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当事務所が今までに手がけた事例をご紹介いたします。
今回ご紹介するのは、神奈川県内のレジャー・宿泊関連企業で勤務する台湾出身の女性Rさんが、昇進と年収増額を機に「技術・人文知識・国際業務」から「高度専門職1号ロ」への在留資格変更許可を受けた事例です。本記事では、個人が特定されないよう一部内容を加工したうえで、申請のポイントを分かりやすく整理します。
高度専門職というと、研究者、大企業の管理職、ITエンジニアなどをイメージされる方が多いかもしれません。しかし実務上は、観光・レジャー・宿泊・インバウンド分野においても、海外営業、国際マーケティング、PR戦略、自治体連携、海外販路開拓などを中核的に担う人材であれば、「高度専門職1号ロ」の対象となり得ます。
大切なのは、単に「外国語ができる」「海外対応をしている」という説明にとどまらず、学歴・職歴・年収・職務内容・企業における役割を、ポイント計算と実際の業務内容に沿って一貫した資料で立証することです。
ご相談時の状況
項目 : 内容
申請人 : 台湾出身の女性Rさん
勤務先 : 神奈川県内のレジャー・宿泊・観光関連企業
申請前の在留資格 : 技術・人文知識・国際業務
目指した在留資格 : 高度専門職1号ロ(高度専門・技術活動)
主な職務 : 海外マーケティング、国際営業、PR戦略、SNS運用、インフルエンサー連携、海外提携、地域観光連携
相談のきっかけ : 社内で昇進の話があり、年収増額も見込まれたため、将来の永住を見据えて高度専門職への変更を検討
Rさんは、台湾での観光・サービス業、営業、イベント司会、空港インフォメーション業務などを経て来日し、日本でも営業、SNSマーケティング、海外向けPR、インバウンド関連業務に従事してきました。職務経歴上も、単発的な語学対応ではなく、長年にわたり観光・サービス・営業・マーケティングを積み重ねてきた方でした。
現在の勤務先では、台湾・中国・欧米を中心とした海外販路開拓、PR会社との連携、海外メディアへの露出、インフルエンサーとの企画、自治体・観光団体との連携など、会社の海外展開に直結する業務を担っていました。さらに、会社としてもRさんを将来の海外事業戦略を担う中核人材として位置付け、昇進と年収増額を予定していました。
最初に確認したのは「本当に高度専門職1号ロに該当するか」
高度専門職1号ロは、ポイントが70点以上になれば自動的に許可される、という単純な制度ではありません。まず、申請人が日本の公私の機関との契約に基づき、自然科学又は人文科学の分野に属する専門的な知識又は技術を必要とする業務に従事することが前提となります。そのうえで、学歴、職歴、年収、日本語能力、その他の加点要素を確認し、70点以上に達するかを検討します。
Rさんの場合、観光・サービス業、営業・マーケティング業務に関する長い実務経験があり、さらに現在の職務も、海外市場の開拓、B2B営業、国際展示会、海外PR、マーケティング資料の作成・監修など、専門的な知識と経験を要する内容でした。そこで、単なる語学スタッフや一般的な接客担当ではなく、会社の海外事業を推進する専門職人材として整理する方針を立てました。
追加資料で問われた「年収の違い」
申請後、入管から追加資料の提出を求められました。ポイントとなったのは、「給与見込み証明書」と「申請書・雇用契約書」に記載された年収額の違いについて、その理由を説明することでした。
高度専門職のポイント計算では、年収が重要な要素となります。しかし、単に「今後は年収が上がる予定です」と説明するだけでは足りません。なぜその年収になるのか、会社として正式に決定した合理的な金額なのか、現在の業務実績や今後の職責に見合う金額なのかを、客観資料とともに説明する必要があります。
そこで、Rさんの年収増額について、会社の中期経営計画、海外事業の拡大、昇進後の職責、過去の業績、今後予定される海外展示会・営業戦略との関係を整理し、補足説明書として提出しました。
提出資料で重視した4つのポイント
1 過去の職歴と現在の業務のつながり
台湾でのツアーガイド、旅行企画、空港インフォメーション、保険営業、日本での営業・SNSマーケティングという経歴は、現在の海外マーケティング業務と自然につながります。そこで、単なる履歴の羅列ではなく、「観光・営業・接客・多言語対応・マーケティング」の経験が、現在の国際事業にどのように活きているかを説明しました。
2 現在の職務が会社の中核業務であること
