家族滞在からフルタイム就職へ|週28時間の働き方を卒業し、本人名義の技人国へ変更する手順

家族滞在で来日し、子育てや生活が落ち着いた後に、もう一度専門職として働きたいと考える方は少なくありません。日本語を学び、パート先で信頼され、正社員登用を打診されることもあります。これは本人にとって大きな一歩ですが、資格外活動許可の延長線上でフルタイムへ移れるわけではありません。

 

週28時間の意味

家族滞在は扶養を受けて生活するための在留資格です。包括的な資格外活動許可を得ている場合でも、原則として週28時間以内です。正社員として専門業務にフルタイムで従事するなら、本人自身の就労資格への変更を検討します。

 

「採用したい」と「技人国に該当する」は別問題

勤務態度が良く、日本語が上達していることは採用判断として重要です。しかし、技人国では、採用後の主たる業務が専門的であること、大学等の専攻または一定の職歴との関連性、雇用契約、報酬、会社の事業実態が審査されます。

現在のパート業務がレジ、品出し、配膳、製造補助などであれば、同じ仕事を週40時間に増やして職種名を「管理担当」に変えるだけでは足りません。たとえば本社の会計、海外営業、翻訳・通訳、システム開発、商品企画など、本人の学歴・経験を使う別の専門職務を具体化します。

 

海外の学歴や、結婚前の職歴を掘り起こす

家族滞在期間が長い方ほど、母国での学歴・職歴を申請資料に結び付けていないことがあります。卒業証明書、成績証明書、在職証明書が手元になければ、取り寄せに時間がかかります。学校の名称変更や勤務先の閉鎖がある場合は、代替資料や経緯説明も必要です。

技人国の「国際業務」では、翻訳・通訳、語学指導、海外取引等の一定の業務について、原則3年以上の関連実務経験が求められますが、大学卒業者が翻訳・通訳・語学指導に従事する場合の例外もあります。どの区分で要件を組み立てるかを先に判断します。

 

家族に支えられる立場から、自分の在留資格へ

技人国へ変更すれば、配偶者の在留資格や勤務先の事情だけに左右されず、本人の就労を根拠として在留することになります。これは自立につながる一方、失業や転職時には本人が所属機関に関する届出や次の就職活動を管理する必要があります。

また、扶養、税、社会保険、会社の家族手当などは在留資格とは別の制度です。在留資格を変更しただけで自動的に税法上・健康保険上の扶養から外れるのではなく、収入や勤務条件に応じて会社・年金事務所等で確認します。

 

高度専門職の配偶者には別ルートもある

主たる在留者が高度専門職の場合、その配偶者には、一定の条件の下で所定の就労資格に該当する活動を行える特例があります。通常の家族滞在の資格外活動とは異なるため、配偶者自身が技人国へ変更する方法と、どちらが家族の計画に合うかを比較します。

 

「週28時間」を一つの勤務先ごとに計算しない

家族滞在の方が包括的な資格外活動許可を受けている場合、就労は原則として1週について28時間以内です。複数の勤務先がある場合も、各社28時間ではなく、全勤務先の合計で28時間以内に収めます。どの曜日を週の起算日にしても連続する7日間で28時間を超えない勤務管理が安全です。

留学生には教育機関の長期休業期間中に1日8時間以内という取扱いがありますが、家族滞在には同じ拡張枠はありません。また、風俗営業等に係る活動は資格外活動許可の対象外です。正社員登用前は、勤務時間だけでなく業種・業務内容も確認します。

 

高度専門職の配偶者にある別の就労ルート

扶養者が高度専門職である場合、その配偶者には、同居し、日本人と同等額以上の報酬を受けるなどの条件を満たせば、学歴・実務経験要件を通常どおり満たさなくても、教育、研究、技人国等に相当する一定の就労を「特定活動」で行える特例があります。一般の家族滞在から技人国へ変更する場合とは必要書類と判断枠組みが異なるため、扶養者の在留資格も必ず確認してください。

技人国等へ変更し、新しい勤務先との契約を開始・終了した場合は、本人が所属機関等に関する届出を原則14日以内に行う場面があります。会社側の外国人雇用状況届出とは別の手続です。

 

よくあるご質問

Q. 正社員の内定が出れば、変更許可前から週40時間働けますか。

A. いいえ。現在の家族滞在と資格外活動許可の範囲を守る必要があります。フルタイムの専門業務は、原則として変更許可後に開始します。

Q. 配偶者と離婚した場合でも、技人国の申請中なら大丈夫ですか。

A. 家族関係の変化と就労資格への変更は別々に重要な問題です。現在の在留資格に関する届出や在留継続の可否を含め、直ちに個別相談が必要です。

 

これまでの生活経験を、次の専門職へつなぐ

行政書士鈴木茂事務所では、母国の学歴・職歴、現在の働き方、家庭の事情、内定先の職務を丁寧に確認します。単に「家族滞在を変える」のではなく、本人が自分の専門性で働き続けられる在留資格設計を一緒に考えます。

 

確認した主な公的資料

・出入国在留管理庁「家族滞在」

・出入国在留管理庁「資格外活動許可申請」

・出入国在留管理庁「技術・人文知識・国際業務」

・出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』の明確化等」

・出入国在留管理庁「高度専門職」

・出入国在留管理庁「資格外活動許可について」

・出入国在留管理庁「高度人材ポイント制Q&A」

・出入国在留管理庁「所属機関等に関する届出」

制度確認日:2026年7月17日

 

【この記事の執筆・監修者】

申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。

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