永住許可ガイドライン改定案|収入・年金・日本語B1・家族要件はどう変わるのか

2026年8月4日、永住許可審査の考え方を大きく具体化するガイドライン改定案が公表されました。収入、年金、日本語能力、日本の制度・ルールへの理解、学齢期の子の就学など、これまでより明確な評価項目が並んでいます。ただし、2026年8月6日時点ではパブリックコメント中の「案」であり、確定した審査基準ではありません。

 

改定案が示す永住者の位置付け

案では、永住者は活動・在留期間の制限がなく、生涯を日本に生活の本拠を置いて過ごすことが想定される最も安定した法的地位であるため、特に慎重な審査が必要だと明記されています。国益要件も、単に日本の利益に反しないだけでは足りず、積極的かつ具体的に日本に利益をもたらす必要がある、という厳しい表現です。

これは、永住申請の理由書で「犯罪歴がない」「税金を払っている」とだけ書く方法では不十分になり得ることを意味します。仕事、納税、地域との関係、家族の定着、将来設計を、一つのストーリーとして示す重要性が増します。

 

世帯年収を日本人世帯の平均収入と比較する案

独立生計要件では、現在と将来において日本人と同等水準以上の経済条件を求め、原則として同一生計世帯単位で判断するとしています。世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準に、継続して達しているかが考慮要素です。

 

注目すべき点は次のとおりです。

「家族滞在」で資格外活動により得た収入は、原則として世帯年収に合算しない

海外に住む親族でも申請人が扶養していれば、世帯人数に加える

現在の年収だけでなく、将来の安定性を確認する

世帯が5人以上の場合は生活費増加分を加味する

 

年金の将来受給見込額も考慮する案

申請時までの加入期間、平均年収、現在の年収等から将来受給できる年金見込額を算定し、日本人世帯の平均収入を上回る年収水準で30年間厚生年金に加入した場合の水準と比較する構想です。不足する場合でも、将来の生活費を補える金融資産があれば考慮するとしています。

若年者はこれから加入期間と資産を形成できるため、年齢に応じた評価が予定されています。したがって、若い申請人が加入年数の短さだけで直ちに不利になる、という読み方は正確ではありません。

日本語B1、制度理解、子どもの就学

案では、日本語能力についてCEFR B1相当以上を考慮要素とします。また、生活・就労ガイドブックを中心とした日本の制度・ルールの理解を、入管庁長官が指定する方法で確認する方針です。さらに、義務教育年齢の子を就学させていない場合は消極評価とする案が示されました。

日本語B1はJLPTの級と完全に同義ではありません。最終的にどの試験・経歴で証明できるか、免除や代替方法がどうなるかは、確定版と今後の指定を待つ必要があります。

 

配偶者特例は「3年・1年」から「5年・3年」へ

現行ガイドラインでは、日本人・永住者等の配偶者について、実体を伴う婚姻生活が3年以上継続し、日本に引き続き1年以上在留していることが、原則10年在留の特例です。改定案では、それぞれ5年、3年へ延長する方針が示されています。

【重要】適用時期は原則2027年4月、収入に関する要素は2026年10月施行とする案です。最終決定前に、申請を急がせるだけの助言は避け、現在の資格・在留期間・納付状況を含めて判断する必要があります。

 

よくある質問

Q:2026年中に申請すれば、必ず現行基準で審査されますか。

A:案では項目ごとに適用時期が異なります。申請日だけでなく、審査中に追加資料を求められる可能性や、最終的な経過措置を確認する必要があります。

Q:日本語試験を持っていないと永住申請できませんか。

A:現時点では改定案です。確定版での証明方法、除外・みなし要件を確認するまで断定できません。ただし、今から日本語学習や試験日程を確認することは有益です。

 

今できる準備

慌てて申請するより、過去の年収、扶養人数、年金加入、納付期限、家族の在留資格、子どもの就学状況を一覧にすることが先です。当事務所では、現行基準で申請可能か、改定後を見据えて何を補うべきかを分けて検討し、申請時期と立証方針をご提案します。

 

情報元・参照URL

e-Gov「永住許可に関するガイドライン改定案に係る意見募集」:https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&Mode=0&id=315000140(2026年8月4日公示)

出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(現行)」:https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan50.html(2026年2月24日改訂)

出入国在留管理庁「永住許可」:https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/eizyuu_00001.html(申請手続・最新告知)

公開前の確認事項:本文は2026年8月6日時点の改定案に基づきます。パブリックコメント結果、確定版、証明方法、経過措置が公表された後に必ず改稿してください。

 

【この記事の執筆・監修者】

申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。

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