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第4回 お客様お悩み相談
海外企業に雇われたまま日本からフルリモート勤務できますか?技人国とデジタルノマドの違い
先に結論
「日本に住んでパソコンで働く」という事実だけでは技人国にはなりません。技人国は日本の公私の機関との契約に基づく活動であることが基本です。外国企業との雇用を維持したまま国際的なリモートワークを行う場合は、要件を満たせば特定活動のデジタルノマドが候補になりますが、在留期間は6か月で更新不可、個人年収1,000万円以上、対象国・地域、医療保険等の要件があります。
1.制度上の整理
技術・人文知識・国際業務では、在留カードに会社名が印字されているかどうかだけで判断するのではなく、日本の公私の機関との契約、実際の職務内容、学歴・職歴との関係、報酬、在留状況を一体として確認することが大切です。勤務先や契約関係に変化があったときは、届出だけで足りるのか、更新・変更や就労資格証明書まで必要なのかを切り分けます。
特定活動(デジタルノマド)は、外国法人等に雇用され、ICTを利用して日本で国際的なリモートワークを行う活動などを対象とする制度です。日本の公私の機関との雇用契約等に基づく就労活動はこの制度では認められていません。
在留期間は6か月で更新不可です。出国後6か月以降は再度同資格での滞在が可能とされています。また、中長期在留者ではなく在留カードの交付対象外です。
申請人個人の年収1,000万円以上、対象となる国・地域の国籍等、滞在期間をカバーする民間医療保険、傷害疾病への治療費用補償額1,000万円以上などの要件が公表されています。
2.このケースで確認したいポイント
• 雇用主・契約相手が日本法人なのか外国法人なのか
• 日本側に支店・子会社等があり、誰と契約するのか
• 滞在希望期間が6か月以内か、長期定住を希望しているか
• デジタルノマド対象国・地域に該当するか
• 年収と医療保険を公式資料に沿って証明できるか
ここで重要なのは、項目を一つずつ切り離して考えないことです。申請書、届出、契約書、課税・社会保険資料、会社資料などに同じ事実が異なる形で現れます。日付・会社名・職務・収入・家族関係を時系列でそろえ、資料相互に矛盾がない状態を作ることが、追加資料対応や不許可リスクを減らす基本になります。
3.準備しておきたい資料
• 外国企業との雇用契約書・在職証明書
• 年収1,000万円以上を示す納税証明・所得証明等
• 日本滞在中の活動予定を説明する資料
• 要件を満たす民間医療保険の証書・約款
上記は典型的な確認資料であり、すべてのケースで同じ資料が法定必須という意味ではありません。出入国在留管理庁の公式提出書類を基礎にしつつ、個別事情を説明するために必要な補足資料を選びます。外国語資料には、審査上意味を持つ氏名・日付・金額・身分関係等を正確に反映した日本語訳を付けます。
4.行政書士として考える実務上の進め方
・日本で誰との契約に基づき何をするかを整理する
・技人国・デジタルノマド・その他特定活動のどれが制度上合うか検討する
・対象国・年収・保険・滞在期間を確認する
・長期在留が必要なら、6か月限定制度でよいのか生活設計から見直す
申請を急ぐほど、先に結論を決めて資料を後付けしたくなりますが、順序は逆です。まず事実を確認し、現在の法令・公式運用に当てはめ、足りない資料と説明が必要な点を整理してから申請方針を決めます。特に在留期限や14日以内の届出期限がある場合は、期限管理と実体審査の準備を並行して進めます。
5.よくある誤解
「リモートワークなら場所を問わないので、在留資格も何でもよい」という考え方は誤りです。在留資格は日本国内で行う活動を規律するため、雇用主が海外でも、日本で何をするかに合う在留資格が必要です。
入管手続では、似た状況でも現在の在留資格、申請区分、経歴、会社・家族の状況によって結論が変わります。インターネット上の過去事例をそのまま自分のケースに当てはめず、申請時点の制度と事実関係で確認することが大切です。
よくある質問
Q1 デジタルノマドで日本企業の仕事を副業できますか?
A 公式案内では日本の公私の機関との雇用契約等に基づく就労活動は不可で、資格外活動許可も原則認められないとされています。
Q2 6か月後に更新できますか?
A 更新不可です。公式案内では出国後6か月以降、再度この在留資格での滞在が可能とされています。
Q3 年収1,000万円は世帯合算ですか?
A 主たるデジタルノマド申請人について「申請人個人の年収1,000万円以上」とされています。家族との合算ではありません。
行政書士へ相談した方がよいケース
• 在留期限・届出期限が近く、手続の優先順位が分からない
• 公式の提出書類一覧だけでは、自分の事情をどう説明すべきか判断しにくい
• 転職、失業、家族変更、会社の経営状況など申請後・前回許可後に事情が変わっている
• 過去の届出、税金、年金、社会保険、在留状況に気になる点がある
• 不許可を避けるため、申請前に事実と立証資料の整合性を確認したい
行政書士鈴木茂事務所では、単に書類をそろえるだけでなく、現在の在留資格、これまでの経緯、申請後の生活・就労計画を確認し、どの事実をどの資料で説明するかを整理します。許可を保証することはできませんが、申請前に論点を明確にし、入管に伝わりやすい形へ整えることができます。
まとめ
「日本に住んでパソコンで働く」という事実だけでは技人国にはなりません。技人国は日本の公私の機関との契約に基づく活動であることが基本です。外国企業との雇用を維持したまま国際的なリモートワークを行う場合は、要件を満たせば特定活動のデジタルノマドが候補になりますが、在留期間は6か月で更新不可、個人年収1,000万円以上、対象国・地域、医療保険等の要件があります。
在留資格の手続は、制度を知るだけでなく、自分の事実関係を正確に当てはめる作業が必要です。少しでも判断に迷う事情がある場合は、期限直前ではなく、資料を集められる段階で相談することをおすすめします。
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主な公的情報源
・出入国在留管理庁「特定活動(デジタルノマド)」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/designatedactivities10_00001.html
・出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/gijinkoku.html
※本記事は2026年8月20日時点で確認できる法令・出入国在留管理庁の公表情報を基に作成しています。制度改正、告示改正、運用変更等が行われることがありますので、実際の申請時には最新の公式情報をご確認ください。
【この記事の執筆・監修者】
申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。
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