第7回 お客様お悩み相談

会社が休業・減給・待機になりました。技人国の更新や在留資格に影響しますか?

 

「会社の業績悪化で数か月休業となり、給与も下がりました。技人国の更新が近いのですが、これだけで不許可になるのでしょうか?」というご相談です。

 

先に結論

休業・減給があったことだけで機械的に不許可が決まるわけではありませんが、更新では現在も技人国に該当する活動を行っているか、契約・報酬・会社の継続性・在留状況などが総合的に見られます。減給後の報酬が上陸許可基準に適合するか、休業の理由と期間、復職見込みを具体的に説明できるようにします。

 

1.制度上の整理

技術・人文知識・国際業務では、在留カードに会社名が印字されているかどうかだけで判断するのではなく、日本の公私の機関との契約、実際の職務内容、学歴・職歴との関係、報酬、在留状況を一体として確認することが大切です。勤務先や契約関係に変化があったときは、届出だけで足りるのか、更新・変更や就労資格証明書まで必要なのかを切り分けます。

在留資格変更・更新のガイドラインでは、在留資格該当性、上陸許可基準、素行、独立生計、公的義務、雇用・生活状況等を総合的に考慮するとされています。更新は単に前回許可の延長ではありません。

技人国では、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることが基準の一つです。減給がある場合は、職務、勤務時間、同等の日本人社員との比較を確認します。

会社都合の一時的な休業と、長期間にわたり技人国の活動自体が存在しない状態は分けて考えます。業績回復計画や復職時期が不明確な場合は、更新時に会社側資料を補強する必要があります。

 

2.このケースで確認したいポイント

減給の理由・開始日・期間・労働条件変更の根拠

休業中の給与・休業手当と勤務実態

同等の日本人社員との報酬比較

会社の決算、受注状況、事業継続見込み

社会保険・税の納付状況が適切か

ここで重要なのは、項目を一つずつ切り離して考えないことです。申請書、届出、契約書、課税・社会保険資料、会社資料などに同じ事実が異なる形で現れます。日付・会社名・職務・収入・家族関係を時系列でそろえ、資料相互に矛盾がない状態を作ることが、追加資料対応や不許可リスクを減らす基本になります。

 

3.準備しておきたい資料

労働条件通知書・変更合意書・給与明細

休業通知、会社からの説明文書

復職予定や事業回復を示す資料

決算書・事業計画・受注資料等(必要な場合)

上記は典型的な確認資料であり、すべてのケースで同じ資料が法定必須という意味ではありません。出入国在留管理庁の公式提出書類を基礎にしつつ、個別事情を説明するために必要な補足資料を選びます。外国語資料には、審査上意味を持つ氏名・日付・金額・身分関係等を正確に反映した日本語訳を付けます。

 

4.行政書士として考える実務上の進め方

・休業・減給の法的・契約上の事実を確認する

・技人国の活動が現在どの程度行われているか整理する

・更新申請書の収入・勤務状況と給与資料を一致させる

・特殊事情がある場合は会社説明書と本人説明書を使い分ける

申請を急ぐほど、先に結論を決めて資料を後付けしたくなりますが、順序は逆です。まず事実を確認し、現在の法令・公式運用に当てはめ、足りない資料と説明が必要な点を整理してから申請方針を決めます。特に在留期限や14日以内の届出期限がある場合は、期限管理と実体審査の準備を並行して進めます。

 

5.よくある誤解

「前回5年をもらったので勤務先が厳しくても次回も大丈夫」「給与が少しでも下がれば即不許可」というどちらの断定も適切ではありません。更新時点の活動・報酬・在留状況を総合して準備します。

入管手続では、似た状況でも現在の在留資格、申請区分、経歴、会社・家族の状況によって結論が変わります。インターネット上の過去事例をそのまま自分のケースに当てはめず、申請時点の制度と事実関係で確認することが大切です。

 

よくある質問

Q1 賞与がなくなっただけでも問題ですか?

A 報酬の扱いは契約上の給与体系や日本人との比較などを確認します。賞与減額だけで一律に結論を出さず、年収・月額給与・職務条件を全体で見ます。

Q2 休業中に副業できますか?

A 現在の在留資格で許される活動か、資格外活動許可が必要かを事前に確認してください。会社の休業を理由に自由に別業種で働けるわけではありません。

Q3 会社の赤字は技人国更新で不許可になりますか?

A 赤字だけで機械的に決まるものではありませんが、雇用の安定性・継続性に関わるため、赤字の理由や改善見込みを説明すべき場合があります。

 

行政書士へ相談した方がよいケース

在留期限・届出期限が近く、手続の優先順位が分からない

公式の提出書類一覧だけでは、自分の事情をどう説明すべきか判断しにくい

転職、失業、家族変更、会社の経営状況など申請後・前回許可後に事情が変わっている

過去の届出、税金、年金、社会保険、在留状況に気になる点がある

不許可を避けるため、申請前に事実と立証資料の整合性を確認したい

行政書士鈴木茂事務所では、単に書類をそろえるだけでなく、現在の在留資格、これまでの経緯、申請後の生活・就労計画を確認し、どの事実をどの資料で説明するかを整理します。許可を保証することはできませんが、申請前に論点を明確にし、入管に伝わりやすい形へ整えることができます。

 

まとめ

休業・減給があったことだけで機械的に不許可が決まるわけではありませんが、更新では現在も技人国に該当する活動を行っているか、契約・報酬・会社の継続性・在留状況などが総合的に見られます。減給後の報酬が上陸許可基準に適合するか、休業の理由と期間、復職見込みを具体的に説明できるようにします。

在留資格の手続は、制度を知るだけでなく、自分の事実関係を正確に当てはめる作業が必要です。少しでも判断に迷う事情がある場合は、期限直前ではなく、資料を集められる段階で相談することをおすすめします。

 

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主な公的情報源

・出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/gijinkoku.html

・出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00058.html

※本記事は2026年8月24日時点で確認できる法令・出入国在留管理庁の公表情報を基に作成しています。制度改正、告示改正、運用変更等が行われることがありますので、実際の申請時には最新の公式情報をご確認ください。

【この記事の執筆・監修者】

申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。

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