留学生の内定から4月入社まで|技人国・高度専門職1号ロの申請時期と「卒業待ち」の空白を防ぐ実務

留学生採用は、内定を出した瞬間より、その後の数か月の段取りで成否が決まります。卒業研究、引っ越し、入社研修、在留資格変更が同時に進むからです。本人は「内定したので安心」、会社は「4月1日から当然に働ける」と思っていても、許可が間に合わなければ、双方にとって苦しいスタートになります。

 

4月入社の目安

出入国在留管理庁は、4月就職予定者について、審査の混雑を踏まえ、前年12月1日から1月末頃までの申請を案内しています。卒業見込で申請する場合も、許可時の卒業証明書の提出方法まで予定に入れてください。

 

内定後に集めるのは、申請書だけではない

まず確認するのは、学校種別、学位・称号、専攻科目、就職後の職務、雇用形態、勤務地、給与です。大学・大学院卒であれば専攻と職務の関連性を、専門学校卒であれば専門士・高度専門士の付与や履修内容との具体的関連を丁寧に整理します。

会社側は、雇用契約書、登記事項証明書、決算関係資料、事業内容資料に加え、なぜその留学生をその部署で採用するのかが分かる職務内容説明書を準備します。「総合職」「事務全般」「店舗運営」といった広い表現だけでは、専門業務が見えません。

 

2025年12月1日からの提出書類省略措置

一定の留学生の就職手続では、2025年12月1日から提出書類を省略できる取扱いが始まりました。対象には、日本の大学・大学院・短期大学の卒業者・卒業見込者等、海外の一定の優秀大学の卒業者等、または過去に留学生から就労資格への変更許可実績がある一定の受入れ企業が含まれます。

ただし、派遣形態はこの省略措置の対象外とされ、対象に該当しても審査上必要な追加資料を求められることがあります。「省略できる=業務内容の審査が簡単になる」わけではありません。むしろ、少ない資料でも職務と専攻の対応関係が読み取れるよう、説明の質が重要です。

 

卒業証明書がまだないとき

卒業前でも、卒業見込証明書等を用いて申請を進められる場合があります。もっとも、最終的な許可・在留カード受領の際には卒業証明書等の提出を求められます。卒業単位が不足した、論文審査が延びたなどの事情が生じれば、前提が変わるため、本人から会社へ直ちに共有する仕組みを作ってください。

 

卒業から入社まで間が空く場合

秋卒業で翌春入社など、卒業後すぐに就職しない場合には、内定者としての「特定活動」を検討します。公的Q&Aでは、一般に内定後1年以内で、卒業後1年6か月を超えない範囲が示されています。内定先との連絡、生活費、住居、必要に応じた資格外活動の扱いを含めて準備します。

ここで大切なのは、卒業後も「留学」のままでよいと考えないことです。卒業により在籍活動が終了した後の在留資格は、就職時期に合わせて適切に変更する必要があります。

 

許可前の研修・アルバイトに注意

留学の資格外活動許可があっても、原則週28時間以内という枠を超えてフルタイム勤務することはできません。会社の新入社員研修が有給で、実質的に勤務であるなら、技人国等の変更許可前に参加させない運用が必要です。入社日、給与発生日、社会保険資格取得日を人事・給与担当と共有してください。

4月入社は「12月1日から1月末まで」を基準に逆算する

出入国在留管理庁は、4月からの就労を希望する留学生について、12月1日から1月末までの間に在留資格変更許可申請を行うよう案内しています。例年1月から3月は申請が集中し、書類不足や申請の遅れがあると4月1日までに審査が終わらない可能性があるためです。

ただし、現在の「留学」の在留期限が1月31日以前で、同日以降も在学活動を続ける場合は、先に「留学」の在留期間更新が必要となることがあるため、単純に12月へ変更申請を前倒しできるとは限りません。学校の卒業予定日、在留期限、入社日を一枚の工程表にして確認します。

 

2025年12月1日開始の省略措置を数字で確認する

提出書類省略の対象となり得るのは、①日本の大学・大学院・短期大学の卒業者または卒業予定者、②QS、THE、ARWUの3つの世界大学ランキングのうち2つ以上で上位300位以内に入る海外大学の卒業者、③同じ勤務先に「留学」から対象就労資格へ変更した外国人が現に勤務し、その勤務先で少なくとも1回の在留期間更新許可を受けている場合、のいずれかです。派遣形態は対象外です。

 

2024年の留学生就職許可実績

2024年に留学生等から就労資格への変更が許可された人数は39,766人でした。このうち「技術・人文知識・国際業務」は31,393人で78.9%を占めます。国籍・地域別では、中国14,511人(36.5%)、ベトナム8,484人(21.3%)、ネパール3,909人(9.8%)が上位でした。数字は採用市場の広がりを示しますが、個別申請の許可率を示すものではありません。

秋卒業から翌春入社までの内定待機では、一般に内定後1年以内、かつ卒業後1年6か月を超えない範囲で「特定活動」を検討します。卒業後は「留学」の資格外活動許可でアルバイトを続けられるとは限らず、学籍がなくなった後は「留学」の活動が終了している点にも注意が必要です。

 

よくあるご質問

Q. 高度専門職1号ロの70点がありそうなら、最初から申請できますか。

A. 可能性があります。就労内容が高度専門職1号ロに該当し、学歴、年収、年齢、研究実績、資格、日本語能力等を証明して70点以上となることが必要です。技人国とどちらが本人の働き方に合うかも比較します。

Q. 申請が遅れ、4月1日に許可が出ていません。会社に出社だけしてもよいですか。

A. 雇用契約上の就労や有給研修に当たる活動は避ける必要があります。無給の式典参加等も実態により判断が必要なため、会社だけで決めず、具体的な内容を確認してください。

 

留学生採用は、内定通知より先に「申請カレンダー」を作る

行政書士鈴木茂事務所では、学校種別と専攻、卒業日、入社日、会社カテゴリー、職務内容を確認し、提出資料と日程を一枚の流れに整理します。本人・学校・企業の連絡が途切れやすい時期だからこそ、早い段階から伴走します。

 

確認した主な公的資料

・出入国在留管理庁「留学生の就職手続に係る提出書類の省略等」

・出入国在留管理庁「技術・人文知識・国際業務」

・出入国在留管理庁「高度専門職」

・出入国在留管理庁「在留資格『留学』から就労資格への変更申請を予定されている皆様へ」

・出入国在留管理庁「令和6年における留学生の日本企業等への就職状況について」

制度確認日:2026年7月17日

 

【この記事の執筆・監修者】

申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。

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