第10回

COEの追加資料はなぜ求められる?資料追完と立証責任を実務家が解説

 

COEの審査では、最初に出した資料だけで判断できない場合、追加資料を求められることがあります。2026年開示第9編は、審査項目を「申請内容の信ぴょう性、在留資格該当性、基準適合性、上陸拒否事由」と明示し、提出資料だけで該当性・基準適合性を判断することが困難な場合には、期限を定めて追加提出を求めるとしています。追完は、審査官が判断可能な状態に申請を整える重要な機会です。

 

追加資料の背景には「判断できない点」がある

通知された資料をただ集める前に、「何が判断できないのか」を考えます。職務内容の専門性が分からない、会社の事業と採用ポジションの関係が見えない、学歴・職歴が基準に合うか判断できない、扶養者の収入が不明、婚姻の経緯が薄い、留学の目的が不明瞭など、在留資格によって論点は異なります。

 

信ぴょう性の確認もCOE審査の中心

第9編は単に形式的な基準適合だけでなく「申請内容の信ぴょう性」を審査するとしています。申請書、雇用契約書、履歴書、会社資料、質問書などに日付・職歴・仕事内容・家族関係の食い違いがある場合、追加確認につながることがあります。資料作成時には、全体の整合性を確認してください。

 

期限までに提出がない場合

第9編には、提出期限までに資料提出がない場合、現に提出されている資料に基づき審査すると記載されています。つまり、必要な説明が不足したまま判断される可能性があります。海外発行書類など期限内の取得が困難な場合は、早期に申請先へ相談し、取得状況と提出見込みを具体的に説明します。

 

説明書で「資料の意味」を明確にする

同じ資料を出しても、何を証明するための資料か分からなければ伝わりにくいことがあります。例えば会社の取引資料を出す場合は、「この取引の中で申請人が担当する工程」「中国語・英語等を使用する場面」「専門知識が必要となる判断」など、職務との関係を説明します。資料番号を付け、説明書の各記載と対応させると審査官が読みやすくなります。

 

不交付後の再申請と追完は別の局面

COEが不交付になった後は、同じ資料をそのまま再提出するのではなく、不交付理由を確認し、要件不足なのか立証不足なのか、事実関係の問題なのかを切り分けます。第9編では不交付通知書を作成し、不交付理由の具体的記載に関する章を参照する取扱いが示されています。再申請では不交付理由への正面からの対応が必要です。

 

実務での確認順序

このテーマでは、結論を急ぐより確認順序を決める方が安全です。まず「追加資料の背景には「判断できない点」がある」を確認し、次に「信ぴょう性の確認もCOE審査の中心」を整理します。そのうえで「期限までに提出がない場合」と「説明書で「資料の意味」を明確にする」を客観資料に照らし、申請書・説明書・添付資料の内容が同じ事実関係を示しているかを点検します。入管申請では、資料を増やすこと自体より、法的要件と資料の対応関係が明確であることが重要です。

 

説明資料を組み立てるときの考え方

説明書を作成するときは、事実、評価、将来見込みを一文の中で混ぜないようにします。事実は証明書・契約書・記録等で裏付け、評価が必要な部分は「なぜその資料からその結論になるのか」を文章でつなぎます。資料が取得できない場合は、取得できない理由と代替資料を示します。提出後の追加資料にも同じ説明軸で答えられるよう、申請前に全資料の年月日・氏名・会社名・住所・金額を横断確認しておくと安全です。

 

現在の運用と審査要領をどう使い分けるか

COEでは、受入機関や親族が多くの資料を準備しても、最終的には申請人本人について「予定する活動が在留資格に該当するか」「基準を満たすか」「説明に信ぴょう性があるか」が確認されます。査証発給・上陸審査とは別段階であることも忘れず、COE交付後に事情が変わった場合は、そのまま利用してよいかを確認します。外国語資料は訳文、過去資料は発行時期・現在性まで点検します。

 

このテーマで避けたい思い込み

このテーマで避けたいのは、「COEの追加資料はなぜ求められる」について一つの数字・一つの資料だけで結果を断定することです。在留審査は、法令上の要件と個別事情を複数資料から確認する手続です。インターネット上の経験談は参考にはなっても、申請時期、在留資格、家族構成、会社カテゴリー等が違えば結論も変わります。公式資料の更新日を確認し、個別事情に当てはめて判断します。

 

よくある質問

Q 追加資料を求められたら不交付の可能性が高いですか?

A 追加資料だけでは判断できません。資料不足を補う通常の追完もあります。通知内容の論点を精査してください。

Q 提出期限を延長できますか?

A 当然に延長されるわけではありません。取得困難な事情がある場合は期限前に担当部門へ相談してください。

Q 同じ資料を再度求められた場合は?

A 前回資料が不鮮明、古い、内容が変わった、確認できなかった等の可能性があります。なぜ再度必要なのかを確認し、最新版や補足説明を付けます。

 

まとめ

COEの審査では、最初に出した資料だけで判断できない場合、追加資料を求められることがあります。このテーマでは、単一の経験談や古い資料だけで結論を出さず、現行法令・最新の公式提出資料・個別の事実関係を対応させることが重要です。申請前に、要件、時系列、客観資料、届出状況を横断して確認し、説明が必要な点は理由書等で簡潔かつ正確に補足してください。

 

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主な確認資料・情報源

・令和8年4月開示・第9編 入国事前審査

https://yamanaka-bengoshi.jp/2026/04/29/nyuukoku-zairyuu-shinsa-youryou/

・出入国在留管理庁・COE申請書

https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-1-1.html

※本記事は2026年8月30日時点で確認できる法令、出入国在留管理庁の公表資料、開示資料等を基に作成しています。制度・提出書類・運用は変更される場合があるため、実際の申請時には最新情報をご確認ください。

【この記事の執筆・監修者】

申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。

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