勤務先では、海外向けPR、海外旅行会社との商談、SNS広告、海外インフルエンサーとの連携、地域観光事業との協業などが進められていました。Rさんは、これらの業務を単に補助する立場ではなく、海外市場に向けた発信と営業展開を実務面で担う重要な立場にありました。
3 年収増額の合理性
年収増額については、会社の「期待」だけではなく、海外売上の実績、展示会出展後の商談状況、海外向けPRの成果、今後の役職予定を踏まえた説明が必要でした。特に、海外事業戦略の中核を担う人材として職責が拡大すること、幹部候補として社内で位置付けられていることを、会社作成の説明資料により明確にしました。
4 将来の永住申請を見据えた整合性
Rさんは、将来的に永住許可申請も視野に入れていました。高度専門職は、ポイントの状況によって永住申請までの在留期間が緩和される可能性があります。ただし、永住申請では年収だけでなく、納税、年金、健康保険、在留状況、職務の安定性なども審査されます。そのため、今回の高度専門職申請の段階から、将来の永住申請で説明がぶれないよう、職務内容と収入の根拠を丁寧に整えました。
結果:高度専門職1号ロへの変更許可を取得
追加資料の提出を経て、Rさんは無事に「高度専門職1号ロ」への在留資格変更許可を受けることができました。現在も、昇進したポストで海外マーケティングや国際事業の中心的な役割を担い、日々業務に励んでいます。
今回の事例で重要だったのは、年収が上がったことだけではありません。むしろ、年収増額の背景にある「職責の拡大」「海外事業への貢献」「過去の職歴との一貫性」「会社としての正式な位置付け」を、審査官に分かりやすく伝えられたことが大きなポイントでした。
この事例から分かる実務上のポイント
• 高度専門職1号ロは、ポイント計算だけでなく、実際の職務内容が高度専門・技術活動に該当するかが重要です。
• 年収見込みを用いる場合は、会社の正式な決定、役職、職責、過去実績、今後の事業計画との整合性を説明する必要があります。
• 追加資料の通知が来た場合でも、求められている論点を正確に把握し、補足説明書と客観資料を整理すれば挽回できる可能性があります。
• 将来の永住申請を見据える場合、高度専門職申請の段階から、年収・職務・勤務先での役割について一貫した説明をしておくことが大切です。
よくあるご質問
Q1. 年収が上がれば、高度専門職1号ロを取得できますか?
年収は重要な要素ですが、それだけで許可されるわけではありません。学歴、職歴、年齢、日本語能力、職務内容、勤務先との契約内容などを総合して判断します。年収が上がった理由についても、役職や職責との整合性が必要です。
Q2. 旅行・観光・レジャー業界でも高度専門職1号ロは可能ですか?
可能性はあります。海外マーケティング、国際営業、PR戦略、データ分析、海外提携、インバウンド戦略など、専門的な知識・経験を要する業務であれば、業界名だけで否定されるものではありません。
Q3. 追加資料の通知が来たら不許可に近いのでしょうか?
必ずしもそうではありません。追加資料は、審査官が確認したい点を明確に示している場合があります。今回のように、年収見込みの根拠や資料間の整合性を丁寧に説明することで、許可につながることもあります。
Q4. 高度専門職になると、すぐに永住申請できますか?
すぐに永住申請できるとは限りません。ポイントが70点以上なのか、80点以上なのか、いつの時点でその点数を満たしていたのか、在留状況や公的義務の履行状況がどうかによって異なります。高度専門職の許可取得後も、永住に向けた準備は継続して行う必要があります。
高度専門職1号ロ・永住申請を見据えたご相談は行政書士鈴木茂事務所へ
高度専門職1号ロの申請では、ポイント計算表を埋めるだけでは不十分です。特に、年収見込み、昇進、職務内容、勤務先での役割、過去の職歴との関連性について、審査官が納得できる資料構成を作ることが重要です。
行政書士鈴木茂事務所では、技術・人文知識・国際業務から高度専門職への変更申請、将来の永住許可申請を見据えたポイント確認、追加資料対応、理由書・補足説明書の作成まで、国際業務専門の行政書士として丁寧にサポートいたします。
参考公的資料
• 出入国在留管理庁「在留資格『高度専門職』(高度人材ポイント制)」
• 出入国在留管理庁「高度人材ポイント制Q&A」
• 出入国在留管理庁「永住許可申請4(高度人材外国人として永住許可申請を行う場合)」
• 出入国在留管理庁「令和7年6月末現在における在留外国人数について」
【この記事の執筆・監修者】
申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。
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