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過去のオーバーステイ・退去強制歴がある人の再来日――上陸拒否期間後も必要な説明
過去に日本での滞在中にうっかり期限を過ぎてしまった「オーバーステイ(不法滞在)」の経験がある方や、入国管理局の摘発を受けて「退去強制処分(退去強制)」となり、日本の土を踏めなくなってしまった経験を持つ外国人の方がいらっしゃいます。
退去強制歴がある場合は、処分理由に応じた上陸拒否期間が設けられることがあります。期間が経過しても、過去の違反歴が審査資料から消えるわけではなく、再入国の必要性、家族関係、現在の生活状況などが個別に確認されます。申請前に退去強制令書や出国記録を確認してください。
上陸拒否期間が満了しても、その後の査証発給や上陸が自動的に認められるわけではありません。過去の退去強制・出国命令の経緯、現在の生活状況、再入国の必要性、身元保証などを資料に基づいて説明する必要があります。
1. 審査で確認されるポイント:過去の記録は「永久に消えない」
過去の出入国・在留違反、退去強制手続、指紋・顔写真等に関する記録は、将来の査証・上陸審査で確認されることがあります。保存期間や照会範囲を一律に断定することはできませんが、旅券を更新しても過去の履歴がなくなるわけではありません。
過去の違反歴を記載せず、申請内容と公的記録に相違がある場合は、申告の信用性に影響する可能性があります。過去の事実を正確に記載し、現在の事情と再発防止を説明してください。
2. 実務上のポイント:期間満了後も「なぜ再び日本へ入れるべきか」の正当な理由
上陸拒否期間満了後の申請では、過去の違反歴を正確に申告し、その経緯、反省、再発防止、今回の入国目的を客観的資料で説明します。一定期間が経過したことだけで許可が決まるわけではありません。
再入国の可能性を検討しやすい主な事情
• 日本人の配偶者・家族の存在(身分系資格): 日本に残された日本人の妻や子供がおり、過去5年間の拒否期間中も本国と日本との間で健気に遠距離交際を続け、経済的・精神的に強固な婚姻関係が継続しているという「家族の結合の必要性(人道的な配慮)」。
• 過去の違反後に本国で専門的な職歴や資格を積み、日本企業から具体的な職務内容・雇用条件で招へいされる場合。専門性、受入れの必要性、再発防止等を資料で説明します。
3. 「反省文(上申書)」と「これまでの歩み」を一本の線でつなぐ
申請の際には、本人の直筆(日本語訳付き)による「反省上申書」と、日本側の招聘者(配偶者や企業)による「身元保証及び招聘理由書」を添付します。
書面の内容は、美辞麗句を並べるのではなく、以下の構成でロジカルに構築します。
1. 過去の違反については、発生時期、経緯、その後の対応を事実に即して説明します。反省文を提出する場合も、過度に感情的な表現を用いるのではなく、法令違反を認識していることと、再発防止のために現在行っている対応を具体的に記載することが重要です。
2. 拒否期間中の本国での適法な更生記録: 過去5年間、本国で真面目に就労し、現地の税金を適切に納めてきたことの証明書(在職証明や納税証明)を添付し、現在の素行が善良であることを数値で証明します。
3. 今回の来日目的の真正性: なぜ他の国ではなく、再び日本でなければならないのかの熱意と正当性を、客観的な資料(婚姻生活の証拠や企業の事業計画など)で強固に裏付けます。
よくある質問と実務回答
退去強制歴がある方の短期滞在査証は、拒否期間満了後であっても、渡航目的、滞在予定、帰国の確実性、過去の経緯などが慎重に確認されます。家族との同居を目的とする場合は、短期滞在ではなく、日本人の配偶者等その他の適切な在留資格による在留資格認定証明書交付申請が適することもあります。
上陸拒否期間の5年が明ける「半年前」から、日本側でビザ(COE)の呼び寄せ申請の書類をあらかじめ入管へ提出しておくことはできますか?
実務上、提出は可能ですが、入管の審査では実際の「許可」の処分を出すのは、原則として5年の拒否期間が1日でも過ぎた「満了日の翌日以降」となります。拒否期間中に申請を出すこと自体は違法ではありませんし、入管も事前の書類審査を進めてくれますが、あまりに早すぎる段階(1年前など)で出すと、「期間満了を真摯に待つ姿勢が足りない」とみなされたり、書類の有効期限(3ヶ月)が切れて再提出を求められるリスクがあります。目安として「満了日の2〜3ヶ月前」に専門家を交えて書類を提出するのが、特にスマートな工程管理です。
出国命令制度を利用した場合の上陸拒否期間は、法令上の要件と個別の出国経緯を確認する必要があります。期間満了後も就労資格が自動的に認められるわけではなく、受入企業、職務内容、過去の違反歴、再発防止などが審査されます。
行政書士鈴木茂事務所からのメッセージ
過去のオーバーステイや退去強制という歴史は、確かに重い十字架です。しかし、日本の入管法には、過去に一度失敗をしてしまった人であっても、その後の生き方が清廉であり、日本に真に必要な正当な理由があれば、再び社会へ迎え入れるための「上陸特別許可(裁量)」の精神が息づいています。
当事務所では、事実関係と提出資料を確認し、理由書・説明書を含む申請書類の作成を支援しています。許可の可否は入管の個別審査によるため、結果を保証するものではありません。
• 公的リファレンス・参照一次情報:
o 出入国在留管理庁「入管法第5条第1項各号(上陸の拒否事由に関する条文)」
o 法務省「在留特別許可・上陸特別許可の判断基準に関するガイドライン」
o 入国審査要領(過去の不法滞在者に対する再入国審査基準)
【この記事の執筆・監修者】
申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。
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