特定技能の新分野・上乗せ基準|物流倉庫・資源循環など受入企業が見るべき点

特定技能の対象分野が追加されたというニュースを見て、「自社でもすぐ採用できる」と考えるのはまだ早いかもしれません。新分野は、政府方針に追加された後、分野別運用方針、主務省令、試験、協議会、上乗せ基準がそろい、実際の申請受付体制が整って初めて動き出します。2026年6月から7月にかけ、物流倉庫や資源循環などの基準公表が進みました。

 

対象分野と対象業務は同じではない

会社の業種が物流だから、倉庫内のすべての仕事が特定技能になるわけではありません。対象となる業務区分、主たる業務、関連業務の範囲を確認します。清掃、単純な事務、送迎など、関連業務だけに従事させることはできません。

また、一つの事業所に複数の事業がある場合、申請する分野の売上・許認可・設備・人員を示し、実際に対象事業を行っていることを立証する必要があります。

 

上乗せ基準とは何か

特定技能では、入管法上の共通基準に加え、各分野の所管省庁が独自の条件を設けます。協議会加入、事業者認定、安全衛生、技能向上、受入れ人数、キャリア形成、業務実績などが例です。2026年7月30日には資源循環分野の上乗せ基準告示が掲載されました。

新分野では、対象となる「優良な事業者」の要件や、労働災害防止、適正処理に関する法令順守が重く見られる傾向があります。許可申請だけ整えても、事業者側の認定・登録が未了なら受入れできません。

 

物流倉庫で特に確認したい点

物流倉庫分野では、倉庫業法上の登録、事業所の範囲、荷役・保管等の対象業務、労働安全衛生が重要です。請負会社が倉庫内作業を行う場合、実際の指揮命令や契約関係も確認します。

受入企業自身が対象事業を営んでいるか

外部委託先の従業員として働かせる構造になっていないか

フォークリフト等の資格・安全教育が適切か

夜勤、残業、割増賃金を含む労働条件が日本人と同等以上か

 

新分野でも支援義務は共通

特定技能1号では、事前ガイダンス、住居確保、生活オリエンテーション、日本語学習機会、相談対応、定期面談等の支援が必要です。新分野だから支援内容が軽くなることはありません。自社支援を行うなら、担当者の経験、言語対応、記録様式、緊急連絡体制を用意します。

 

【実務メモ】「試験合格者を見つけてから会社要件を確認する」のではなく、先に企業適格性・分野要件・支援体制を点検してください。採用後に受入れ不可と判明する事故を防げます。

 

2026年7月の支援体制改正情報

特定技能制度の公式ページでは、2027年4月施行に向けた1号支援体制の要件改正も掲載されています。詳細は最新の運用要領で確認し、登録支援機関への委託契約、自社支援の人員配置、責任者・担当者の要件を見直す必要があります。

 

よくある質問

Q:分野別試験が始まればすぐ申請できますか。

A:試験に加え、受入企業の上乗せ基準、協議会、必要な認定、申請様式が整っている必要があります。

Q:既存の特定技能外国人を新分野へ配置転換できますか。

A:在留資格変更や分野変更の手続、技能・日本語試験、雇用契約変更が必要になります。単なる社内異動ではありません。

 

採用計画は制度開始日から逆算する

新分野は人材確保の選択肢ですが、準備項目も多くあります。当事務所では、対象業務の確認、企業要件、支援体制、試験・採用ルートを一つの工程表にし、申請可能な状態になってから採用を進められるよう支援します。

 

情報元・参照URL

出入国在留管理庁「特定技能制度」:https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/index.html(2026年6月・7月の分野別更新)

出入国在留管理庁「特定技能制度の運用に関する方針」:https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/nyuukokukanri01_00132.html(分野別運用方針・上乗せ基準)

出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」:https://www.moj.go.jp/isa/content/001335263.pdf(対象分野と準備状況)

 

【この記事の執筆・監修者】

申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。

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