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第40回 お客様お悩み相談

日系3世として定住者ビザを取得したい。必要な本国の書類と素行要件とは?

 

よくあるご相談

「祖父が日本人で、私は日系3世です。日本で就労制限のない定住者ビザを取って働きたいのですが、どんな書類を集めればよいでしょうか?素行のチェックもあると聞きました」というご相談です。

 

先に結論

日系3世は定住者告示(第3号・第4号等)の対象となり、日本での就労制限のない「定住者」を取得できます。立証の中心は、日本の祖父母から親、本人へと続く「血統の連続性」を戸籍謄本や本国の出生・婚姻証明書で完全に繋ぐことです。さらに、日系3世には「素行善良要件」が明確に求められるため、本国警察発行の無犯罪証明書(犯罪経歴証明書)の提出が必須となります。

 

1.制度上の整理

● 日系2世(日本人の実子)が「日本人の配偶者等」等に該当するのに対し、日系3世(日本人の孫)は「定住者」の告示対象となります。

● 定住者の在留資格は就労活動に制限がないため、専門職だけでなく工場・物流・サービス業等の幅広い現場就労も可能です。

● 血統の立証では、①日本の祖父母の戸籍謄本(除籍・改製原戸籍)、②祖父母の婚姻証明、③日系2世である親の出生・婚姻証明、④申請人本人の出生証明を揃え、親子関係の鎖が途切れていないことを証明します。

● 日系3世の申請基準には「素行が善良であること」が明記されており、本国における犯罪歴・逮捕歴がないことを証明するため、本国の権限ある機関(連邦警察等)が発行した無犯罪証明書が求められます。

 

2.このケースで確認したいポイント

● 祖父母の本籍地が判明しており、日本の古い戸籍謄本が取得できるか

● 本国の証明書(出生証明・婚姻証明等)の名前のスペルや生年月日が戸籍と一致しているか

● 本国の無犯罪証明書を取得できるか(重大な犯罪歴がないか)

● 日本国内に安定した身元保証人(日本人または永住者等)を確保できるか

● 日本での就職先や生活基盤の目処が立っているか

ここで重要なのは、項目を一つずつ切り離して考えないことです。申請書、届出、契約書、課税・社会保険資料、会社資料などに同じ事実が異なる形で現れます。日付・会社名・職務・収入・家族関係を時系列でそろえ、資料相互に矛盾がない状態を作ることが、追加資料対応や不許可リスクを減らす基本になります。

 

3.準備しておきたい資料

● 日本の祖父母の戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本

● 祖父母・両親・本人の出生証明書および婚姻証明書(原本+日本語訳)

● 本国の犯罪経歴証明書(アポスティーユまたは認証が必要な場合あり)

● 身元保証書、身元保証人の住民票・課税証明書

● 日本での雇用予定証明書・預貯金資料等

上記は典型的な確認資料であり、すべてのケースで同じ資料が法定必須という意味ではありません。出入国在留管理庁の公式提出書類を基礎にしつつ、個別事情を説明するために必要な補足資料を選びます。外国語資料には、審査上意味を持つ氏名・日付・金額・身分関係等を正確に反映した日本語訳を付けます。

 

4.行政書士として考える実務上の進め方

● まず日本の市町村で祖父母の戸籍を遡り、ルーツを特定する

● 本国書類の氏名・生年月日にズレ(改姓、誤記等)がないか徹底照合する

● 氏名不一致がある場合は、同一人物証明書等の補正資料を本国で手配する

● 無犯罪証明書の有効期限(発行後数か月)に注意してCOE申請を行う

申請を急ぐほど、先に結論を決めて資料を後付けしたくなりますが、順序は逆です。まず事実を確認し、現在の法令・公式運用に当てはめ、足りない資料と説明が必要な点を整理してから申請方針を決めます。特に在留期限や14日以内の届出期限がある場合は、期限管理と実体審査の準備を並行して進めます。

 

5.よくある誤解

「日系人なら誰でも簡単にビザが出る」という誤解がありますが、名前のスペルの違いや本国の戸籍制度の違いにより、血統の証明が途切れて不許可になるケースは少なくありません。また、微罪であっても犯罪歴がある場合は不許可のリスクが高まります。

 

入管手続では、似た状況でも現在の在留資格、申請区分、経歴、会社・家族の状況によって結論が変わります。インターネット上の過去事例をそのまま自分のケースに当てはめず、申請時点の制度と事実関係で確認することが大切です。

 

よくある質問

Q1 日系4世も同じように定住者ビザが取れますか?

A 日系4世は定住者告示の対象ではなく、別の「特定活動(日系4世受入れ制度)」等の要件(年齢制限や日本語能力要件など)を確認する必要があります。

Q2 祖父母の戸籍の場所(本籍地)が分かりません。どうすればいいですか?

A 過去の渡航記録、親族の記憶、古い手紙、移民名簿などを手掛かりに本籍地を調査・特定する作業から始める必要があります。

Q3 過去に本国で交通違反歴がありますが、無犯罪証明書に載りますか?

A 軽微な反則金レベルであれば記載されない国もありますが、国や州の制度によります。証明書の記載内容を確認して対応を検討します。

 

行政書士へ相談した方がよいケース

● 在留期限・届出期限が近く、手続の優先順位が分からない

● 公式の提出書類一覧だけでは、自分の事情をどう説明すべきか判断しにくい

● 転職、失業、家族変更、会社の経営状況など申請後・前回許可後に事情が変わっている

● 過去の届出、税金、年金、社会保険、在留状況に気になる点がある

● 不許可を避けるため、申請前に事実と立証資料の整合性を確認したい

行政書士鈴木茂事務所では、単に書類をそろえるだけでなく、現在の在留資格、これまでの経緯、申請後の生活・就労計画を確認し、どの事実をどの資料で説明するかを整理します。許可を保証することはできませんが、申請前に論点を明確にし、入管に伝わりやすい形へ整えることができます。

 

主な公的情報源

● 出入国在留管理庁「定住者(日系3世等)」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/longtermresident03.html

● 出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-1.html

【この記事の執筆・監修者】

申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。

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