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技人国で「営業職」は認められる?国内営業・法人営業・海外営業の違いを行政書士が解説
「営業職で外国人を採用したいのですが、技術・人文知識・国際業務で申請できますか」。企業様から非常に多いご相談です。営業と聞くと、すぐに許可が難しいと考えられがちですが、実際には営業の中身によって判断は大きく変わります。単なる飛び込み営業や店舗での販売補助ではなく、法人顧客との商談、海外取引先との交渉、マーケティング分析、契約条件の調整など、大学等で学んだ知識や外国語・外国文化への理解を活かす業務であれば、技人国の対象として整理できる可能性があります。
この記事で分かること
• 営業職でも、職務内容が専門的な知識を要する業務であれば検討可能です。
• 国内営業・海外営業・法人営業では、説明すべきポイントが異なります。
• 単なる販売、レジ、配送、倉庫作業が中心になるとリスクが高くなります。
1. 技術・人文知識・国際業務の基本
技術・人文知識・国際業務は、日本の会社等との契約に基づき、自然科学又は人文科学の分野に属する技術・知識を要する業務、又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事するための在留資格です。出入国在留管理庁の在留資格一覧でも、該当例として機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師、マーケティング業務従事者等が示されています。
この在留資格で重要なのは、会社が付けた職種名ではなく、実際に担当する業務の中身です。営業、事務、サポート、企画、管理という名称であっても、専門的な知識を使う業務であれば検討できます。一方、主たる業務が単純作業、反復作業、現場補助、接客販売、製造ライン作業等である場合は、技人国としての説明が難しくなります。
2. 審査で見られやすい5つの視点
• 申請人の学歴・職歴と職務内容に関連性があるか。
• 会社の事業内容から見て、その職務が実際に必要といえるか。
• 主たる業務が専門的業務であり、単純作業が中心になっていないか。
• 日本人と同等額以上の報酬が予定されているか。
• 雇用契約、勤務場所、業務内容、給与、会社資料に矛盾がないか。
3. 営業職で大切なのは「何を売るか」より「どのように売るか」
営業職の申請では、商品名やサービス名だけではなく、その営業活動にどのような専門性があるかを説明することが重要です。たとえば、法人向けのシステム、産業機械、貿易商材、観光サービス、広告商品などでは、顧客の課題を把握し、提案資料を作成し、価格・納期・契約条件を調整する場面があります。このような業務は、経済学、経営学、商学、国際関係、語学、マーケティング等の知識との関連性を整理しやすい分野です。
4. 認められやすい営業職の例
認められやすいのは、法人顧客に対する提案営業、海外取引先との商談、展示会での商談対応、海外市場調査を伴う営業、既存顧客への契約更新提案、営業資料の企画作成、売上データ分析を伴う営業企画などです。これらは、単に「売る」だけではなく、顧客の事業内容を理解し、課題解決型の提案を行う業務です。雇用理由書では、日々の業務を細かく分け、専門業務が中心であることを示す必要があります。
5. 注意すべき営業職の例
一方で、店舗での接客販売、レジ、品出し、配達、ポスティング、電話をかけるだけの営業、マニュアル通りの受付対応が中心の場合は、技人国として説明することが難しくなります。営業という名称を付けても、実態が現場作業や販売補助であれば、在留資格該当性が問題になります。肩書きではなく、実際の時間配分と業務内容が見られる点に注意が必要です。
6. 会社が準備すべき資料
営業職で申請する場合は、会社案内、商品・サービス資料、営業先リスト、提案書のサンプル、商談フロー、海外顧客とのやり取り、部署体制図、職務内容説明書などが有効です。採用予定者の学歴・職歴と営業内容のつながりも説明します。特に中小企業では、会社の事業実態と採用の必要性を分かりやすく示す資料が大切です。
7. 認められやすい業務と注意が必要な業務
認められやすい業務の方向性
法人顧客への課題ヒアリングと提案資料作成
海外取引先との商談、価格・納期・契約条件の調整
市場調査、営業戦略、販売データ分析を伴う営業企画
注意が必要な業務
店舗販売、レジ、品出し、配送が中心
飛び込み営業や架電のみで専門性が薄い
営業補助という名目で雑務が多い
上記のように、同じ職種名であっても、担当する業務の中身によって評価は変わります。申請書や雇用契約書の職種名だけを整えても不十分で、実際の業務フロー、担当範囲、業務割合、社内での位置づけまで説明することが重要です。
8. 会社側が準備したい資料
