「追加資料が来たのでD案件なのか」「審査が長いからB案件なのか」と心配される方がいます。A・B・C・Dという分類は2026年4月開示の第8編にも明記されていますが、申請者に分類結果が通知される制度ではありません。分類を知る意義は、結果を当てることではなく、入管が案件をどう整理し、追加資料がどの位置づけにあるのかを理解することにあります。
4つの分類
第8編では、A案件を「許可(交付)相当の案件」、B案件を「慎重な審査を要する案件」、C案件を「明らかに不許可相当の案件」、D案件を「資料の追完を要する案件」としています。A案件はB~D以外の案件として速やかに処分する考え方が示されています。一方、B・Cの具体的振分け基準には開示資料上黒塗り部分が多く、そこを推測して記事化することは適切ではありません。
D案件の定義は明確に公開されている
D案件については「現に提出されている申請書及び立証資料のみで許否の判断が困難な案件」と明記されています。ここは非常に実務的です。追加資料通知が届く場面では、申請内容の真偽に疑いがある場合だけでなく、単純に要件確認に必要な資料が足りない、説明と証拠の対応関係が弱い、最新情報が必要といった場合もあり得ます。
追完後は再振分け
D案件は追完資料の提出後、A、B又はC案件へ再振分けすると記載されています。したがって、追加資料への回答は審査の方向を決める重要な局面です。「とりあえず資料をたくさん出す」のではなく、通知で求められた事項と法的要件を対応させ、必要な証拠と説明を整理して提出することが重要です。
B・C案件の黒塗り部分を推測しない
インターネット上では「この事情ならB案件」「このパターンはC案件」などの推測が語られることがあります。しかし2026年開示資料でも、具体的基準の相当部分は非開示です。公開されていない内部基準を断定的に説明することはできません。個別案件では、公開された法令・ガイドライン・提出資料と実際の事実関係から許可可能性を検討するのが正攻法です。
実務家が見るべきポイント
追加資料の通知が来たときは、①どの要件に関係する質問か、②申請書との整合性はあるか、③第三者資料で裏付けられるか、④提出できない資料がある場合に合理的な理由と代替資料を用意できるか、⑤過去申請との説明の一貫性はあるかを確認します。分類名に意識を奪われるより、審査官が判断できる状態に資料を整えることが重要です。
実務での確認順序
このテーマでは、結論を急ぐより確認順序を決める方が安全です。まず「4つの分類」を確認し、次に「D案件の定義は明確に公開されている」を整理します。そのうえで「追完後は再振分け」と「B・C案件の黒塗り部分を推測しない」を客観資料に照らし、申請書・説明書・添付資料の内容が同じ事実関係を示しているかを点検します。入管申請では、資料を増やすこと自体より、法的要件と資料の対応関係が明確であることが重要です。
説明資料を組み立てるときの考え方
説明書を作成するときは、事実、評価、将来見込みを一文の中で混ぜないようにします。事実は証明書・契約書・記録等で裏付け、評価が必要な部分は「なぜその資料からその結論になるのか」を文章でつなぎます。資料が取得できない場合は、取得できない理由と代替資料を示します。提出後の追加資料にも同じ説明軸で答えられるよう、申請前に全資料の年月日・氏名・会社名・住所・金額を横断確認しておくと安全です。
現在の運用と審査要領をどう使い分けるか
A~Dの振分けや進行管理は、申請人が結果を予測するための占いではありません。公開された内部処理の構造を理解する目的は、追加資料・審査長期化・処分の意味を必要以上に推測しないためです。黒塗り部分や非公開の具体的振分け基準については推測せず、通知された資料、公式の平均処理期間、担当官署からの連絡という確認可能な事実を中心に対応します。
このテーマで避けたい思い込み
このテーマで避けたいのは、「入管の「A・B・C・D案件」とは」について一つの数字・一つの資料だけで結果を断定することです。在留審査は、法令上の要件と個別事情を複数資料から確認する手続です。インターネット上の経験談は参考にはなっても、申請時期、在留資格、家族構成、会社カテゴリー等が違えば結論も変わります。公式資料の更新日を確認し、個別事情に当てはめて判断します。
よくある質問
Q 自分の案件がA~Dのどれか教えてもらえますか?
A 通常、申請者に内部の振分け分類が通知されるものではありません。
Q 追加資料通知が来たらD案件ですか?
A 審査要領上はD案件が資料追完を要する類型ですが、個別案件の内部分類を外部から断定することはできません。
Q C案件でも追加資料が来ることはありますか?
A 具体的な内部運用を公開資料だけで断定することはできません。通知内容そのものを精査してください。
まとめ
「追加資料が来たのでD案件なのか」「審査が長いからB案件なのか」と心配される方がいます。このテーマでは、単一の経験談や古い資料だけで結論を出さず、現行法令・最新の公式提出資料・個別の事実関係を対応させることが重要です。申請前に、要件、時系列、客観資料、届出状況を横断して確認し、説明が必要な点は理由書等で簡潔かつ正確に補足してください。
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• 第2回「入管に申請した案件はどう処理される?審査体制と案件振り分けの基本」
• 第4回「追加資料を提出すると審査はどう動く?入管の進行管理と追完資料」
主な確認資料・情報源
・令和8年4月開示・第8編 審査体制
https://yamanaka-bengoshi.jp/2026/04/29/nyuukoku-zairyuu-shinsa-youryou/
・出入国在留管理庁・在留資格変更・更新ガイドライン
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00058.html
※本記事は2026年8月13日時点で確認できる法令、出入国在留管理庁の公表資料、開示資料等を基に作成しています。制度・提出書類・運用は変更される場合があるため、実際の申請時には最新情報をご確認ください。