入管から電話が来たときの対応――分からない質問に推測で答えない

在留資格(ビザ)の更新や変更、あるいは永住許可申請を行って結果を待っている審査期間中に、あなたの携帯電話や、受け入れ企業のオフィス、あるいは国際結婚をした日本人の配偶者の自宅へ、入国管理局の入管から直接「お電話」がかかってくることがあります。

これは俗に「入管の電話照会(調査)」と呼ばれる実務であり、審査では提出された書類を読み進める中で、「書類のこの記載内容について、本人の口から直接真実を確かめたい」「実際に会社に在籍して働いているのか、抜き打ちで確認したい」と考えた際に行われる、重要な口頭審査です。

入管から電話照会を受けた場合は、記憶が曖昧な事項を推測で回答せず、申請書類の控えを確認してから正確に回答することが重要です。

本記事では、入管から電話照会を受けた場合の確認手順と、回答内容を訂正・補足する方法を解説します。

 

1. 特に重要な基本:曖昧な記憶や「推測」で答えるのは避けるべきです

入管から電話照会を受けた際は、記憶が曖昧なことや確認できていない数字を、その場で断定的に答えないことが大切です。「確認のうえ回答します」と伝え、申請書や関係資料を確認してから正確に回答してください。

電話確認では、提出済みの申請書と回答内容の整合性が確認されることがあります。入社日や交際経緯などについて記憶が曖昧な場合は、推測で答えず、「資料を確認して回答します」と伝える方が適切です。回答に相違が生じた場合は、速やかに事情を説明し、必要に応じて補足書面を提出します。

 

2. 特別なフレーズ:「確認して、後ほど正確に折り返します」の活用

突然の電話で頭が真っ白になったら、以下の対応を理性的かつ冷静に行ってください。これによって、法的な不利益を被るリスクをできる限り抑えることができます。

1. 審査上の情報のメモ: まず落ち着いて、相手の「入国管理局名」「部署名(例:就労審査第〇部門)」「担当審査上の氏名」、そして「申請の受付番号(分かれば)」を正確にメモします。

2. 保留・折り返しの申し出: 「大変申し訳ありません。今、突然のお電話で緊張しており、また手元に申請書の控えや当時の手帳がないため、正確な日付(数字)をお答えすることができません。間違いがあるとご迷惑をおかけしますので、確認のうえ、本日中(または明日まで)に担当の〇〇様宛てにお電話を折り返させていただいてもよろしいでしょうか?」と言い切ってください。

3. 審査上の反応: この対応をとられて怒る審査では一人もいません。むしろ「慎重で誠実な申請人である」というポジティブな評価に繋がります。審査では快く「では、〇〇番のダイヤルへ折り返してください」と教えてくれます。

 

3. 折り返しまでの「十分な準備」と専門家への共有

電話を一度切った後、次の行動が勝負を分けます。

ただちに手元にある「申請書類の控え」を開き、入管から聞かれた質問内容と書類の記述を丁寧に突き合わせます。国際結婚の配偶者の方であれば、夫婦で「あの質問の確認した事実はこれだね」と記憶のすり合わせ(事実の確認)を行ってください。

提出書類の誤りに気付いた場合は、誤った内容を重ねて回答せず、申請先へ訂正方法を確認してください。必要に応じて、訂正内容と経緯を記載した説明書を提出します。

 

よくある質問と実務回答

入管から電話があった際、日本語で十分に説明できない場合はどうすればよいですか?

電話での日本語対応が難しい場合は、その旨を伝え、通訳や代理人を介した連絡が可能か確認してください。電話に出なかったことだけで直ちに不許可となるわけではありませんが、照会を放置せず、期限や連絡方法を確認することが重要です。

受け入れ企業の固定電話に、入管から「〇〇さんは出社していますか?」と抜き打ちの電話が来ました。受付の社員が、私の名前を知らずに「そのような社員はいません」と答えてしまったそうです。ビザは不許可となる可能性がありますか?

会社への電話照会で在籍が確認できなかった場合は、担当部署の行き違いなどの事情を整理し、在職証明書、雇用保険記録、勤怠資料など、在籍と業務内容が分かる資料を追加提出する方法があります。提出方法と期限は申請先へ確認してください。

電話照会の有無だけで、審査の進捗や許可の見通しを判断することはできません。提出資料の確認のために電話が行われる場合もあれば、電話なしで審査が進む場合もあります。

 

行政書士鈴木茂事務所からのメッセージ

電話照会では、緊張して事実関係を正確に説明できないことがあります。質問を聞き取れない場合は、無理に回答せず、通訳の利用や書面での回答が可能か確認してください。

何度も申し上げますが、入管の電話に対して、その場で無理に満点の回答をする必要はありません。「一度止めて、書類を確認して、落ち着いた対応で正確に折り返す」。この技術さえ知っていれば、電話を恐れる理由は何もありません。もし、入管から電話が来てしまい、どう答えるべきか迷ったら、折り返す前に必要に応じて専門家へ相談してください。審査上の質問の意図を正確に見抜き、あなたがどのような言葉で回答すべきか、回答方針をお渡しいたします。

 

公的リファレンス・参照一次情報:

o 出入国在留管理庁「在留手続における適正な審査の実施について(案内)」

o 行政書士法第1条の3(官公署に提出する書類の作成及び相談業務に関する規定)

o 入国審査要領(電話照会及び実態調査に関する実施基準)

 

【この記事の執筆・監修者】

申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。

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