定住者になれませんか?
A 現に子どもを監護・養育していない場合、「子の養育」を理由とする定住者は困難です。その場合は婚姻期間(3年以上)の要件等で審査されることになります。
 
行政書士へ相談した方がよいケース
● 在留期限・届出期限が近く、手続の優先順位が分からない
● 公式の提出書類一覧だけでは、自分の事情をどう説明すべきか判断しにくい
● 転職、失業、家族変更、会社の経営状況など申請後・前回許可後に事情が変わっている
● 過去の届出、税金、年金、社会保険、在留状況に気になる点がある
● 不許可を避けるため、申請前に事実と立証資料の整合性を確認したい
行政書士鈴木茂事務所では、単に書類をそろえるだけでなく、現在の在留資格、これまでの経経緯、申請後の生活・就労計画を確認し、どの事実をどの資料で説明するかを整理します。許可を保証することはできませんが、申請前に論点を明確にし、入管に伝わりやすい形へ整えることができます。
 
主な公的情報源
● 出入国在留管理庁「在留資格『定住者』」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/longtermresident.html
● 出入国在留管理庁「配偶者に関する届出」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri10_00016.html
● 出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00058.html

【この記事の執筆・監修者】

申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。

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