第3回 お客様お悩み相談

技人国の外国人が別会社へ出向することになりました。届出や在留資格はどう考えますか?

 

先に結論

出向は、同じ会社内の配置転換と同じ扱いにはできません。出入国在留管理庁の所属機関Q&Aでは、他の機関への出向について届出が必要とされ、出向先との契約関係に応じて新たな契約の締結、移籍出向では契約終了の届出も問題になります。さらに、出向先で実際に行う業務が技人国に該当することを確認する必要があります。

 

1.制度上の整理

技術・人文知識・国際業務では、在留カードに会社名が印字されているかどうかだけで判断するのではなく、日本の公私の機関との契約、実際の職務内容、学歴・職歴との関係、報酬、在留状況を一体として確認することが大切です。勤務先や契約関係に変化があったときは、届出だけで足りるのか、更新・変更や就労資格証明書まで必要なのかを切り分けます。

公式Q&Aでは、他の機関へ出向して相当期間にわたり出向先の社員として稼働する場合、所属機関に関する届出が必要と案内されています。出向先との労働契約関係が生じる場合は、新たな契約締結として整理します。

移籍出向のように元の会社との契約が終了する場合は、契約終了の届出も必要になります。出向契約書の名称だけでなく、実際の労働契約関係を確認することが重要です。

出向先で担当する仕事が技人国の活動範囲から外れる場合、届出だけでは適法化できません。職務内容と学歴・職歴の関係、報酬、指揮命令関係も含めて確認します。

 

2.このケースで確認したいポイント

在籍出向か移籍出向か、雇用契約の当事者を確認する

出向先との新たな契約が成立する日を確認する

出向先の事業内容と外国人の具体的職務を整理する

給与の支払主体が変わる場合は報酬資料も整合させる

将来の更新時に元会社と出向先の関係を一貫して説明できるよう資料を保存する

ここで重要なのは、項目を一つずつ切り離して考えないことです。申請書、届出、契約書、課税・社会保険資料、会社資料などに同じ事実が異なる形で現れます。日付・会社名・職務・収入・家族関係を時系列でそろえ、資料相互に矛盾がない状態を作ることが、追加資料対応や不許可リスクを減らす基本になります。

 

3.準備しておきたい資料

出向契約書・出向辞令

元会社・出向先それぞれの雇用関係を示す資料

出向先の会社案内・登記事項・事業内容資料

職務内容説明書、組織図、給与条件資料

上記は典型的な確認資料であり、すべてのケースで同じ資料が法定必須という意味ではありません。出入国在留管理庁の公式提出書類を基礎にしつつ、個別事情を説明するために必要な補足資料を選びます。外国語資料には、審査上意味を持つ氏名・日付・金額・身分関係等を正確に反映した日本語訳を付けます。

 

4.行政書士として考える実務上の進め方

・出向形態と契約関係を法務・人事で整理する

・技人国該当性を職務単位で確認する

・必要な所属(契約)機関届出を14日以内に行う

・更新時は出向の経緯・期間・業務内容を資料で説明する

申請を急ぐほど、先に結論を決めて資料を後付けしたくなりますが、順序は逆です。まず事実を確認し、現在の法令・公式運用に当てはめ、足りない資料と説明が必要な点を整理してから申請方針を決めます。特に在留期限や14日以内の届出期限がある場合は、期限管理と実体審査の準備を並行して進めます。

 

5.よくある誤解

「グループ会社だから同じ会社と同じ」「給与が元会社から出るから届出不要」とは限りません。法人が別で、出向先との契約関係や実際の就労形態が生じる場合は、入管上の所属機関の整理が必要です。

入管手続では、似た状況でも現在の在留資格、申請区分、経歴、会社・家族の状況によって結論が変わります。インターネット上の過去事例をそのまま自分のケースに当てはめず、申請時点の制度と事実関係で確認することが大切です。

 

よくある質問

Q1 同じ会社の別支店へ転勤するだけでも届出が必要ですか?

A 契約機関が同じで同一法人内の支店異動であれば、公式Q&Aでは届出不要とされています。別法人への出向とは区別します。

Q2 派遣先変更と出向は同じですか?

A 同じではありません。派遣元との雇用契約が継続し派遣先だけ変わる場合、公式Q&Aでは派遣先変更自体の所属機関届出は不要とされています。一方、出向は契約関係を個別に確認します。

Q3 出向前に就労資格証明書を取った方がよいですか?

A 義務ではありませんが、職務内容が技人国に該当するか不安がある場合は、出向後の就労資格証明書を含め事前に方針を検討する価値があります。

 

行政書士へ相談した方がよいケース

在留期限・届出期限が近く、手続の優先順位が分からない

公式の提出書類一覧だけでは、自分の事情をどう説明すべきか判断しにくい

転職、失業、家族変更、会社の経営状況など申請後・前回許可後に事情が変わっている

過去の届出、税金、年金、社会保険、在留状況に気になる点がある

不許可を避けるため、申請前に事実と立証資料の整合性を確認したい

行政書士鈴木茂事務所では、単に書類をそろえるだけでなく、現在の在留資格、これまでの経緯、申請後の生活・就労計画を確認し、どの事実をどの資料で説明するかを整理します。許可を保証することはできませんが、申請前に論点を明確にし、入管に伝わりやすい形へ整えることができます。

 

まとめ

出向は、同じ会社内の配置転換と同じ扱いにはできません。出入国在留管理庁の所属機関Q&Aでは、他の機関への出向について届出が必要とされ、出向先との契約関係に応じて新たな契約の締結、移籍出向では契約終了の届出も問題になります。さらに、出向先で実際に行う業務が技人国に該当することを確認する必要があります。

在留資格の手続は、制度を知るだけでなく、自分の事実関係を正確に当てはめる作業が必要です。少しでも判断に迷う事情がある場合は、期限直前ではなく、資料を集められる段階で相談することをおすすめします。

 

関連記事

在留資格「企業内転勤」と技人国の違い

就労資格証明書交付申請とは

技術・人文知識・国際業務とは?

 

主な公的情報源

・出入国在留管理庁「所属機関等に関する届出・所属機関による届出Q&A」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/shozokunikansuru_00001.html

・出入国在留管理庁「所属(契約)機関に関する届出」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri10_00015.html

・出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/gijinkoku.html

※本記事は2026年8月19日時点で確認できる法令・出入国在留管理庁の公表情報を基に作成しています。制度改正、告示改正、運用変更等が行われることがありますので、実際の申請時には最新の公式情報をご確認ください。

 

【この記事の執筆・監修者】

申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せ・相談予約

090-2659-5170

<受付時間>
平日9:00~20:00/土曜・日曜・祝日9:00~20:00

フォームは24時間受付中です。お気軽にご連絡ください。

新着情報・お知らせ

毎日更新中
ブログ・解説記事等
2026/09/03
「特集記事」を更新しました
2026/08/17
「報酬額一覧」を全面改訂いたしました
2026/08/28
「書籍」を出版いたしまいした。

行政書士鈴木茂事務所

住所

〒156-0041
東京都世田谷区大原1-22-16

アクセス

下北沢駅東口から徒歩10分
笹塚駅改札口から徒歩10分

受付時間

平日9:00~20:00
土曜・日曜・祝日9:00~20:00

定休日

なし