第29回 お客様お悩み相談
特定技能1号で退職しました。転職先が決まるまで日本にいられますか?
よくあるご相談
「特定技能1号で働いていましたが退職しました。次の会社を探しています。在留期限は残っていますが、技人国のように届出だけで新しい会社へ転職できますか?」というご相談です。
先に結論
特定技能は転職が可能ですが、受入れ機関または分野を変更する場合、在留資格「特定技能」の変更許可申請が必要です。新しい会社と契約しただけで直ちに特定技能として働き始めるのではなく、対象業務区分、試験・技能の対応、受入れ機関の基準、支援体制等を確認して変更許可を受けます。退職時の所属機関届出等も別途必要です。
1.制度上の整理
特定技能や特定活動は、活動内容や受入れ機関、告示・分野別運用によって必要な手続が大きく変わります。「今の在留カードが有効だから働ける」と考えず、転職・職務変更・卒業後の就職など、活動の変化に合わせて変更許可が必要かを確認します。
出入国在留管理庁の特定技能Q&Aは、転職を認めつつ、同一業務区分内または技能水準の共通性が確認されている業務区分間であること等を説明し、受入れ機関または分野を変更する場合は在留資格変更許可申請が必要としています。
特定技能1号は、本人だけでなく受入れ機関が法令順守・報酬・支援等の基準を満たす必要があります。新しい会社が「雇いたい」と言っているだけでは足りず、分野別協議会・届出・支援委託等も含め準備します。
2026年は分野ごとに受入れ上限等による特殊運用が生じています。例えば外食業分野では2026年の受入れ見込数に関する一時的な審査運用が公表されていますが、外食業分野で既に特定技能1号として在留する方の同分野内転職は通常どおり審査すると案内されています。必ず申請時点の分野別最新情報を確認します。
2.このケースで確認したいポイント
• 退職日・退職理由と本人届出
• 新旧の特定産業分野・業務区分
• 新受入れ機関が特定技能所属機関の基準を満たすか
• 1号特定技能外国人支援計画の準備
• 変更許可前に新会社で就労を開始しないこと
ここで重要なのは、項目を一つずつ切り離して考えないことです。申請書、届出、契約書、課税・社会保険資料、会社資料などに同じ事実が異なる形で現れます。日付・会社名・職務・収入・家族関係を時系列でそろえ、資料相互に矛盾がない状態を作ることが、追加資料対応や不許可リスクを減らす基本になります。
3.準備しておきたい資料
• 退職証明・契約終了関係資料
• 新会社の特定技能雇用契約書
• 技能試験・日本語試験等の証明
• 受入れ機関・支援計画・分野別の必要書類
• 所属機関届出・特定技能関係届出資料
上記は典型的な確認資料であり、すべてのケースで同じ資料が法定必須という意味ではありません。出入国在留管理庁の公式提出書類を基礎にしつつ、個別事情を説明するために必要な補足資料を選びます。外国語資料には、審査上意味を持つ氏名・日付・金額・身分関係等を正確に反映した日本語訳を付けます。
4.行政書士として考える実務上の進め方
・退職に伴う届出と生活支援状況を確認する
・新しい会社・分野・業務区分を決める
・受入れ機関側の要件・支援計画を整える
・在留資格変更許可を申請し、許可後に新条件で就労する
申請を急ぐほど、先に結論を決めて資料を後付けしたくなりますが、順序は逆です。まず事実を確認し、現在の法令・公式運用に当てはめ、足りない資料と説明が必要な点を整理してから申請方針を決めます。特に在留期限や14日以内の届出期限がある場合は、期限管理と実体審査の準備を並行して進めます。
5.よくある誤解
「在留カードに特定技能1号と書いてあるので、許可期限まではどの特定技能会社でも自由に働ける」という制度ではありません。受入れ機関変更には変更許可が必要です。
入管手続では、似た状況でも現在の在留資格、申請区分、経歴、会社・家族の状況によって結論が変わります。インターネット上の過去事例をそのまま自分のケースに当てはめず、申請時点の制度と事実関係で確認することが大切です。
よくある質問
Q1 同じ外食業の店へ転職するだけでも変更許可が必要ですか?
A はい。受入れ機関を変更する転職では在留資格変更許可申請が必要です。2026年の外食業の特殊運用でも、既存特定技能1号の同分野内転職は通常審査の対象とされています。
Q2 退職後すぐ帰国しないといけませんか?
A 退職だけで在留資格が即日失効するわけではありませんが、活動状況・届出・転職準備を放置してよいわけではありません。個別状況に応じて早期に手続を進めます。
Q3 会社都合で働けなくなった場合に特定活動はありますか?
A やむを得ない事情による活動継続困難者向けの特定活動等が設けられていますが、対象・要件が限定されています。本人の状況が制度対象かを公式案内で確認します。
行政書士へ相談した方がよいケース
• 在留期限・届出期限が近く、手続の優先順位が分からない
• 公式の提出書類一覧だけでは、自分の事情をどう説明すべきか判断しにくい
• 転職、失業、家族変更、会社の経営状況など申請後・前回許可後に事情が変わっている
• 過去の届出、税金、年金、社会保険、在留状況に気になる点がある
• 不許可を避けるため、申請前に事実と立証資料の整合性を確認したい
行政書士鈴木茂事務所では、単に書類をそろえるだけでなく、現在の在留資格、これまでの経緯、申請後の生活・就労計画を確認し、どの事実をどの資料で説明するかを整理します。許可を保証することはできませんが、申請前に論点を明確にし、入管に伝わりやすい形へ整えることができます。
まとめ
特定技能は転職が可能ですが、受入れ機関または分野を変更する場合、在留資格「特定技能」の変更許可申請が必要です。新しい会社と契約しただけで直ちに特定技能として働き始めるのではなく、対象業務区分、試験・技能の対応、受入れ機関の基準、支援体制等を確認して変更許可を受けます。退職時の所属機関届出等も別途必要です。
在留資格の手続は、制度を知るだけでなく、自分の事実関係を正確に当てはめる作業が必要です。少しでも判断に迷う事情がある場合は、期限直前ではなく、資料を集められる段階で相談することをおすすめします。
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• 特定技能1号で外国人を雇用する会社が準備すべきこと
• 特定技能1号と2号の違い
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主な公的情報源
・出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」 https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/faq.html
・出入国在留管理庁「特定技能関係の申請・届出様式一覧」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/10_00020.html
・出入国在留管理庁「所属(契約)機関に関する届出」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri10_00015.html
・出入国在留管理庁「特定技能関係の特定活動」 https://www.moj.go.jp/isa/10_00214.html
・出入国在留管理庁「特定技能1号(外食業分野)の在留諸申請の審査状況」 https://www.moj.go.jp/isa/10_00259.html
※本記事は2026年10月8日時点で確認できる法令・出入国在留管理庁の公表情報を基に作成しています。制度改正、告示改正、運用変更等が行われることがありますので、実際の申請時には最新の公式情報をご確認ください。