難民認定申請中の就労と在留――『申請すれば働ける』という誤解

在留期限が近いことだけを理由に、難民に該当する事情がないまま難民認定申請を行うことは適切ではありません。誤った助言をする無資格業者もあるため、申請の趣旨と現在の制度を公的な案内で確認してください。

現在の制度では、難民認定申請を行ったことだけで、就労や長期在留が自動的に認められるわけではありません。申請理由、在留状況、就労許可の有無などにより取扱いが異なります。難民該当性がないにもかかわらず就労目的で制度を利用すると、今後の在留手続に影響する可能性があるため、申請内容を正確に確認することが重要です。

難民認定申請中の在留の仕組みと就労制限の「現行の取扱い」について、行政書士の視点から取扱いを詳しく解説します。

 

1. 難民認定申請中の就労に関する現行の取扱い

かつての古い運用では、難民申請を行ってから6ヶ月が経過すると、一般に「特定活動」というビザと資格外活動許可が与えられ、一週間の時間制限なしにフルタイムで働くことが認められていました。しかし、この運用は廃止されました。

難民認定申請では、申請理由が難民条約上の要件に該当するか、提出資料や本人の説明に基づいて審査されます。経済的事情だけでは難民の定義に該当しない場合があります。申請中の在留・就労の取扱いは現在の在留状況や手続段階によって異なるため、制度の目的と自分の事情を正確に確認してください。

 

2. 複数回(2回目・3回目)の難民申請に対する「送還停止一部解除」の法的不利益

改正入管法の施行により、難民認定申請を繰り返している場合の送還停止効の取扱いが見直されています。申請回数だけで結論が決まるわけではありませんが、現在の手続状況や例外事由に該当するかを個別に確認する必要があります。

改正入管法では、難民認定申請中の送還停止効について、3回目以降の申請等に一定の例外が設けられています。適用時期や例外要件は個別事情により異なるため、過去の申請回数と現在の手続状況を確認してください。

3回目以降の申請者: 原則として「送還停止効」の対象外となります。つまり、3回目の難民申請を行っている最中であっても、入管はいつでもその人の身柄を収容し、本国へ退去強制(退去強制執行)することが法律上可能になりました。

 

3. 難民認定申請中に他の在留資格への変更を検討する場合

難民認定申請中に就労資格への変更を希望する場合は、現在の在留状況、退去強制手続の有無、申請を取り下げる事情などが個別に確認されます。国内での変更が難しく、いったん出国して在留資格認定証明書交付申請を行うよう案内される場合もあります。

難民認定申請中に他の在留資格への変更を希望する場合、現在の在留状況、退去強制手続の有無、変更を希望する事情などが個別に確認されます。国内での変更が難しく、いったん出国したうえで在留資格認定証明書交付申請を行うよう案内される場合もあります。申請を取り下げれば自動的に就労資格へ変更できるわけではないため、事前に申請先へ確認してください。

 

よくある質問と実務回答

本当に困っている場合でも、難民申請中の就労は認められませんか?

難民認定申請中の在留資格や就労の可否は、申請内容、現在の在留状況、就労許可の有無等によって異なります。難民該当性が認められる可能性がある場合でも、就労や生活支援が自動的に付与されるわけではありません。個別の支援制度と手続を申請先や支援機関へ確認してください。

友人から紹介されたブローカーに「30万円払えば、行政書士を使って分かりやすく難民申請の書類を作ってあげるから大丈夫」と言われました。信じても良いですか?

難民に該当する事情がないのに、虚偽の理由書を作成して申請することはできません。無資格者や不適切な業者から勧誘を受けた場合は依頼せず、申請書の内容を十分に確認してください。虚偽資料の提出は、今後の審査や在留手続に影響し、内容によっては刑事手続の対象となる可能性があります。

就労不可の指定を受けている場合は、許可なく工場や建設現場等で働くことはできません。無許可就労が判明すると、本人の在留手続や雇用主の法的責任に影響する可能性があります。勤務を勧められても応じず、現在の就労可否を在留カード、指定書、申請先の案内で確認してください。

 

行政書士鈴木茂事務所からのメッセージ

個別事情に応じて必要資料と手続を確認し、必要に応じて専門家へご相談ください。

当事務所は、事実と異なる内容による難民認定申請には関与しません。一方で、就職活動の継続、就労資格への変更、婚姻や家族関係に基づく在留資格など、適法に検討できる選択肢が残されていないかを確認します。これまでの在留経緯や現在の生活実態を整理し、申請可能性と必要資料を丁寧に検討することが大切です。

 

公的リファレンス・参照一次情報:

o 出入国在留管理庁「難民認定制度の見直し(初動迅速審査及び乱用防止策の運用要領)」

o 入国管理及び難民認定法第61条の2(難民の認定に関する条文及び送還停止効の例外規定)

o 法務省「難民認定申請を行っている方々へ(法改正に伴う重要なお知らせ)」

 

【この記事の執筆・監修者】

申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。

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