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転職後14日以内の届出だけでは足りない――技人国の更新で問われる新しい会社の実態
「半年前、前の会社を円満退職して、今の新しい会社にITエンジニアとして転職しました。入管のウェブサイトから『所属機関に関する届出』も14日以内にきちんと提出したので、手続きは全て完了したと思っていました。しかし、今月ビザの更新申請をしたところ、入管から会社宛てに大量の決算書や事業計画書の提出を求める通知が届き、会社も自分も大慌てしています。転職後の最初の更新は、そんなに審査が慎重なのでしょうか?」
就労ビザ(技人国)を持って日本で活躍する外国人の方々、そして中途採用で優秀な外国人材を受け入れた企業の担当者様から、このような転職に伴う更新申請の慎重な対応が必要なご相談を多くいただきます。
一般論としては、「転職をした後の最初の在留期間更新許可申請は、名前こそ『更新』ですが、実務上の審査の重さは『新規でビザをゼロから取り直すのと同じレベル』の慎重な審査が行われます。」
14日以内の届出は、あくまで「会社が変わりました」という入管への事務的な連絡(在留資格通知)に過ぎず、その新しい会社でのあなたの活動が本当に法律(入管法)の基準を満たしているかどうかの在留資格を与えられたわけではないのです。転職後の更新で特に失敗しないための、新しい会社の実態証明の実務を詳しく解説します。
1. 審査で確認されるポイント:前職の許可は「引き継がれない」
入管の審査では転職後の更新書類を広げた際、彼らの頭の中にある説明は慎重です。「前の会社でビザの許可(3年や5年)をもらっていたからといって、新しい会社でも同じように適法であるとは限らない」という視点から審査をスタートします。
審査では、新しい勤務先について、主に次の事項が資料で確認されます。
• 企業の事業継続性:決算書、会社案内、取引資料等から、雇用と報酬を継続できる事業基盤があるかを説明します。赤字や債務超過がある場合は、原因と改善計画を補足します。
• 職務の必要性とボリューム(専ら性): その会社において、本当にその外国人の持つ高度な専門知識(語学やエンジニアリング)を必要とするだけの「十分な仕事の量(業務ボリューム)」が毎日存在しているのかどうか。他に同じような日本人社員が余っている中で、あえて外国人を雇う合理的な理由(受入の必要性)が慎重に問われます。
2. 実務上の有力な対応策:「就労資格証明書」の先回り取得
転職後、次回更新まで時間がある場合は、新しい勤務先で予定する活動が現在の在留資格に該当することを確認するため、就労資格証明書の交付申請を検討できます。取得が義務というわけではありませんが、次回更新に向けた資料整理にも役立つ場合があります。
この手続きは、転職先の会社の登記簿や決算書、本人の雇用契約書をあらかじめ入管の就労審査部門へ提出し、「私がこの新しい会社で行う予定の仕事は、現在持っている技人国のビザの範囲内に収まっていることを事前に証明してください」と入管にお墨付きを求める臨時の申請です。
就労資格証明書を取得しておくと、転職後の業務が現在の在留資格に該当することをあらかじめ確認でき、次回更新時の説明資料として役立ちます。ただし、更新審査が省略されることや、数日で許可されること、長期の在留期間が付与されることを保証するものではありません。
3. 新設会社やベンチャー企業へ転職した場合の「事業計画書」の構築
新設会社や決算期を迎えていない会社では、直近の決算書を提出できない場合があります。その場合は、事業計画書、資金繰り、取引契約、会社案内等により、事業の実態と雇用継続の見込みを説明します。
この場合の更新実務(立証の要諦)は、決算書の代わりに、会社の経営陣が作成したA4用紙数枚にわたる詳細な「向こう3年間の事業計画書」および「詳細な収支・資金繰り予定表」を添付することです。計画書の中には、単なる精神論の目標ではなく、「現在の主要取引先との基本合意書の写し」や「資金調達の銀行融資の記録」などを資料として明確に埋め込み、「現在はまだ設立初期で赤字(または売上未確定)だが、この潤沢な資本金とこの受注確定案件の説明によって、〇ヶ月後には適切に黒字化し、外国人の雇用維持能力は原則として担保されている」という事実を、経営の専門的な視点から論理的に記述する必要があります。
よくあるご質問Q&A
届出の遅れに気付いたら速やかに提出し、更新時に必要に応じて経緯を説明してください。1回の遅れで許可が保証・否定されるものではなく、期間、理由、その後の対応が確認されます。
Q2. 転職先から、決算書は社外秘のため本人には渡せないと言われました。どのように提出すればよいですか?
A2. 決算書(またはそれに代わる詳細な税務資料)が未提出の場合、就労ビザの更新は不許可となる可能性が高い(または審査ストップ)になります。前述の「お困りごと・会社が書類を出してくれない」のコラムでも解説した通り、この場合の正しい行政書士の実務対応は、会社に対して「封緘(ふうかん)提出」を提案することです。会社の人事部に決算書を十分に封筒に入れてもらい、会社の代表印で割印(封印)をしてもらった状態であなたが受け取り、そのまま中身を開けずに入管へ提出します。「中身は入管の国家公務員しか見ませんし、機密は守られます」と説明して、会社の安心と法令遵守の協力を取り付けてください。
Q3. 前職と同じITエンジニアとして転職した場合、職種が同じであれば更新は認められますか?
A3. 職種が同じことは重要な事情ですが、それだけで更新が決まるわけではありません。新しい勤務先の事業実態、雇用条件、報酬、担当業務等も確認されます。税・社会保険の滞納や事業継続性に課題がある場合は、追加説明を求められることがあります。
行政書士鈴木茂事務所からのひと言
中途採用での転職は、ご本人様にとっては生活上の新しい挑戦であり、受け入れ企業様にとっては社内に新しい風を吹き込む重要な決定です。
転職後の更新では、新しい勤務先の事業内容、担当業務、雇用条件、会社の安定性などが改めて確認されます。当事務所では、企業資料と職務内容を整理し、現在の在留資格との適合性が分かりやすく伝わる申請書類の作成を支援します。在留期間は個別審査で決定されます。
• 一次情報源・公的リファレンス:
o 出入国在留管理庁「中長期在留者の所属機関に関する届出(入管法第19条の16第2号)」
o 出入国在留管理庁「就労資格証明書交付申請(入管法第19条の2)」
o 在留審査要領(所属機関の変更を伴う在留期間更新許可申請の取扱基準・各カテゴリー別の提出資料区分規定)
【この記事の執筆・監修者】
申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。
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