技人国で認められる仕事・認められにくい仕事
技人国で仕事を見るときの基本的な考え方
技人国で最も重要なのは、職種名ではなく、実際に行う職務内容です。
たとえば、「営業職」という名前でも、海外取引先との交渉、外国語を用いた営業資料作成、海外市場調査、貿易実務などが中心であれば、専門性や国際業務性を説明しやすくなります。
一方で、同じ「営業職」でも、実際には店舗での販売、レジ対応、品出し、在庫整理、清掃が中心であれば、技人国としては認められにくくなります。
また、「マーケティング職」「通訳職」「ホテルスタッフ」などの名称を使っていても、実態として何をするのかが重要です。
入管審査では、雇用契約書、労働条件通知書、職務内容説明書、会社案内、事業計画、決算書類、採用理由書などから、実際の業務内容が確認されます。
技人国で認められやすい仕事の例
1 IT・システム開発業務
ITエンジニア、システムエンジニア、プログラマー、ネットワークエンジニア、データ分析業務などは、技術分野として技人国に該当しやすい代表例です。
ただし、情報系の学歴、実務経験、IT資格、業務内容との関連性が重要です。
たとえば、単にパソコンを使う事務作業ではなく、設計、開発、保守、分析、技術的サポートなど、専門的な技術・知識を必要とする業務であることを説明する必要があります。
2 機械・電気・建築等の設計業務
機械設計、電気設計、建築設計、CADオペレーション、製品開発、生産技術、品質管理なども、自然科学分野の専門知識を活かす業務として検討されます。
ただし、現場での組立作業、製造ライン作業、検品作業、梱包作業が主たる業務となる場合は注意が必要です。
技人国では、単純作業や現場作業そのものが中心となる業務は認められにくいからです。
3 通訳・翻訳業務
通訳・翻訳は、国際業務の代表的な業務です。
ただし、令和8年4月15日以降、カテゴリー3または4に該当する所属機関で、主に言語能力を用いて対人業務等に従事する場合には、業務上使用する言語についてCEFR・B2相当の言語能力を有することを証する資料が必要とされています。
日本語能力については、JLPT N2以上、BJTビジネス日本語能力テスト400点以上、日本の大学等を卒業していることなどが、CEFR・B2相当の日本語能力を有するものとみなされる例として示されています。
4 海外営業・貿易実務
海外取引先との交渉、輸出入業務、貿易書類の作成、海外市場向けの営業資料作成、海外顧客対応などは、国際業務または人文知識の分野として検討されることがあります。
ただし、単なる国内営業や店舗販売と区別して、どのように外国語能力、海外市場の理解、商学・経営学等の知識を用いるのかを具体的に説明する必要があります。
5 マーケティング・企画業務
マーケティング、商品企画、広告宣伝、海外向けSNS運用、外国人顧客向け市場調査、インバウンド向けサービス企画なども、技人国で検討されることがあります。
重要なのは、単なる販売促進補助ではなく、調査、分析、企画、戦略立案、効果検証など、専門性のある業務内容になっているかです。
6 デザイン・クリエイティブ業務
デザイナー、Webデザイナー、グラフィックデザイナー、商品デザイン、ファッション関連の企画・デザイン業務なども、技人国で検討される業務です。
出入国在留管理庁の公表事例でも、専門学校でデザインを学び、デザイン事務所でデザイナーとして創作業務に従事するケースや、服飾業の会社でファッションコーディネーターとして商品企画販促や商品ディスプレイの考案等に従事するケースが許可事例として示されています。
技人国で認められにくい仕事の例
1 店舗での販売・接客が主たる業務
店舗での販売、レジ対応、品出し、商品陳列、在庫整理、清掃などが主な業務である場合、技人国としては認められにくいです。
出入国在留管理庁の公表事例でも、専門学校でデザインを学んだ方が服飾業の店舗で専ら接客・販売業務に従事するケースや、経理を学んだ方が衣料品販売店で専ら販売業務に従事するケースは、不許可事例として示されています。
2 飲食店での調理・接客が主たる業務
飲食店での調理、ホール接客、配膳、レジ、清掃などが主な業務である場合も、技人国としては認められにくいです。
たとえば、飲食店チェーンの海外展開業務を行うとして申請しても、実際には長期間、店舗で調理・接客業務に従事させる計画であることが明らかになったケースは、不許可事例として示されています。
飲食業で外国人を雇用する場合には、技人国以外にも、特定技能、技能、特定活動など、別の在留資格を検討すべきケースがあります。
3 製造ライン・工場作業が主たる業務
