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第43回 お客様お悩み相談
日本人の配偶者等で在留中、別居することになった。ビザの更新はできる?
よくあるご相談
「日本人夫と喧嘩をして家を出て、現在は別居中です。近々『日本人の配偶者等』のビザ更新がありますが、同居していないと更新は不許可になりますか?」というご相談です。
先に結論
「同居」は配偶者ビザにおける婚姻の実体を判断する上で非常に重要な要素です。そのため、夫婦関係の悪化を理由とする別居の場合、そのままでは更新が不許可になるリスクが非常に高いです。ただし、単身赴任や親の介護など「合理的な理由」がある別居や、関係修復に向けた一時的な冷却期間(家庭裁判所での円満調停中など)であることを客観的に証明できる場合は、更新が認められる余地があります。
1.制度上の整理
● 身分系の在留資格では、戸籍や結婚証明書などの形式的な身分関係だけでなく、実際の共同生活、扶養関係、生計、家族の在留資格との整合性が重要になります。家族の状況が変わった場合は、家族全員が同じ在留資格になるとは限らないため、一人ずつ法的な地位を確認します。
● 配偶者ビザの審査では、民法上の同居・協力・扶助の義務が果たされているか(婚姻の実体があるか)が厳しく見られます。
● 住民票上だけ同居にして実態は別居しているなどの虚偽申告は、発覚した際に在留資格取消しや次回の不許可など重大なペナルティを招きます。
● 別居であっても、生活費の送金(扶助)が行われているか、頻繁に連絡を取り合っているか(協力)など、夫婦としての関係が完全に破綻していないことを立証する責任は申請者側にあります。
2.このケースで確認したいポイント
● 別居の理由が何か(仕事、病気・介護、夫婦不仲、DV等)
● 別居期間はどのくらいか、将来的に同居を再開する見込み・計画はあるか
● 別居中も生活費の送金や受け渡しが定期的に行われているか
● 別居中も電話、LINE、面会等のコミュニケーションが継続しているか
● 離婚協議中や離婚調停中でないか(破綻状態ではないか)
ここで重要なのは、項目を一つずつ切り離して考えないことです。申請書、届出、契約書、課税・社会保険資料、会社資料などに同じ事実が異なる形で現れます。日付・会社名・職務・収入・家族関係を時系列でそろえ、資料相互に矛盾がない状態を作ることが、追加資料対応や不許可リスクを減らす基本になります。
3.準備しておきたい資料
● 別居の理由を詳細かつ客観的に説明する理由書(夫婦双方の署名があるとなお良い)
● (単身赴任の場合)会社の辞令や在職証明書
● (親の介護の場合)親の診断書や介護施設の証明
● 生活費の送金記録(銀行の振込明細や通帳のコピー)
● 別居中の連絡履歴(LINEのスクリーンショット等)や面会時の写真
上記は典型的な確認資料であり、すべてのケースで同じ資料が法定必須という意味ではありません。出入国在留管理庁の公式提出書類を基礎にしつつ、個別事情を説明するために必要な補足資料を選びます。外国語資料には、審査上意味を持つ氏名・日付・金額・身分関係等を正確に反映した日本語訳を付けます。
4.行政書士として考える実務上の進め方
● 別居の事実を隠さず、入管へ正直に申告する方針を固める
● 別居が「婚姻の破綻」を意味するものではないことを、送金や連絡の証拠で裏付ける
● 関係修復に向けた夫婦の取り組み(カウンセリング、円満調停等)があれば資料化する
● 次回の更新時には同居が再開できるよう、中長期的な生活設計を助言する
申請を急ぐほど、先に結論を決めて資料を後付けしたくなりますが、順序は逆です。まず事実を確認し、現在の法令・公式運用に当てはめ、足りない資料と説明が必要な点を整理してから申請方針を決めます。特に在留期限や14日以内の届出期限がある場合は、期限管理と実体審査の準備を並行して進めます。
5.よくある誤解
「住民票を移さなければ入管には別居がバレない」という考え方は違法であり、入管の実態調査(郵便物の確認や家庭訪問等)で発覚した場合、偽装結婚を疑われ致命的な結果を招きます。事実はありのまま申告し、理由を正当に説明することが唯一の対策です。
入管手続では、似た状況でも現在の在留資格、申請区分、経歴、会社・家族の状況によって結論が変わります。インターネット上の過去事例をそのまま自分のケースに当てはめず、申請時点の制度と事実関係で確認することが大切です。
よくある質問
Q1 離婚に向けて別居・調停中です。配偶者ビザの更新はできますか?
A 「婚姻の実体が失われている」と判断される可能性が極めて高く、配偶者ビザの更新は非常に困難です。日本滞在を希望する場合は「定住者」や就労ビザ等への変更を検討すべきです。
Q2 DVから逃れるための別居(シェルター保護等)ですが、不許可になりますか?
A DV被害は人道上特別な配慮がなされます。配偶者暴力相談支援センター等の証明があれば、同居していなくても更新や定住者への変更が認められるケースがあります。
Q3 別居で更新できた場合、在留期間は短くなりますか?
A はい。別居状態は婚姻の安定性に疑義がある状態とみなされるため、許可された場合でも在留期間は「1年」等、短縮される傾向にあります。
行政書士へ相談した方がよいケース
● 在留期限・届出期限が近く、手続の優先順位が分からない
● 公式の提出書類一覧だけでは、自分の事情をどう説明すべきか判断しにくい
● 転職、失業、家族変更、会社の経営状況など申請後・前回許可後に事情が変わっている
● 過去の届出、税金、年金、社会保険、在留状況に気になる点がある
● 不許可を避けるため、申請前に事実と立証資料の整合性を確認したい
行政書士鈴木茂事務所では、単に書類をそろえるだけでなく、現在の在留資格、これまでの経緯、申請後の生活・就労計画を確認し、どの事実をどの資料で説明するかを整理します。許可を保証することはできませんが、申請前に論点を明確にし、入管に伝わりやすい形へ整えることができます。
主な公的情報源
● 出入国在留管理庁「在留資格『日本人の配偶者等』」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/spouseorchildofjapanese01.html
● 出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00058.html
【この記事の執筆・監修者】
申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。
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