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第12回 お客様お悩み相談
海外赴任から帰国したばかりで課税証明書が少ない。永住申請はできますか?
よくあるご相談
「日本企業の海外赴任で数年間海外に住み、最近帰国しました。日本の住民税課税証明書が出ない年度がありますが、永住申請はできないのでしょうか?」というご相談です。
先に結論
課税証明書が発行されない年度があることだけで機械的に申請不可とは言えません。しかし、永住では日本での継続在留、公的義務、生活基盤を確認するため、海外赴任の期間・理由・住民登録・納税関係を丁寧に整理する必要があります。単なる「書類がない問題」ではなく、日本との生活上の結び付きがどう継続していたかという問題として検討します。
1.制度上の整理
永住許可申請は、提出した時点だけで審査が固定される手続ではありません。審査中も現在の在留資格は有効に維持する必要があり、生活・勤務・家族・公的義務の履行状況に変化があれば、その変化が永住許可の要件や提出済み資料とどのように関係するかを確認する必要があります。
住民税の課税証明書は、原則として各年の基準日時点の住民登録や所得状況に応じて発行されるため、海外転出等により発行されない年度があり得ます。その場合、発行されない理由を説明し、必要に応じて会社資料・海外納税資料等を補います。
永住許可ガイドラインの原則10年在留は「引き続き」在留していることを求めています。長期の海外滞在が在留の継続性や日本に生活基盤があるかに影響するため、日数だけでなく赴任命令、家族・住居、社会保険、帰任予定等を確認します。
会社命令の海外赴任であっても、すべての期間が当然に日本在留として評価されると断定はできません。出国期間と在留資格・再入国の状況を個別に見て、申請時期そのものを調整すべき場合もあります。
2.このケースで確認したいポイント
• 海外赴任の開始・終了日と出入国履歴
• 海外転出届、住民票、住民税の課税可否
• 日本企業との雇用関係が継続していたか
• 家族・住居・社会保険など日本の生活基盤
• 帰国後の勤務・収入・納税実績がどの程度積み上がっているか
ここで重要なのは、項目を一つずつ切り離して考えないことです。申請書、届出、契約書、課税・社会保険資料、会社資料などに同じ事実が異なる形で現れます。日付・会社名・職務・収入・家族関係を時系列でそろえ、資料相互に矛盾がない状態を作ることが、追加資料対応や不許可リスクを減らす基本になります。
3.準備しておきたい資料
• 赴任命令書・帰任命令書・在職証明書
• 出入国履歴、旅券スタンプ等
• 課税証明書が発行されないことの説明資料
• 海外での納税・給与資料、日本での社会保険資料
• 帰国後の給与・課税・住民票資料
上記は典型的な確認資料であり、すべてのケースで同じ資料が法定必須という意味ではありません。出入国在留管理庁の公式提出書類を基礎にしつつ、個別事情を説明するために必要な補足資料を選びます。外国語資料には、審査上意味を持つ氏名・日付・金額・身分関係等を正確に反映した日本語訳を付けます。
4.行政書士として考える実務上の進め方
・過去10年等の在留・出国期間を時系列化する
・各年度の住民税・年金・健康保険の扱いを確認する
・海外赴任が日本の雇用関係の一環だったことを資料化する
・帰国直後に申請するか、一定の国内実績を積んでからにするか検討する
申請を急ぐほど、先に結論を決めて資料を後付けしたくなりますが、順序は逆です。まず事実を確認し、現在の法令・公式運用に当てはめ、足りない資料と説明が必要な点を整理してから申請方針を決めます。特に在留期限や14日以内の届出期限がある場合は、期限管理と実体審査の準備を並行して進めます。
5.よくある誤解
「日本企業の海外駐在だから出国期間はすべて問題ない」「課税証明書が1年でも出なければ永住は絶対に無理」という二つの極端な理解は避け、在留継続性と公的義務を事実に即して確認します。
入管手続では、似た状況でも現在の在留資格、申請区分、経歴、会社・家族の状況によって結論が変わります。インターネット上の過去事例をそのまま自分のケースに当てはめず、申請時点の制度と事実関係で確認することが大切です。
よくある質問
Q1 海外赴任期間は永住の10年に全部入りますか?
A 一律に全部算入できると断定はできません。出国期間、再入国、生活基盤、赴任の性質などを確認し、継続在留の評価を検討します。
Q2 課税証明書が発行されないこと自体はどう説明しますか?
A 自治体で発行されない理由を確認し、住民票除票、会社の赴任資料、海外の所得・納税資料など、事実を補える資料を組み合わせます。
Q3 帰国してすぐ申請するより待った方がよいですか?
A 帰国後の収入・納税実績、在留年数、出国歴等によります。必要資料を一覧化したうえで申請時期を判断します。
行政書士へ相談した方がよいケース
• 在留期限・届出期限が近く、手続の優先順位が分からない
• 公式の提出書類一覧だけでは、自分の事情をどう説明すべきか判断しにくい
• 転職、失業、家族変更、会社の経営状況など申請後・前回許可後に事情が変わっている
• 過去の届出、税金、年金、社会保険、在留状況に気になる点がある
• 不許可を避けるため、申請前に事実と立証資料の整合性を確認したい
行政書士鈴木茂事務所では、単に書類をそろえるだけでなく、現在の在留資格、これまでの経緯、申請後の生活・就労計画を確認し、どの事実をどの資料で説明するかを整理します。許可を保証することはできませんが、申請前に論点を明確にし、入管に伝わりやすい形へ整えることができます。
まとめ
課税証明書が発行されない年度があることだけで機械的に申請不可とは言えません。しかし、永住では日本での継続在留、公的義務、生活基盤を確認するため、海外赴任の期間・理由・住民登録・納税関係を丁寧に整理する必要があります。単なる「書類がない問題」ではなく、日本との生活上の結び付きがどう継続していたかという問題として検討します。
在留資格の手続は、制度を知るだけでなく、自分の事実関係を正確に当てはめる作業が必要です。少しでも判断に迷う事情がある場合は、期限直前ではなく、資料を集められる段階で相談することをおすすめします。
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主な公的情報源
・出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂)」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan50.html
・出入国在留管理庁「永住許可(入管法第22条)」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/eizyuu_00001.html
※本記事は2026年8月29日時点で確認できる法令・出入国在留管理庁の公表情報を基に作成しています。制度改正、告示改正、運用変更等が行われることがありますので、実際の申請時には最新の公式情報をご確認ください。
【この記事の執筆・監修者】
申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。
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