工場での製造ライン作業、組立、検品、梱包、仕分け、単純な機械操作などが主たる業務である場合、技人国としては認められにくいです。
ただし、同じ製造業でも、生産技術、品質管理、設計、研究開発、海外工場との技術調整など、専門的な技術・知識を必要とする業務であれば、技人国として検討できる場合があります。
4 清掃・警備・介護などの現場業務
清掃、警備、介護の直接業務などが主な仕事である場合、技人国としては通常認められにくいです。
これらの分野では、業務内容によって、特定技能、介護、技能実習からの移行、育成就労制度など、別制度の検討が必要になる場合があります。
5 「研修」といいながら長期間現場作業をさせるケース
入社後に短期間の実地研修を行うこと自体が、常に否定されるわけではありません。
出入国在留管理庁の公表資料でも、在留期間中の活動を全体として捉えて判断し、技人国に該当しない業務に一時的に従事する場合でも、それが企業における研修の一環で、在留期間の大半を占めるようなものでなければ、許可されるケースがあると示されています。
しかし、実際には長期間、店舗で販売・接客・調理などをさせる計画である場合は注意が必要です。
公表事例でも、実地研修の名目で1年間販売・接客業務をさせる計画や、3年間の滞在予定のうち2年間を店舗で調理・接客業務に従事させる計画は、不許可事例として示されています。
判断が難しい仕事
1 ホテル・旅館業
ホテル・旅館業では、フロント、予約管理、通訳、外国人顧客対応、海外向けマーケティング、インバウンド企画など、技人国で検討できる業務があります。
一方で、客室清掃、配膳、ベッドメイク、単純な接客、レストランホール業務などが主たる活動となる場合は、技人国としては慎重な判断が必要です。
令和8年4月15日以降、カテゴリー3または4に該当する所属機関で、ホテルフロント業務等の接客を伴う業務に主に従事する場合には、CEFR・B2相当の言語能力資料が問題となることがあります。
2 小売業・免税店
小売業や免税店では、単なる販売・レジ・品出しが中心であれば、技人国としては認められにくいです。
ただし、海外顧客向けマーケティング、外国語を用いた法人営業、海外仕入れ、貿易実務、外国人向け商品企画、海外広報など、専門性や国際業務性が明確な場合には検討できる余地があります。
3 飲食業
飲食業では、店舗での調理・接客が中心の場合、技人国ではなく、別の在留資格を検討すべきことが多いです。
一方で、本部での海外展開業務、海外フランチャイズ管理、外国人向けマーケティング、商品開発、貿易実務などであれば、業務内容によって技人国として検討できる可能性があります。
ただし、名目上は本部業務でも、実態として店舗での接客・調理が中心であれば、不許可リスクが高くなります。
4 人材紹介・登録支援・外国人支援業務
外国人材の採用支援、登録支援機関での相談対応、通訳・翻訳、制度説明、海外人材との連絡調整などは、業務内容によって技人国で検討できる場合があります。
ただし、単なる送迎、生活補助、現場同行、単純な事務作業のみが中心となる場合には、専門性の説明が難しくなることがあります。
技人国で認められるかを判断する5つのチェックポイント
1 主たる業務が専門的か
技人国で最も大切なのは、主たる業務が専門的かどうかです。
一時的に現場研修があっても、在留期間中の活動全体として、専門業務が中心である必要があります。
2 学歴・専攻・職歴と業務がつながっているか
申請人が学んできた内容、または経験してきた業務と、実際に日本で行う仕事に関連性があるかが重要です。
3 会社にその業務が実際に存在するか
会社の事業内容、取引先、売上、組織体制から見て、その外国人に任せる専門業務が実際にあるかが確認されます。
4 職務内容説明書で具体的に説明できるか
「通訳・翻訳」「マーケティング」「海外営業」といった職種名だけでは不十分です。
具体的に、誰に対して、どの言語で、どのような資料を作成し、どのような専門知識を使い、どのような成果物を出すのかを説明する必要があります。
5 人手不足対策になっていないか
技人国は、人手不足を補うために単純作業を行わせる在留資格ではありません。
採用理由が「日本人が集まらないから」「現場の人手が足りないから」だけになっている場合は危険です。
採用理由書では、その外国人の学歴、経験、語学力、専門性が、会社のどの業務に必要なのかを説明することが重要です。
企業様が特に注意すべきポイント
外国人雇用では、採用活動の段階で在留資格の見通しを確認することが重要です。
特に、次のような企業様は注意が必要です。
初めて外国人を雇用する
留学生を新卒採用する
中小企業・新設会社である
カテゴリー3または4に該当する
ホテル・飲食・小売・製造業で採用する
