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第46回 お客様お悩み相談

交通違反(スピード違反や駐車違反)があると永住申請は不許可になる?

 

よくあるご相談

「仕事で車を使っているのですが、過去5年間に駐車違反とスピード違反で2回青切符を切られ、反則金を払いました。交通違反があると永住申請の『素行要件』で不許可になりますか?」というご相談です。

 

先に結論

過去に数回の軽微な交通違反(青切符による反則金の納付など)があることだけで、ただちに永住申請が不許可になるわけではありません。しかし、無免許運転や飲酒運転、著しい速度超過などの重大な違反(赤切符による罰金刑等)や、軽微な違反であっても短期間に何度も繰り返している場合は、「素行が善良である」とは認められず不許可リスクが非常に高くなります。運転記録証明書を取得して、過去の違反歴を正確に把握することが大切です。

 

1.制度上の整理

● 永住許可の法的要件の一つに「素行が善良であること」があります。これは、法律を遵守し、社会的に非難されることのない生活を営んでいることを意味します。

● 交通違反は、大きく「反則行為(青切符・反則金の納付で刑事手続を免れるもの)」と「犯罪行為(赤切符・裁判を経て罰金等の刑罰が科されるもの)」に分かれます。

● 罰金刑以上の刑罰を受けた場合は、罰金納付後一定期間(通常5年)を経過しないと、素行善良要件を満たさないものとして扱われます。

● 青切符(反則金)であっても、過去5年間で数回(目安として3〜5回以上)繰り返していると、「遵法精神が欠如している」とみなされ、不許可になる事例が多く見られます。

 

2.このケースで確認したいポイント

● 過去5年間(自動車安全運転センターの運転記録証明書で確認可能)の違反の種類と回数

● 違反の処理が「反則金」の納付で済んだのか、「罰金刑(前科)」になったのか

● 反則金や罰金の未納がないか

● 業務上の運転での違反か、プライベートでの違反か

● 二度と違反を起こさないための具体的な改善策や反省があるか

ここで重要なのは、項目を一つずつ切り離して考えないことです。申請書、届出、契約書、課税・社会保険資料、会社資料などに同じ事実が異なる形で現れます。日付・会社名・職務・収入・家族関係を時系列でそろえ、資料相互に矛盾がない状態を作ることが、追加資料対応や不許可リスクを減らす基本になります。

 

3.準備しておきたい資料

● 運転記録証明書(過去5年分を自動車安全運転センターで取得)

● 違反に対する反省と今後の安全運転への誓約書(理由書に組み込む)

● (罰金刑を受けた場合)罰金の納付領収書等のコピー

上記は典型的な確認資料であり、すべてのケースで同じ資料が法定必須という意味ではありません。出入国在留管理庁の公式提出書類を基礎にしつつ、個別事情を説明するために必要な補足資料を選びます。外国語資料には、審査上意味を持つ氏名・日付・金額・身分関係等を正確に反映した日本語訳を付けます。

 

4.行政書士として考える実務上の進め方

● 申請者自身の記憶が曖昧なことが多いため、必ず「運転記録証明書(5年)」を取得してもらう

● 違反回数が多い場合や直近に違反がある場合は、一定期間(無事故無違反の実績を作るまで)申請を待つよう助言する

● 申請書類の質問書等の「犯罪歴・違反歴」の欄には、事実を隠さずに正確に記載する

● 理由書の中で、違反の経緯と真摯な反省、今後の改善策(例:運転を控える、公共交通機関を使う等)をアピールする

申請を急ぐほど、先に結論を決めて資料を後付けしたくなりますが、順序は逆です。まず事実を確認し、現在の法令・公式運用に当てはめ、足りない資料と説明が必要な点を整理してから申請方針を決めます。特に在留期限や14日以内の届出期限がある場合は、期限管理と実体審査の準備を並行して進めます。

 

5.よくある誤解

「反則金は払ったから犯罪歴にならないし、入管にはバレないだろう」と申告しないのは非常に危険です。入管は警察等と連携して情報を照会できるため、虚偽申告とみなされた場合は、素行不良に加えて「虚偽申告」を理由に不許可となります。

 

入管手続では、似た状況でも現在の在留資格、申請区分、経歴、会社・家族の状況によって結論が変わります。インターネット上の過去事例をそのまま自分のケースに当てはめず、申請時点の制度と事実関係で確認することが大切です。

 

よくある質問

Q1 自転車での交通違反(赤切符等)も影響しますか?

A はい。近年、自転車の交通違反(信号無視や酒気帯び運転など)に対する取り締まりが厳しくなっており、罰金刑(赤切符)を受けた場合は素行要件に重大な影響を及ぼします。

Q2 5年で4回の違反がありますが、どうしても今申請したいです。

A 不許可リスクが非常に高い状況です。仕事上やむを得ない事情等を考慮してもらえる可能性はゼロではありませんが、可能であれば無違反期間を長くとってから申請すべきです。

Q3 交通事故を起こしてしまった場合はどうなりますか?

A 人身事故で業務上過失致傷等の罪に問われ、罰金刑等を受けた場合は、その刑の執行が終わってから一定期間(5年等)経過するまで永住許可は極めて困難になります。物損事故で刑事罰がなければ影響は限定的です。

 

行政書士へ相談した方がよいケース

● 在留期限・届出期限が近く、手続の優先順位が分からない

● 公式の提出書類一覧だけでは、自分の事情をどう説明すべきか判断しにくい

● 転職、失業、家族変更、会社の経営状況など申請後・前回許可後に事情が変わっている

● 過去の届出、税金、年金、社会保険、在留状況に気になる点がある

● 不許可を避けるため、申請前に事実と立証資料の整合性を確認したい

行政書士鈴木茂事務所では、単に書類をそろえるだけでなく、現在の在留資格、これまでの経緯、申請後の生活・就労計画を確認し、どの事実をどの資料で説明するかを整理します。許可を保証することはできませんが、申請前に論点を明確にし、入管に伝わりやすい形へ整えることができます。

 

主な公的情報源

● 出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂)」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan50.html

【この記事の執筆・監修者】

申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。

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