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個人事業主・フリーランスの永住申請――会社員より多く確認されやすい資料
「ITエンジニアとして独立し、現在は個人事業主(フリーランス)として複数の日本の企業から業務委託を受けて働いています。会社員時代よりも年収は大幅に上がったのですが、ネットを見るとフリーランスは永住権を取るのが難しいと書かれていました。本当でしょうか?」
近年の働き方の多様化に伴い、このような個人事業主やフリーランス、あるいは自ら会社を経営している外国人の方々からの永住申請に関するご相談が急増しています。
個人事業主であることだけで永住が不許可となるわけではありません。ただし、給与所得者とは異なる資料で、所得、事業継続性、納税・社会保険、取引実態を詳しく説明する必要があります。
会社員であれば、会社の総務部が発行してくれる「在職証明書」と「源泉徴収票」を出せば、それだけで生計の安定性と社会保険の適法性が証明されます。しかし、個人事業主にはその「お墨付き」がありません。入管の審査では、「このフリーランスの外国人は、本当に合法的なビジネスを行い、今後も安定して日本にお金を納め続けられるのか」を、確定申告書の隅々までチェックします。フリーランスの永住申請において重要となる重要資料と立証の実務を詳しく解説します。
1. 主な確認事項:申告所得と永住の生計要件
個人事業主の場合、売上と所得の違い、経費の内容、継続的な取引、納税状況等が確認されます。適正な税務申告を前提に、生計の安定性を説明します。
税理士のアドバイスの元で、家賃やビ払代、車両費などを「経費」として大量に計上し、確定申告上の「所得金額(売上から経費を差し引いた純利益)」を年間200万円程度に低く抑えているフリーランスの方が多いです。税法上は適法な節税であっても、入管の永住審査においては、この「確定申告書に記載された所得金額」が、あなたの実際の年収(生計維持能力)として扱われます。
永住ガイドラインの審査基準では、単身者であっても最低「年収300万円以上」が重要な要件ラインとされているため、売上がどれだけ高くても、経費を引き去った後の所得が300万円をわずかでも下回っていれば、その時点に「生活保護の一歩手前である(独立生計維持能力なし)」とみなされ、結果として不許可となる可能性があります。永住を申請する直近3〜5年の間は、あえて経費を抑えてでも、所得をしっかりと出す確定申告を行うという実務上の方法が必要になります。
2. 社会保険の適切な履行:「国民年金・国民健康保険」の領収書の全提出
会社員であれば厚生年金が給与天引きされますが、個人事業主は自ら市区町村の窓口へ出向き、「国民年金」と「国民健康保険」に加入して支払わなければなりません。
個人事業主の永住申請では、年金や健康保険料の納付状況を確認するため、領収書や口座振替記録等の提出を求められることがあります。必要な対象期間は申請区分や最新の提出書類一覧によって異なります。納付遅れが1回あっただけで自動的に不許可となるわけではありませんが、期限内納付が重視されるため、経緯とその後の適正な納付状況を説明します。
3. ビジネスの実体と継続性を示す「業務委託契約書」の網羅
フリーランスの収入の安定性を証明するため、現在および過去数年間にわたり締結してきた取引先企業との「業務委託基本契約書」や「個別発注書」のコピーをすべて提出します。
単発のスポット案件ばかりで食いつないでいる状態では、「来月には仕事がゼロになるかもしれない」と入管に判断されます。「大手企業と1年以上の長期の継続契約を結んでいる」「毎月固定のコンサルティング報酬が支払われる契約である」という資料を、銀行口座への入金記録(通帳のコピー)と突き合わせて提示することで、会社員に負けない「生計の強固さ」を入管へアピールします。
よくある質問と実務回答
現在、個人事業主として働いていますが、持っているビザは「技術・人文知識・国際業務(就労ビザ)」です。フリーランスの活動のままで、就労ビザの更新や永住申請は認められる場合がありますか? 在留資格「技術・人文知識・国際業務」の法律上の定義は、「日本の公私の機関との契約に基づいて行う活動」とされています。この「契約」には、正社員としての雇用契約だけでなく、個人事業主としての「業務委託契約」も対象に含まれます。したがって、契約している取引先企業の事業内容が、あなたの大学の専攻(ITや貿易、翻訳など)と高度に一致しており、生計が安定していれば、フリーランスのままでもビザの更新は可能ですし、そのまま10年ルールを満たして永住申請を行うことも法的に認められています。
今年から個人事業主になり、確定申告の実績が1年分しかありません。会社員時代の収入実績と併せて永住申請を行うことは可能ですが、現在の事業収入の安定性や継続性について詳しい説明を求められることがあります。個人事業主は一律に3年待たなければならない、年収300万円以上でなければならないという公表基準ではありません。事業内容、確定申告、納税、社会保険、預貯金、取引の継続性、扶養人数などを踏まえて、申請時期を個別に判断します。
個人事業を法人化し、自ら会社を経営する場合でも、直ちに必ず経営・管理へ変更しなければならないとは限りません。実際に行う活動が会社経営・管理を中心とするのか、従来の専門業務を中心とするのかによって、適切な在留資格が異なります。法人化前に、役職、出資、担当業務、報酬を整理し、在留資格との適合性を確認してください。
行政書士鈴木茂事務所からのメッセージ
フリーランスや個人事業主の永住申請では、確定申告、納税、社会保険、取引の継続性、収入の安定性などを継続して管理することが重要です。
当事務所では、行政書士の業務範囲で、確定申告書、納税証明書、契約書、入出金記録等と永住申請書類との整合性を確認し、必要な理由書の作成を支援します。税務判断が必要な事項については、税理士等への確認を検討します。
• 公的リファレンス・参照一次情報:
o 出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(生計要件における所得確認の基準)」
o 日本年金機構「国民年金保険料の納付分に関する公的証明書の発行手続き」
o 所得税法第2条(個人事業主の確定申告および所得算出に関する基本法文)
【この記事の執筆・監修者】
申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。
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