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第32回 お客様お悩み相談
高度専門職の転職。前の会社のポイントで許可されたが、転職先でも計算し直す?
 
 
よくあるご相談
「高度専門職1号ロで働いていますが、来月別の会社へ転職します。技人国のように所属機関の届出を出せば、そのまま高度専門職として働けますか?」というご相談です。
先に結論
高度専門職1号は、「指定書」に記載された特定の所属機関(会社)での就労を前提とする在留資格です。そのため、転職する場合は所属機関届出だけで済ませることはできず、転職先の会社で新たにポイント計算を行い、「在留資格変更許可申請」を行って新しい指定書の交付を受ける必要があります。
 
1.制度上の整理
● 高度専門職1号は、入管法において「法務大臣が指定する本邦の公私の機関」との契約に基づいて活動することが定められています。パスポートに貼付される指定書に会社名が明記されているため、会社が変われば在留資格の前提が変わります。
● 転職する場合、新しい会社での年収や職務内容に基づいて、改めて高度人材ポイント計算で70点以上を満たすかを証明しなければなりません。
● 一方、同じ高度専門職でも「2号」の場合は、活動の範囲が広く、所属機関の変更手続きが異なります。1号の場合は必ず事前の在留資格変更許可が必要です。
● 退職時には、別途14日以内に「所属(契約)機関に関する届出(契約の終了)」を行う義務があります。転職時の変更許可申請とは別の手続きとして忘れずに行います。
 
2.このケースで確認したいポイント
● 転職先での新しい年収額(ポイント計算に直結する)
● 転職先の職務内容が「ロ」等に該当し、ポイントの要件を満たすか
● 転職前の退職に伴う所属機関届出を14日以内に行ったか
● 転職の空白期間が長すぎないか
● 現在の在留期限までに変更許可申請が完了するか
ここで重要なのは、項目を一つずつ切り離して考えないことです。申請書、届出、契約書、課税・社会保険資料、会社資料などに同じ事実が異なる形で現れます。日付・会社名・職務・収入・家族関係を時系列でそろえ、資料相互に矛盾がない状態を作ることが、追加資料対応や不許可リスクを減らす基本になります。
 
3.準備しておきたい資料
● 転職先の雇用契約書・労働条件通知書
● 新しい会社に基づくポイント計算表および疎明資料
● 前職の退職証明書
● 転職先の会社登記事項証明書、決算書等の会社資料
上記は典型的な確認資料であり、すべてのケースで同じ資料が法定必須という意味ではありません。出入国在留管理庁の公式提出書類を基礎にしつつ、個別事情を説明するために必要な補足資料を選びます。外国語資料には、審査上意味を持つ氏名・日付・金額・身分関係等を正確に反映した日本語訳を付けます。
 
4.行政書士として考える実務上の進め方
● 退職日と入社日を確認し、空白期間ができないよう調整する
● 入社前に新しい会社でのポイント計算を行い、70点以上を確保する
● 14日以内の契約終了届出を確実に行う
● 入社日に合わせて在留資格変更許可申請(新しい指定書の取得)を進める
申請を急ぐほど、先に結論を決めて資料を後付けしたくなりますが、順序は逆です。まず事実を確認し、現在の法令・公式運用に当てはめ、足りない資料と説明が必要な点を整理してから申請方針を決めます。特に在留期限や14日以内の届出期限がある場合は、期限管理と実体審査の準備を並行して進めます。
 
5.よくある誤解
「高度専門職の在留カードは5年有効だから、期限まではどの会社に転職しても自由だ」という理解は非常に危険です。1号は会社限定の資格であるため、変更許可を受けずに他社で働くと不法就労となるおそれがあります。
 
入管手続では、似た状況でも現在の在留資格、申請区分、経歴、会社・家族の状況によって結論が変わります。インターネット上の過去事例をそのまま自分のケースに当てはめず、申請時点の制度と事実関係で確認することが大切です。
 
よくある質問
Q1 転職先でポイントが70点に届かない場合はどうなりますか?
A 高度専門職の要件を満たさないため、技術・人文知識・国際業務など、他の該当する在留資格へ変更許可申請を行う必要があります。
Q2 在留資格変更申請中は新しい会社で働けますか?
A 原則として、変更許可が下りて新しい指定書を受け取るまでは、新しい会社で高度専門職としての活動を始めることはできません。
Q3 高度専門職2号の場合も転職のたびに変更申請が必要ですか?
A 高度専門職2号は指定書に機関が限定されていないため、同じ活動範囲の転職であれば変更許可申請は不要ですが、所属機関届出は必要です。
 
主な公的情報源
● 出入国在留管理庁「在留資格『高度専門職』」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/highlyskilledprofessional.html
● 出入国在留管理庁「所属(契約)機関に関する届出」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri10_00015.html

【この記事の執筆・監修者】

申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。

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