技人国の申請では、申請人側の学歴・職歴資料だけでなく、受入企業側の説明資料が非常に重要です。特に中小企業や新しい事業部門での採用では、会社の外側から業務実態が見えにくいため、審査官が会社の事業内容と採用必要性を理解できる資料を整える必要があります。
• 商品・サービス資料
• 提案書サンプル
• 商談フロー・顧客管理資料
また、カテゴリー3・4に該当する企業では、会社の規模や実績、事業の継続性、給与支払い能力を丁寧に説明することが大切です。令和8年4月15日以降の申請では、カテゴリー3又は4に該当する場合に追加資料が求められる取扱いも示されているため、最新の提出書類を確認したうえで準備する必要があります。
9. 雇用理由書・職務内容説明書で整理すべきこと
雇用理由書では、会社の事業内容、採用に至った経緯、申請人の学歴・職歴、担当予定業務、業務割合、既存社員との役割分担、給与水準、将来的な期待役割を整理します。特に、専門業務と補助的業務が混在する職種では、日々の業務を時系列又は割合で示し、主たる業務が技人国に該当する活動であることを分かりやすく説明することが大切です。
職務内容説明書では、抽象的な表現を避けます。「営業業務」「事務業務」「マーケティング業務」とだけ記載するのではなく、誰に対して、どの資料を使い、どのような判断・分析・調整を行うのかを具体的に書く必要があります。審査官が会社の現場を見なくても職務内容を理解できるようにすることが、許可可能性を高めるうえで重要です。
さらに、申請人本人の専攻科目、成績証明書、職務経歴、資格、語学力と、会社で任せる業務との接点を丁寧につなげます。「優秀だから採用したい」という表現だけではなく、「なぜその人の知識・経験がこの会社のこの職務で必要なのか」を書くことが、専門家が作成する書類のポイントです。
10. 不許可・追加資料を避けるための実務上の注意点
技人国の申請で追加資料通知が出やすいのは、職務内容が抽象的な場合、学歴との関連性が分かりにくい場合、会社の事業内容から見て業務量が不明な場合、現場作業との区別が曖昧な場合です。最初の申請段階で、疑問を持たれそうな点を先回りして説明しておくことが、審査をスムーズに進めるうえで重要です。
特に、外国語を用いる対人業務、ホテル・観光・接客を含む職種、派遣・請負・SESのように勤務場所と契約先が分かれるケース、小規模企業で初めて外国人を採用するケースでは、申請書の記載だけで十分に伝わらないことがあります。雇用理由書、職務内容説明書、業務割合表、会社案内を組み合わせて、制度に沿った説明に整える必要があります。
11. よくある質問
Q. 営業職というだけで不許可になりますか?
A. 営業職という名称だけで直ちに不許可になるわけではありません。専門知識を要する提案営業、海外営業、営業企画などであることを具体的に示す必要があります。
Q. 新卒で営業職に就く場合でも申請できますか?
A. 大学や専門学校で学んだ内容と職務内容に関連性があり、営業業務に専門性が認められる場合は検討できます。
Q. 専門学校卒でも申請できますか?
A. 日本の専修学校専門課程を修了し、専門士又は高度専門士の称号を得ている場合など、学歴と職務内容の関連性を丁寧に説明できれば検討可能です。海外の学歴や実務経験で申請する場合は、卒業証明書、成績証明書、在職証明書等の整合性を確認します。
Q. 単純作業が少し含まれると不許可になりますか?
A. 補助的・付随的な範囲であれば直ちに不許可というわけではありません。ただし、主たる業務が専門的業務であること、単純作業が中心ではないことを業務割合や職務内容で説明する必要があります。
12. まとめ
営業職での技人国申請は、職務内容の切り分けが結果を左右します。行政書士鈴木茂事務所では、企業の営業実態を丁寧に確認し、雇用理由書・職務内容説明書を制度に沿って整理いたします。
参考公的情報
• 出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」
• 出入国在留管理庁「在留資格一覧表」
• 出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請」
• 出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」
• 出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請」
• 出入国在留管理庁「所属(契約)機関に関する届出」
• 厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)
【この記事の執筆・監修者】
申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。
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