海外大学のインターンシップから日本企業へ就職するとき|「研修の延長」で働き始めないための在留資格設計

数か月間一緒に働き、「この人なら卒業後もぜひ迎えたい」と会社と学生の双方が思う。インターンシップからの採用は、履歴書だけでは分からない相性を確かめられる、とても自然な採用の形です。しかし、在留資格の場面では、その自然な流れがそのまま法的な連続性を意味するわけではありません。

海外大学の学生が報酬を得て日本でインターンシップを行う場合、一般に「特定活動(告示9号)」が検討されます。この活動は大学教育の一環として行う実習であり、卒業後の正社員勤務を当然に含むものではありません。内定が出ても、現在の指定された活動の範囲を超えてフルタイム勤務を始めることはできません。

 

最初に押さえたい結論

インターンとして高く評価されていても、正社員として予定する業務が技人国または高度専門職1号ロの要件を満たすかを、別の審査として組み立てる必要があります。 採用日より先に、変更申請と許可時期を逆算してください。

 

インターンの在留資格と、就職後の在留資格は目的が違う

特定活動(告示9号)のインターンシップは、外国の大学に在籍する学生が、日本企業との契約に基づき、大学の教育課程の一部として実習を行う制度です。期間は原則として1年を超えず、かつ大学の修業年限の2分の1を超えない範囲とされています。

一方、技術・人文知識・国際業務は、自然科学・人文科学の専門知識、または外国文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務に継続して従事するための在留資格です。高度専門職1号ロは、その就労内容を前提に、学歴、職歴、年収、年齢などのポイントが原則70点以上となる場合に検討します。目的が違うため、「同じ会社で同じ人が働く」という事実だけではつながりません。

 

卒業前に内定したときの三つの確認

第一は、学位取得の時期です。技人国では、大学等の専攻と担当予定業務との関連性、または所定の実務経験が審査されます。海外大学の卒業証明書がまだ発行されていない場合、卒業見込資料でどこまで進められるか、許可時に何を追加提出するかを個別に確認します。

第二は、正社員後の職務です。インターン期間中に商品登録、店舗補助、現場作業など幅広く経験していても、就職後の主たる業務が専門職であることが必要です。採用理由書では、インターンでの評価よりも、卒業後に担当する企画、設計、分析、開発、海外取引、通訳翻訳などの専門業務を中心に据えます。

第三は、許可前の働き方です。雇用契約の締結や内定は可能でも、現在の在留資格で許されていない活動は、変更許可前には始められません。入社式の日付と就労開始日を分ける、許可を停止条件とするなど、会社側の労務運用も整えておくことが安全です。

 

会社が準備すると説得力が増す資料

● インターン時の実習計画と、正社員後の職務内容を並べた説明書

● 卒業後に所属する部署の組織図、上司・同僚との役割分担

● 担当予定プロジェクト、使用する専門知識・システム・言語の説明

● 大学の専攻科目と職務との関連を示す成績証明書やシラバス

● 日本人の同等職と比べて不当に低くない報酬を示す雇用条件資料

 

高度専門職1号ロを同時に検討する場面

卒業時点で70点以上に達する見込みがある場合は、技人国ではなく高度専門職1号ロへの変更も選択肢になります。ただし、見込み年収や学位、職歴、資格等を証明できなければポイントにはできません。また、高度専門職1号ロは勤務先が指定されるため、将来の転職時には改めて在留資格変更許可申請が必要になる点も、本人に説明しておくべきです。

 

「1年」「修業年限の2分の1」「90日」でインターンを整理する

報酬を受ける海外大学生のインターンシップは、一般に特定活動(告示9号)を検討します。活動期間は1回につき1年を超えず、かつ在学中の通算期間が大学の修業年限の2分の1を超えない範囲です。たとえば4年制課程なら在学中の通算上限は2年ですが、1回の在留で認められる期間は最長1年です。2年制課程なら通算上限は1年となります。

無報酬の場合は別の整理です。活動期間が90日を超える場合は「文化活動」、90日以内の場合は「短期滞在」が基本的な検討対象となります。報酬の有無、大学の教育課程との関係、単位認定、実習計画、受入れ企業との契約を先に確認してください。

なお、高度専門職1号ロを卒業後の就職先で選ぶ場合は、原則70点以上に加え、年収が300万円に達しないと、他の項目で70点を超えていても認定されません。新卒採用では、予定年収を雇用契約書や報酬証明で確実に裏付けることが重要です。

 

よくあるご質問

Q. インターン先と就職先が同じなら、職務内容の説明は簡単でよいですか。

A. いいえ。同じ会社でも、教育課程としての実習と、卒業後の専門職としての勤務は別の活動です。正社員後の業務、業務割合、専攻との関連性を改めて具体化します。

Q. 変更申請中はインターンを続けられますか。

A. 現在の在留資格と指定書で認められた範囲内であれば継続できる場合がありますが、正社員としてのフルタイム勤務へ先に切り替えることはできません。現在の活動内容、契約期間、在留期限を個別に確認してください。

 

インターン採用を「良い出会い」のまま終わらせないために

行政書士鈴木茂事務所では、インターン時の活動、大学の専攻、卒業時期、正社員後の職務を一つの時系列に整理し、技人国または高度専門職1号ロへの変更申請を支援します。会社と学生の双方が安心して初日を迎えられるよう、内定段階からご相談いただけます。

 

確認した主な公的資料

・出入国在留管理庁「外国の大学の学生が行うインターンシップ」

・出入国在留管理庁「外国人留学生のインターンシップに係るガイドライン」

・出入国在留管理庁「技術・人文知識・国際業務」

・出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」

・出入国在留管理庁「高度専門職」

・出入国在留管理庁「インターンシップをご希望のみなさまへ」

・出入国在留管理庁「高度人材ポイント制Q&A」

制度確認日:2026年7月16日

 

【この記事の執筆・監修者】

申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。

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