第8回

COE申請の管轄はどう決まる?会社所在地・家族の住所・受入機関との関係

 

COE申請で意外に多いのが「どの入管へ出せばよいのか」という問題です。本人の海外住所ではなく、日本側の受入機関、活動場所、代理人となる親族等との関係で受付庁が決まるのが基本です。誤った官署へ持ち込むと受理されない、又は適切な官署へ案内されることがあるため、申請前に確認しておくのが安全です。

 

就労系は受入機関・活動場所との関係が中心

技術・人文知識・国際業務、研究、企業内転勤、経営・管理などのCOEでは、契約する機関や勤務する事業所の所在地が管轄判断の中心になります。会社の登記上本店と実際の勤務場所が異なる場合、どこが申請人を受け入れ、どこで活動するのかを整理します。

 

留学は教育機関との関係

留学の場合は受入教育機関の所在地が重要になります。学校が多数の留学生を一括して申請する場合など、通常の個別申請とは異なる取扱いが行われることもあります。2026年開示第9編には、多数申請を一括して受け付ける場合の受付票の取扱い等も記載されています。

 

家族・身分系は日本側親族等との関係

日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、家族滞在などでは、日本にいる配偶者、扶養者、親族等の住所や、代理人となる者の住所地との関係を確認します。申請人本人が海外にいるからといって、本人の国籍国を基準に日本側の管轄が決まるわけではありません。

 

申請後に移転した場合

2026年開示第9編では、受付後に申請人が他の地方局等の管轄地域へ転出し、受付官署で審査を継続することが適当でない場合には、案件を移管する仕組みが示されています。就労系でも受入機関の所在地変更や勤務地変更が審査に影響することがあるため、重要な変更があれば放置しないことが必要です。

 

オンライン申請でも管轄の考え方は消えない

オンラインで申請できる手続が増えていますが、申請を審査する官署や担当は存在します。オンライン申請は「全国どこでも同じ窓口」という意味ではありません。申請対象となる在留資格、所属機関、利用者区分、申請人の予定居住地等を確認して利用します。

 

実務での確認順序

このテーマでは、結論を急ぐより確認順序を決める方が安全です。まず「就労系は受入機関・活動場所との関係が中心」を確認し、次に「留学は教育機関との関係」を整理します。そのうえで「家族・身分系は日本側親族等との関係」と「申請後に移転した場合」を客観資料に照らし、申請書・説明書・添付資料の内容が同じ事実関係を示しているかを点検します。入管申請では、資料を増やすこと自体より、法的要件と資料の対応関係が明確であることが重要です。

 

説明資料を組み立てるときの考え方

説明書を作成するときは、事実、評価、将来見込みを一文の中で混ぜないようにします。事実は証明書・契約書・記録等で裏付け、評価が必要な部分は「なぜその資料からその結論になるのか」を文章でつなぎます。資料が取得できない場合は、取得できない理由と代替資料を示します。提出後の追加資料にも同じ説明軸で答えられるよう、申請前に全資料の年月日・氏名・会社名・住所・金額を横断確認しておくと安全です。

 

現在の運用と審査要領をどう使い分けるか

COEでは、受入機関や親族が多くの資料を準備しても、最終的には申請人本人について「予定する活動が在留資格に該当するか」「基準を満たすか」「説明に信ぴょう性があるか」が確認されます。査証発給・上陸審査とは別段階であることも忘れず、COE交付後に事情が変わった場合は、そのまま利用してよいかを確認します。外国語資料は訳文、過去資料は発行時期・現在性まで点検します。

 

このテーマで避けたい思い込み

このテーマで避けたいのは、「COE申請の管轄はどう決まる」について一つの数字・一つの資料だけで結果を断定することです。在留審査は、法令上の要件と個別事情を複数資料から確認する手続です。インターネット上の経験談は参考にはなっても、申請時期、在留資格、家族構成、会社カテゴリー等が違えば結論も変わります。公式資料の更新日を確認し、個別事情に当てはめて判断します。

 

よくある質問

Q 本社が東京、勤務地が大阪の場合はどこですか?

A 在留資格、契約主体、勤務場所等によって判断するため、一律に本社所在地とは限りません。申請前に管轄官署へ確認するのが安全です。

Q オンラインなら管轄は関係ありませんか?

A オンラインでも審査官署の考え方は残ります。利用対象と申請情報を正確に入力してください。

Q 申請中に会社が移転したら?

A 審査上重要な変更です。申請先に報告し、必要に応じて新住所を証する資料等を追完します。

 

まとめ

COE申請で意外に多いのが「どの入管へ出せばよいのか」という問題です。このテーマでは、単一の経験談や古い資料だけで結論を出さず、現行法令・最新の公式提出資料・個別の事実関係を対応させることが重要です。申請前に、要件、時系列、客観資料、届出状況を横断して確認し、説明が必要な点は理由書等で簡潔かつ正確に補足してください。

 

関連記事

第7回「COE申請は誰ができる?本人・代理人・申請取次行政書士の違い」

第9回「入管に提出する「原本」と「コピー」はどう扱われる?証明資料の基本」

 

主な確認資料・情報源

・令和8年4月開示・第9編 入国事前審査

https://yamanaka-bengoshi.jp/2026/04/29/nyuukoku-zairyuu-shinsa-youryou/

・出入国在留管理庁・地方出入国在留管理官署

https://www.moj.go.jp/isa/about/region/

※本記事は2026年8月22日時点で確認できる法令、出入国在留管理庁の公表資料、開示資料等を基に作成しています。制度・提出書類・運用は変更される場合があるため、実際の申請時には最新情報をご確認ください。

【この記事の執筆・監修者】

申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。

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