技人国で副業を始めたい外国人へ――会社員のままできる仕事・許可が必要な仕事

働き方の多様化に伴い、外国人社員からも「本業のほかに専門分野の仕事を受けたい」「オンラインで語学を教えたい」といった副業の相談が増えています。

技術・人文知識・国際業務の在留資格を持つ方が副業を行う場合は、勤務先の就業規則だけでなく、副業の内容が現在の在留資格の活動範囲に含まれるかを確認する必要があります。

活動範囲外の仕事を許可なく行うと、更新や変更の審査で事情の説明を求められ、内容によっては資格外活動違反となる可能性があります。本記事では、副業の内容に応じた確認方法と必要な手続を解説します。

 

1. 入管法第19条の要件:技人国の「活動範囲内」か「範囲外」か

就労ビザを持つ外国人が副業を検討する際は、その活動内容が、現在の「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で認められる活動範囲に含まれるかどうかが、判断の主なポイントとなります。

入管への手続きが「不要」な副業の例(活動範囲内):

現在の本業がシステムエンジニアの方が、週末に別のIT企業から業務委託を受けてプログラム開発を行うケースや、本業が貿易事務の方が他社の貿易書類の翻訳を請け負うケースなどが考えられます。活動内容が「技術・人文知識・国際業務」の範囲内であれば、原則として資格外活動許可を要しない場合があります。ただし、具体的な職務内容、契約形態、本業との関係によって判断が異なるため、開始前に確認することが大切です。

入管への手続きが「原則として必要」な副業の例(活動範囲外):

技人国の活動範囲に含まれにくい副業として、配達、飲食店の接客、清掃、工場軽作業等があります。これらを行う場合は、資格外活動許可の可否を事前に確認してください。

 

2. 単純労働の副業をするための重要な手段:「資格外活動許可」の取得実務

では、技人国の会社員は、デリバリーの配達員や飲食店のアルバイトを副業にすることは特にできないのでしょうか。法律上、「事前に資格外活動許可(入管法第19条第2項)」の申請を入管へ行い、正式な許可証(在留カード裏面への印字)を確保すれば、例外的に行うことが可能になります。

就労資格を持つ方の資格外活動許可は、留学生に付与される包括的な許可とは取扱いが異なります。副業の内容、時間、本業への影響等を示し、個別に許可の可否を確認します。

本業の所属機関(会社)の承諾: 会社の人事権を持つ責任者が署名・捺印した「副業承諾書」の提出が重要です。

本業への支障がないこと: 副業の労働時間が週あたり数時間(目安として週10〜14時間以内など)にとどまり、本業のパフォーマンスに悪影響を与えない合理的なスケジュールであること。

生計維持の主従関係: あくまで現在の会社での収入が主たる生計の柱であり、副業はお小遣い稼ぎや補当的なものであること。

 

3. 業務委託(フリーランス)形式の副業における税務資料の管理

他社から「業務委託」や「個人請負」の形で副業の報酬を受け取る場合、アルバイトのように給与明細が出ないことが多いため、次回のビザ更新時に入管から「この副業の収入は何のお金ですか?」と追加の確認や説明の求めが入ります。

これを満たすための一般的な対応は、副業先との間で事前に結んだ「業務委託契約書」や、毎月の「請求書」「入金記録(通帳のコピー)」を全てファイリングして保管しておくことです。そして、副業の年間所得が20万円を超える場合は、日本の税法(所得税法)に基づき、翌年の2月〜3月に原則として税務署へ「確定申告(白色または青色)」を適切に行ってください。

具体的な税務申告や税務相談は税理士の業務となります。当事務所では、入管手続に必要な範囲で、確定申告書の控えや課税証明書と申請内容との整合性を確認し、必要資料をご案内します。

 

よくあるご質問

Q1. 本業の会社に内緒(取扱い)で、資格外活動許可を取って副業をすることはできますか?

資格外活動許可の申請では、本業との関係や副業の内容を説明する資料が求められます。勤務先の承諾書が必要かは申請内容や申請先の案内によって確認してください。会社に無断で書類を作成したり、事実と異なる承諾書を提出したりすることはできません。

Q2. ネットのフリマアプリ(メルカリなど)で不要になった私物を売ったり、趣味で描いたイラストをオンラインで数千円で販売する行為も、入管法上の「副業」になり手続きが必要ですか?

A2. 自宅の引っ越しの際に出た不用品を処分するような「業として行わない、一時的な日常生活の範囲内の処分」であれば、入管法上の資格外活動には該当せず、手続きは一切不要です。ただし、利益を得る目的で海外から商品を大量に仕入れて継続的に転売(せどり)を行ったり、イラストの注文を反復継続して受けて組織的に対価を得ている場合は、「業としての営利活動」とみなされ、資格外活動許可または「経営・管理」のビザへの変更が必要になる境界線となります。

Q3. 週末に友人が経営するレストランの引越しを手伝い、お礼として現金で「1万円」をもらいました。口座振込ではなく手渡しであれば、入管や会社にバレることはありませんか? A3. マイナンバー連携や税務調査が進む2026年現在の日本においては、手渡しであっても隠し通すことはできません。友人のレストラン側がその1万円を経費(人件費)として税務署に申告した場合、あなたのマイナンバーに紐づく所得データとして役所に登録され、最終的にあなたの「住民税の課税証明書」の総額が会社への天引き(特別徴収)の段階で会社の総務部に通知されます。金額の多寡ではなく、「無許可で現場労働(単純作業)を行った」という違反の事実そのものが次回のビザ更新時に発覚し、不許可の原因となります。

 

行政書士鈴木茂事務所からのひと言

申請では、現在の状況と提出資料を正確に整理し、制度上の要件との整合性を確認することが重要です。個別事情によって必要な対応は異なるため、早めに準備を進めてください。

副業を始める前に、その業務が現在の在留資格の活動範囲内か、資格外活動許可が必要かを確認します。当事務所では、契約書と業務内容を確認し、必要な手続や注意点をご案内します。

 

一次情報源・公的リファレンス:

o 出入国在留管理庁「資格外活動許可について(入管法第19条第2項)」

o 出入国在留管理庁「就労を目的とする在留資格について(技術・人文知識・国際業務の活動定義)」

o 税務署・国税庁「所得税法第121条(会社員の副業における確定申告の基準法文)」

 

【この記事の執筆・監修者】

申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。

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