接客や現場研修を予定している
通訳・翻訳業務として申請したい
日本語N2、CEFR B2相当資料の要否が不安
職務内容説明書や雇用理由書の作成に不安がある
令和8年4月15日以降、カテゴリー3または4に該当する場合には、所属機関の代表者に関する申告書や、一定の場合の言語能力資料が追加で必要とされています。
そのため、従来よりも、会社側の体制、代表者情報、業務内容、言語能力の確認が重要になっています。
行政書士に相談した方がよいケース
次のような場合には、申請前に行政書士へ相談することをおすすめします。
この職務内容で技人国に該当するか不安
留学生を採用したい
専門学校卒業者を採用したい
ホテル・飲食・小売・製造業で外国人を雇用したい
接客や現場研修を含む職務内容で申請したい
学歴と職務内容の関連性が弱い
会社がカテゴリー3または4に該当する
CEFR B2相当資料の要否を確認したい
不許可後に再申請したい
追加資料提出通知が届いている
技人国は、採用後に考えるのではなく、採用前に「この業務で申請できるか」を確認することが大切です。
行政書士鈴木茂事務所のサポート
行政書士鈴木茂事務所では、外国人ご本人と日本企業様の双方に向けて、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の申請をサポートしています。
当事務所では、単に申請書を作成するだけではなく、次の点を丁寧に確認します。
予定職務が技人国に該当するか
学歴・職歴と職務内容の関連性
会社の事業内容と採用理由の整合性
業務内容の専門性
給与水準
研修内容の適正性
カテゴリー区分
令和8年4月15日以降の追加書類
不許可リスク
追加資料対応の方針
特に、ホテル、飲食、小売、製造業、通訳・翻訳、海外営業、マーケティング、IT、専門学校卒業者の申請では、職務内容の組み立て方が非常に重要です。
外国人雇用を検討している企業様、または内定後の在留資格変更に不安がある外国人の方は、申請前に一度ご相談ください。
よくある質問
Q1 コンビニやスーパーの販売員として技人国は取れますか?
専らレジ、品出し、接客、清掃などを行う場合は、技人国としては認められにくいです。
ただし、本部での海外展開、商品企画、外国人向けマーケティング、貿易実務など専門業務が中心であれば、別途検討できる場合があります。
Q2 飲食店のホールスタッフとして技人国は取れますか?
ホール接客や調理が主な業務である場合、技人国としては認められにくいです。
飲食業では、特定技能や技能など、別の在留資格を検討すべき場合があります。
Q3 ホテルのフロント業務は技人国で認められますか?
業務内容によります。
外国語を用いたフロント業務、予約管理、通訳、海外顧客対応、インバウンド企画などであれば検討できる場合がありますが、単純な接客や清掃等が中心の場合は注意が必要です。令和8年4月15日以降は、一定の場合にCEFR・B2相当の言語能力資料も問題となります。
Q4 研修として店舗業務をさせることはできますか?
一時的な実地研修が直ちに否定されるわけではありません。
ただし、研修が在留期間の大半を占める場合や、実態として店舗業務をさせる計画である場合は、不許可リスクがあります。出入国在留管理庁の公表事例でも、長期間の販売・接客・調理を研修名目で行わせる計画は不許可事例として示されています。
Q5 職種名を「マーケティング」や「通訳」にすれば大丈夫ですか?
職種名だけでは不十分です。
実際に行う業務内容、学歴・職歴との関連性、会社の事業内容、業務量、成果物、給与水準などを総合的に説明する必要があります。
まとめ
技人国で認められるかどうかは、職種名ではなく、実際に行う業務内容によって判断されます。
認められやすいのは、IT、設計、通訳・翻訳、海外営業、貿易、マーケティング、企画、デザインなど、専門的な知識・技術や外国人ならではの能力を必要とする業務です。
一方で、店舗での販売・接客、飲食店での調理・ホール業務、工場の製造ライン作業、清掃、単純作業などが主たる業務である場合は、技人国として認められにくくなります。
外国人を採用する企業様は、内定前の段階で、予定業務が技人国に該当するかを確認することが大切です。
外国人ご本人も、内定先の職務内容が在留資格に合っているかを早めに確認することで、不許可リスクを下げることができます。
技人国申請で不安がある場合は、申請前に専門家へ相談し、職務内容、必要書類、説明方針を整理することをおすすめします。
本記事は、2026年5月時点の出入国在留管理庁の公表情報を踏まえて作成しています。
実際の申請にあたっては、最新の公表情報を確認し、個別事情に応じた判断が必要です。