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第33回 お客様お悩み相談

高度専門職の親の帯同。子育て支援で親を呼ぶための要件と注意点

 

よくあるご相談

「私は高度専門職で、妻も日本で働いています。来月子どもが生まれるので、母国から私の母親を呼んで子育てを手伝ってもらいたいのですが、どんな要件がありますか?」というご相談です。

 

先に結論

高度専門職の優遇措置として、一定の要件を満たせば本国から親(特定活動)を呼び寄せることができます。主な要件は、「7歳未満の子を養育すること(または妊娠中の配偶者の介助等)」、「高度専門職本人と配偶者の世帯年収が800万円以上であること」、「高度専門職本人と同居すること」などです。夫婦双方の親を同時に呼ぶことはできない点にも注意が必要です。

 

1.制度上の整理

● 通常、外国人が親を日本へ呼び寄せて長期滞在するための在留資格(老親扶養など)は要件が極めて厳しいですが、高度専門職には特例として親の帯同が認められています。

● この特例は「特定活動(告示34号等)」として付与され、あくまで子育て支援や妊娠中の介助を目的としています。そのため、子どもが7歳に達した時点で、原則として親の在留資格は更新できなくなります。

● 世帯年収800万円は、高度専門職本人とその配偶者の年収を合算して計算できます。

● 呼べる親は、高度専門職本人またはその配偶者の「どちらか一方の親」に限られます。例えば、夫の母親と妻の母親を同時に呼び寄せることはできません。

 

2.このケースで確認したいポイント

● 養育する子どもが7歳未満であるか(または配偶者が妊娠中か)

● 高度専門職本人と配偶者の年収合算額が800万円以上を証明できるか

● 親が本人と同居する予定になっているか

● どちらの親(父・母)を呼ぶか、片方の家系に絞られているか

ここで重要なのは、項目を一つずつ切り離して考えないことです。申請書、届出、契約書、課税・社会保険資料、会社資料などに同じ事実が異なる形で現れます。日付・会社名・職務・収入・家族関係を時系列でそろえ、資料相互に矛盾がない状態を作ることが、追加資料対応や不許可リスクを減らす基本になります。

 

3.準備しておきたい資料

● 親との身分関係を証明する資料(出生証明書等)

● 子の出生証明書、または配偶者の妊娠を証明する診断書等

● 高度専門職本人と配偶者の世帯年収を証明する資料(課税証明書、給与明細等)

● 同居を証明するための住民票や住居の賃貸借契約書

上記は典型的な確認資料であり、すべてのケースで同じ資料が法定必須という意味ではありません。出入国在留管理庁の公式提出書類を基礎にしつつ、個別事情を説明するために必要な補足資料を選びます。外国語資料には、審査上意味を持つ氏名・日付・金額・身分関係等を正確に反映した日本語訳を付けます。

 

4.行政書士として考える実務上の進め方

● 子供の年齢(7歳到達時期)から逆算して、親の滞在可能期間を計画する

● 年収800万円を客観的な課税資料等で確実に立証できるか確認する

● 親が来日後に日本の医療保険等へどう加入するか生活基盤を整理する

● COE(在留資格認定証明書)申請時に、子育て支援の目的を明確に示す

申請を急ぐほど、先に結論を決めて資料を後付けしたくなりますが、順序は逆です。まず事実を確認し、現在の法令・公式運用に当てはめ、足りない資料と説明が必要な点を整理してから申請方針を決めます。特に在留期限や14日以内の届出期限がある場合は、期限管理と実体審査の準備を並行して進めます。

 

5.よくある誤解

「高度専門職なら親を一生日本に住まわせることができる」という理解は誤りです。この制度は子育て支援が目的であるため、子どもが7歳になった後は親の在留資格は更新できず、帰国する必要があります(別の要件を満たす場合を除く)。

 

入管手続では、似た状況でも現在の在留資格、申請区分、経歴、会社・家族の状況によって結論が変わります。インターネット上の過去事例をそのまま自分のケースに当てはめず、申請時点の制度と事実関係で確認することが大切です。

 

よくある質問

Q1 親が来日後にアルバイトをすることはできますか?

A 原則としてできません。子育て支援を目的とした特定活動であり、資格外活動許可を受けて就労することは想定されていません。

Q2 妻の年収がなく、私単独で年収700万円ですが親を呼べますか?

A 呼べません。世帯年収(本人と配偶者の合算)で800万円以上であることが必須要件です。

Q3 親とは別々のマンションに住むことは可能ですか?

A 不可です。制度上、高度専門職本人と同居することが要件として定められています。

 

主な公的情報源

● 出入国在留管理庁「高度人材ポイント制による出入国在留管理上の優遇制度」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/newimmiact_3.html

● 出入国在留管理庁「特定活動(高度専門職外国人の就労する配偶者・親・家事使用人等)」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/designatedactivities.html

【この記事の執筆・監修者】

申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。

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