第14回

在留期限直前でも申請できる?在留期限・特例期間と更新・変更申請の実務

 

在留期限が迫っているのに会社資料がそろわない、結果が出ないまま期限を迎えそう――実務で非常に多い相談です。一定の在留資格を持つ方が在留期間満了日までに変更・更新申請を行った場合には、法定の「特例期間」が問題になります。

 

特例期間の基本

出入国在留管理庁は、対象となる中長期在留者等が在留期間満了日までに変更又は更新申請を行い、満了日までに処分がない場合、従前の在留資格で、処分時又は満了日から2か月を経過する日のいずれか早い時まで在留できる制度を案内しています。これは「申請したら必ず2か月延びる」という意味ではなく、処分が先に出ればその時点で特例期間は終了します。

 

期限直前の申請は可能でも、準備不足は別問題

受理可能な時期と、良い申請を作れるかは別です。期限直前に申請しても法的には受理され得ますが、重要資料が足りない場合には追加資料対応が必要になり、説明の余裕も少なくなります。更新申請は一般に在留期限の概ね3か月前から受け付けられるため、余裕を持った準備が基本です。

 

特例期間中の在留資格・活動

特例期間中は、原則として従前の在留資格に基づく活動を継続する扱いです。転職等を伴う変更申請では、「申請した新しい資格の活動を許可前から自由に開始できる」という意味ではありません。現在の在留資格で可能な活動範囲を確認する必要があります。

 

30日以下の在留期間など例外に注意

特例期間の適用には制度上の対象があります。短期滞在や在留期間が30日以下の者など、一般的な中長期在留者と同じ取扱いにならない場合があります。個別案件では在留カードの有無、現在の在留資格・期間、申請種別を確認してください。

 

実務での確認順序

このテーマでは、結論を急ぐより確認順序を決める方が安全です。まず「特例期間の基本」を確認し、次に「期限直前の申請は可能でも、準備不足は別問題」を整理します。そのうえで「特例期間中の在留資格・活動」と「30日以下の在留期間など例外に注意」を客観資料に照らし、申請書・説明書・添付資料の内容が同じ事実関係を示しているかを点検します。入管申請では、資料を増やすこと自体より、法的要件と資料の対応関係が明確であることが重要です。

 

説明資料を組み立てるときの考え方

説明書を作成するときは、事実、評価、将来見込みを一文の中で混ぜないようにします。事実は証明書・契約書・記録等で裏付け、評価が必要な部分は「なぜその資料からその結論になるのか」を文章でつなぎます。資料が取得できない場合は、取得できない理由と代替資料を示します。提出後の追加資料にも同じ説明軸で答えられるよう、申請前に全資料の年月日・氏名・会社名・住所・金額を横断確認しておくと安全です。

 

現在の運用と審査要領をどう使い分けるか

在留中の申請は、現在までの活動実態が審査の前提になります。申請日直前だけ整えるのではなく、在職・就学・家族生活・納税・社会保険・届出など、日常の在留管理を平時から適正に行うことが最善の準備です。申請後に転職、退職、離婚、住所変更など重要な変化が起きた場合は、法定届出と審査中申請への説明を分けて検討し、古い事実のまま審査が進まないようにします。

 

このテーマで避けたい思い込み

このテーマで避けたいのは、「在留期限直前でも申請できる」について一つの数字・一つの資料だけで結果を断定することです。在留審査は、法令上の要件と個別事情を複数資料から確認する手続です。インターネット上の経験談は参考にはなっても、申請時期、在留資格、家族構成、会社カテゴリー等が違えば結論も変わります。公式資料の更新日を確認し、個別事情に当てはめて判断します。

 

よくある質問

Q 在留期限当日に申請しても間に合いますか?

A 制度上は満了日までの申請が前提ですが、窓口時間・オンライン受付・不備等のリスクがあるため、当日申請は避けるのが安全です。

Q 特例期間中に海外へ出国できますか?

A 再入国制度との関係を含め個別確認が必要です。出国前に現在の在留期限、特例期間、再入国許可・みなし再入国の要件を確認してください。

 

まとめ

在留期限が迫っているのに会社資料がそろわない、結果が出ないまま期限を迎えそう――実務で非常に多い相談です。このテーマでは、単一の経験談や古い資料だけで結論を出さず、現行法令・最新の公式提出資料・個別の事実関係を対応させることが重要です。申請前に、要件、時系列、客観資料、届出状況を横断して確認し、説明が必要な点は理由書等で簡潔かつ正確に補足してください。

 

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主な確認資料・情報源

・出入国在留管理庁「特例期間について」

https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/tokureikikan_00001.html

・出入国管理及び難民認定法

https://laws.e-gov.go.jp/law/326CO0000000319

・添付PDF「入国・在留審査要領 第3分冊」

第10編 在留審査

※本記事は2026年9月3日時点で確認できる法令、出入国在留管理庁の公表資料、開示資料等を基に作成しています。制度・提出書類・運用は変更される場合があるため、実際の申請時には最新情報をご確認ください。

【この記事の執筆・監修者】

申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。

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