第5回 お客様お悩み相談

外国人を人事・採用担当で雇いたい。技人国で申請できますか?

 

「外国人社員を採用担当にしたいのですが、人事は技人国になりますか?求人掲載、応募者対応、面接調整、外国人採用、研修企画などを担当させる予定です」という企業様からのご相談です。

 

先に結論

人事・採用という部署名だけで許否は決まりません。人文科学分野の専門的な知識を必要とする人事制度、採用企画、労務企画、外国人採用戦略等が中心であれば技人国の「人文知識」として検討できます。一方、データ入力、書類運搬、受付、単純な日程調整だけが主業務であれば、専門性の説明が弱くなります。

 

1.制度上の整理

技術・人文知識・国際業務では、在留カードに会社名が印字されているかどうかだけで判断するのではなく、日本の公私の機関との契約、実際の職務内容、学歴・職歴との関係、報酬、在留状況を一体として確認することが大切です。勤務先や契約関係に変化があったときは、届出だけで足りるのか、更新・変更や就労資格証明書まで必要なのかを切り分けます。

技人国は、自然科学・人文科学の知識を必要とする専門的業務または外国文化に基盤を有する国際業務を対象とします。出入国在留管理庁の説明でも、人事・総務・経理等は職務の実態に専門性があるかを確認する必要があります。

大学等で経営学、経済学、法学、社会学、心理学、人的資源管理などを学んでいる場合、具体的な担当職務と履修内容を結びつけて説明しやすくなります。専攻名だけでなく成績証明書の科目も確認します。

採用業務の一部に面接日程調整や求人サイト入力が含まれていても、在留期間中の活動全体として専門的業務が中心かを整理します。補助業務が主となる職務設計は避けるべきです。

 

2.このケースで確認したいポイント

人事制度・採用計画・労務企画など判断や分析を伴う業務量

申請人の専攻科目・職歴と人事業務のつながり

日本人社員と同等以上の報酬

会社の規模と人事担当者を置く合理的な業務量

外国人採用を担当する場合、語学だけでなく人事専門業務との関係

ここで重要なのは、項目を一つずつ切り離して考えないことです。申請書、届出、契約書、課税・社会保険資料、会社資料などに同じ事実が異なる形で現れます。日付・会社名・職務・収入・家族関係を時系列でそろえ、資料相互に矛盾がない状態を作ることが、追加資料対応や不許可リスクを減らす基本になります。

 

3.準備しておきたい資料

職務内容説明書(1日の業務、月次・年次業務を具体化)

大学・専門学校の卒業証明書、成績証明書

組織図、人事部門の役割が分かる資料

求人計画、採用人数、人事制度資料など実際の業務量を示す資料

上記は典型的な確認資料であり、すべてのケースで同じ資料が法定必須という意味ではありません。出入国在留管理庁の公式提出書類を基礎にしつつ、個別事情を説明するために必要な補足資料を選びます。外国語資料には、審査上意味を持つ氏名・日付・金額・身分関係等を正確に反映した日本語訳を付けます。

 

4.行政書士として考える実務上の進め方

・肩書ではなく実際の職務を細分化する

・専門性のある業務と補助業務の比率を確認する

・学歴・職歴との関連性を資料で結ぶ

・雇用理由書で会社が外国人専門人材を必要とする理由を説明する

申請を急ぐほど、先に結論を決めて資料を後付けしたくなりますが、順序は逆です。まず事実を確認し、現在の法令・公式運用に当てはめ、足りない資料と説明が必要な点を整理してから申請方針を決めます。特に在留期限や14日以内の届出期限がある場合は、期限管理と実体審査の準備を並行して進めます。

 

5.よくある誤解

「ホワイトカラーの事務職なら技人国」「人事部所属なら自動的に人文知識」とは限りません。入管が見るのは部署名よりも、実際に従事する業務に学術的・体系的な知識が必要かという点です。

入管手続では、似た状況でも現在の在留資格、申請区分、経歴、会社・家族の状況によって結論が変わります。インターネット上の過去事例をそのまま自分のケースに当てはめず、申請時点の制度と事実関係で確認することが大切です。

 

よくある質問

Q1 新卒で人事経験がなくても申請できますか?

A 大学等の学歴要件を使う場合、実務経験がないことだけで直ちに不可とは限りません。専攻と予定職務の関連性、職務の専門性を確認します。

Q2 採用面接で通訳もします。国際業務として申請できますか?

A 通訳があるだけで職務全体が国際業務になるとは限りません。人事専門業務として構成するのか、言語能力を用いる国際業務として構成するのか、実態に合わせて整理します。

Q3 人事と総務を兼務してもよいですか?

A 兼務自体で決まるものではありません。各業務を具体化し、在留期間中の活動全体として技人国に該当する専門的業務が中心かを確認します。

 

行政書士へ相談した方がよいケース

在留期限・届出期限が近く、手続の優先順位が分からない

公式の提出書類一覧だけでは、自分の事情をどう説明すべきか判断しにくい

転職、失業、家族変更、会社の経営状況など申請後・前回許可後に事情が変わっている

過去の届出、税金、年金、社会保険、在留状況に気になる点がある

不許可を避けるため、申請前に事実と立証資料の整合性を確認したい

行政書士鈴木茂事務所では、単に書類をそろえるだけでなく、現在の在留資格、これまでの経緯、申請後の生活・就労計画を確認し、どの事実をどの資料で説明するかを整理します。許可を保証することはできませんが、申請前に論点を明確にし、入管に伝わりやすい形へ整えることができます。

 

まとめ

人事・採用という部署名だけで許否は決まりません。人文科学分野の専門的な知識を必要とする人事制度、採用企画、労務企画、外国人採用戦略等が中心であれば技人国の「人文知識」として検討できます。一方、データ入力、書類運搬、受付、単純な日程調整だけが主業務であれば、専門性の説明が弱くなります。

在留資格の手続は、制度を知るだけでなく、自分の事実関係を正確に当てはめる作業が必要です。少しでも判断に迷う事情がある場合は、期限直前ではなく、資料を集められる段階で相談することをおすすめします。

 

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主な公的情報源

・出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/gijinkoku.html

・出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00058.html

※本記事は2026年8月21日時点で確認できる法令・出入国在留管理庁の公表情報を基に作成しています。制度改正、告示改正、運用変更等が行われることがありますので、実際の申請時には最新の公式情報をご確認ください。

【この記事の執筆・監修者】

申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。

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