〒156-0041 東京都世田谷区大原1-22-16
受付時間 | 平日9:00~20:00 土曜・日曜・祝日9:00~20:00 |
|---|
アクセス | 下北沢駅東口から徒歩10分 笹塚駅改札口から徒歩10分 |
|---|
当事務所が今までに手がけた事例をご紹介いたします。
「クリーニング店で外国人を雇いたいのですが、技術・人文知識・国際業務で申請できますか。」
このようなご相談をいただいたとき、多くの方は「クリーニング店なら現場作業中心だから難しいのではないか」と感じるかもしれません。実際、在留資格「技術・人文知識・国際業務」は、いわゆる人手不足を補うための単純労働を目的とする在留資格ではありません。洗浄、仕上げ、梱包、店頭受付だけを主な業務とするのであれば、許可の見通しは相当に厳しくなります。
しかし、今回の事例は違いました。表面だけを見ると「街のクリーニング店での採用」に見えますが、詳しくお話を伺うと、そこにあったのは、繊維、薬剤、熱、収縮、色補正、洗浄工程の検証を扱う、きわめて専門性の高い特殊クリーニングの世界でした。
本記事では、個人および企業が特定されないよう一部内容を一般化したうえで、当事務所が支援した在留資格「技術・人文知識・国際業務」の許可事例をご紹介します。
【本事例について】
本記事は、当事務所の実際の相談・申請支援経験をもとに、個人および企業が特定されないよう一部の事情を一般化して紹介するものです。
1. ご相談内容:「うちの店で外国人を採用したい」
ご相談者は、東京都内でクリーニング店を営む会社代表のI様でした。お話の入口は、とてもシンプルです。「当社で外国人の方を採用したい。技術・人文知識・国際業務で申請できないか」というものでした。
ただ、入管実務を少しでも知っている方であれば、この時点で警戒します。なぜなら、クリーニング店の業務は、外から見ると、洗濯、アイロン、プレス、梱包、商品管理などの現場作業に見えやすいからです。これらが主たる職務であれば、「学術上の素養を背景とする専門的能力を要する業務」と説明することは難しく、技術・人文知識・国際業務の該当性を正面から立証するのは簡単ではありません。
そこで当事務所では、すぐに「無理です」と判断するのではなく、会社の実際の事業内容、扱う衣類の種類、薬剤や機械の管理方法、申請人の学歴、日本語能力、採用後の職務内容を一つずつ確認しました。
2. 深掘りして見えてきた「特殊クリーニング会社」としての実態
ヒアリングを進めると、当初の印象は大きく変わりました。その会社は、一般的な日常衣類のクリーニングだけを行う店舗ではなく、他店では対応が難しい汚れ、繊細な素材、高級衣料、特殊品の洗浄・しみ抜き・色補正に対応する専門会社でした。
現場では、スーツ生地を用いた洗浄テスト、新しい加工剤による生地テスト、仕上がりの風合いの比較、pH試験紙による数値確認、静止乾燥機による熱収縮テスト、乾燥後の肌触り確認などが行われていました。単に「洗う」のではなく、素材ごとの反応を観察し、薬剤や工程を調整しながら最適な方法を探る仕事だったのです。
さらに、しみ抜き、色補正、特殊品の洗浄、洗浄機の溶剤管理、薬剤の補充・管理、高級ブランド衣料の洗浄時間テスト、新しい洗浄コースの開発、装置や備品の管理など、現場の業務内容は多岐にわたっていました。
3. 申請人の強み:自然科学の素養と日本語能力
採用予定者であるAさんは、海外の大学で理学系分野を学んだ人材でした。自然科学の基礎を学んでいることは、繊維、薬剤、温度、乾燥、溶剤管理、洗浄工程の理解に直結します。
特殊クリーニングでは、汚れの種類、繊維の性質、染色の状態、薬剤の影響、熱による収縮、摩擦や水流によるダメージなどを総合的に見なければなりません。理学系の素養を持つ人材であれば、単なる作業者としてではなく、洗浄工程の改善、マニュアル化、テスト結果の整理、再現性のある技術継承に関与できる可能性があります。
また、Aさんは日本語学習歴もあり、日本語で現場の説明を理解し、顧客対応や社内共有に必要な基礎的なコミュニケーションも期待できる状況でした。
4. 入管審査で重要だったポイント
このケースで最も重要だったのは、「クリーニング店で働く」という表面的な説明で終わらせないことでした。入管審査では、会社名や業種名だけではなく、実際に従事する業務内容が在留資格に該当するかが見られます。
そのため、申請では、Aさんが単に洗浄・アイロン・梱包などの一般作業を行うのではなく、特殊クリーニング技術の習得、薬剤・洗浄工程の管理、繊維やしみの状態に応じた処理方法の検証、洗浄コースの開発補助、技術のマニュアル化支援に関与することを丁寧に説明しました。
さらに、職場の実態を裏付けるため、写真付きの職場説明資料、業務内容表、洗いの手順を示すマニュアル、薬剤・テスト工程・機械管理に関する資料を整理しました。文章だけで「専門的です」と書くのではなく、実際の現場資料を添えて、なぜ自然科学の知識が必要なのかを具体的に立証した点が大きかったと考えています。
5. 結果:在留期間3年で許可
申請の結果、在留資格「技術・人文知識・国際業務」として許可をいただくことができました。しかも、在留期間は3年でした。
