第2次出入国在留管理基本計画|今後の審査・在留管理はどこへ向かうのか

個別の法改正や必要書類だけを追っていると、入管行政全体がどちらへ進んでいるかを見失います。2026年7月31日に公表された第2次出入国在留管理基本計画は、今後の入国審査、在留審査、外国人との共生、難民保護、デジタル化の方向を示す上位方針です。直ちに新しい提出義務を課す法律ではありませんが、今後の制度改正を予測する重要資料です。

 

「円滑」と「厳格」を同時に進める

計画の基本姿勢は、必要な外国人材や訪日者を円滑に受け入れる一方、偽装滞在、不法就労、悪質な税・社会保険未納、制度の不正利用には厳格に対応することです。JESTAによる入国前審査、審査システムの高度化、在留カード・マイナンバー関連情報の活用などが、この両立の手段になります。

優良な企業・申請人は迅速化の恩恵を受けやすく、説明が不十分な案件や法令順守に問題がある案件は、より深く確認される方向です。

 

関係機関との情報連携が進む

2026年6月改訂の変更・更新ガイドラインが、関係機関から提供された納付情報を許否判断に使う場合があると明示したことは、基本計画の方向と一致します。税、社会保険、雇用、住民情報が別々の行政手続として閉じるのではなく、在留管理上必要な範囲で連携される流れです。

申請書に事実と異なる説明を書いても、他の行政記録との不一致が見つかりやすくなります。申請実務は、資料を多く出すことより、各行政記録が同じ事実を示す状態を作ることが重要になります。

 

日本語と制度・ルールの理解

計画は、外国人が日本語や日本の制度・ルールを学ぶプログラムの創設、情報発信、相談体制の強化を掲げています。2026年8月の永住ガイドライン改定案が、日本語B1や制度理解を考慮要素にしたことも、この政策方向に位置付けられます。

今後、入国前、在留中、永住前の各段階で、日本語学習や生活ルールの理解が制度上の要件または評価項目になる可能性があります。

 

企業の受入れ責任は広がる

企業には、適法な在留資格で雇用するだけでなく、労働条件、安全衛生、社会保険、生活支援、相談、キャリア形成まで含む適正な受入れが求められます。特定技能・育成就労だけでなく、技人国の派遣就労や経営・管理でも、会社の法令順守が審査へ影響する傾向は強まっています。

 

【実務メモ】外国人雇用を人事部だけの業務にせず、経理、社会保険、現場管理者、法務、経営者が共有する管理表を作ると、更新前に問題を発見できます。

 

デジタル化で便利になる一方、記録の正確性が重要

オンライン申請、デジタルCOE、特定在留カード、JESTAなど、手続はデジタル化します。便利になる一方、入力した情報が長期にわたり行政記録として蓄積され、次回申請と比較されます。会社名、職務、給与、住所、扶養人数の変更を正確に届け出ることが、これまで以上に重要です。

 

よくある質問

Q:基本計画が公表された日から審査基準が変わりますか。

A:基本計画自体は政策の方向を示すもので、すべてが即日要件になるわけではありません。個別の法律、政省令、告示、ガイドラインの施行日を確認します。

Q:今後はすべての在留資格に日本語試験が必要ですか。

A:基本計画だけからは断定できません。在留資格ごとの目的と今後の制度化を確認します。

 

変化を先回りして準備する

入管実務は、改正が施行されてから慌てて対応するより、方針段階で自社・本人の弱点を点検する方が安全です。当事務所では、個別申請だけでなく、企業の外国人雇用管理と将来の永住までを見据えた継続支援を行います。

 

情報元・参照URL

出入国在留管理庁「第2次出入国在留管理基本計画」:https://www.moj.go.jp/isa/content/001467575.pdf(2026年7月31日)

出入国在留管理庁「令和8年入管法等改正法について」:https://www.moj.go.jp/isa/01_00643.html(JESTA・手数料改正)

出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」:https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00058.html(情報連携と納付状況)

 

【この記事の執筆・監修者】

申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。

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