これは、会社の実態、職務内容、申請人の学歴・能力、提出資料の整合性が評価された結果だと考えています。もちろん、同じ「クリーニング店」だからといって、どの会社でも同じように許可されるわけではありません。むしろ、一般的な店舗作業を中心とする場合は、慎重に判断しなければなりません。
しかし今回のように、表面上は現場作業に見える業務であっても、その中身が自然科学の知識を要する専門的・技術的業務であり、申請人の学歴や能力との関連性を具体的に説明できる場合には、技術・人文知識・国際業務として認められる可能性があります。
6. この事例から学べる4つのポイント
【ポイント1】業種名だけで判断しない
「クリーニング店」「飲食店」「小売店」といった業種名だけで直ちに結論を出すのではなく、実際の職務内容を確認する必要があります。
【ポイント2】主たる業務を専門的に説明する
洗浄、仕上げ、梱包などの一般作業ではなく、薬剤管理、工程検証、素材別対応、技術開発、マニュアル化などの専門性を具体化します。
【ポイント3】学歴・専攻との関連性を示す
理学、工学、化学、物理、繊維、素材、品質管理などの学習内容が、実際の職務にどう結びつくかを説明します。
【ポイント4】現場資料で裏付ける
雇用理由書だけでなく、写真、マニュアル、1日の業務内容、作業工程表、薬剤や機器の管理資料などで実態を立証します。
7. 技術・人文知識・国際業務の申請で大切な視点
在留資格「技術・人文知識・国際業務」は、業種名ではなく、実際の活動内容によって判断されます。出入国在留管理庁の在留資格一覧では、理学・工学その他の自然科学の分野、法律学・経済学・社会学その他の人文科学の分野に属する技術又は知識を要する業務等が対象とされています。
したがって、現場を伴う仕事であっても、主たる職務が専門的な知識・技術を要するものであり、申請人の学歴・職歴との関連性を説明できる場合には、許可の可能性を検討できます。一方、誰でも短期間で慣れる一般作業、人手不足を補うための作業、学歴・職歴との関連性が乏しい業務を中心に据える申請は、慎重に考えなければなりません。
8. よくある質問
Q1. クリーニング店で外国人を雇用する場合、技術・人文知識・国際業務は難しいですか?
一般的な洗浄、受付、アイロン、梱包、商品管理が中心であれば、技術・人文知識・国際業務としては難しくなります。ただし、特殊クリーニング、薬剤・繊維・工程管理、技術開発、品質管理、マニュアル化など、専門的知識を要する業務が主たる職務である場合には、個別に検討する余地があります。
Q2. 「現場作業」が少しでも含まれると不許可になりますか?
直ちに不許可になるわけではありません。問題は、主たる職務が何か、現場作業が専門業務に必要な研修・検証・品質管理といえるか、一般作業にとどまらない専門性を説明できるかです。
Q3. どのような資料を準備すべきですか?
雇用理由書、職務内容説明書、1日の業務内容、作業工程表、現場写真、薬剤・機械・マニュアル、申請人の卒業証明書・成績証明書、雇用契約書などを、職務内容と学歴の関連性が分かるように整理することが重要です。
Q4. 3年許可を取るために大切なことは何ですか?
在留期間は入管の個別判断ですが、会社の安定性、雇用内容の明確性、申請人の専門性、報酬額、提出資料の整合性、過去の在留状況などが総合的に見られます。許可そのものを得るための説明に加え、長期の在留期間にふさわしい安定性を示すことが重要です。
9. おわりに
今回の事例は、「街のクリーニング店」という表面的な印象だけで判断していれば、見落としてしまったかもしれない案件でした。しかし実際には、繊維、薬剤、温度、収縮、色、仕上がりを扱う高度な特殊クリーニング技術があり、申請人の理学系の素養を活かせる職務内容が存在していました。
外国人雇用では、最初の見立てが非常に重要です。安易に「大丈夫です」と言うことも、逆に「無理です」と切り捨てることも、どちらも適切ではありません。事業の実態と職務内容を丁寧に確認し、入管審査官に伝わる形で整理することが大切です。
行政書士鈴木茂事務所では、技術・人文知識・国際業務をはじめ、外国人雇用に関する在留資格申請を専門的にサポートしております。外国人材の採用をご検討中の企業様は、ぜひ一度ご相談ください。
参照した公的資料
・出入国在留管理庁「在留資格一覧表」
・出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」
・出入国在留管理庁「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」
【この記事の執筆・監修者】
申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。
お電話でのお問合せ・相談予約
<受付時間>
平日9:00~20:00/土曜・日曜・祝日9:00~20:00
フォームは24時間受付中です。お気軽にご連絡ください。
〒156-0041
東京都世田谷区大原1-22-16
下北沢駅東口から徒歩10分
笹塚駅改札口から徒歩10分
平日9:00~20:00
土曜・日曜・祝日9:00~20:00
なし