第8回 お客様お悩み相談

永住申請中に在留期限が来ます。永住申請だけで在留期限は延びますか?

 

よくあるご相談

「永住申請を半年前に出しましたが、まだ結果が来ません。来月、現在の技人国の在留期限が切れます。永住申請中なので更新しなくてもよいですか?」というご相談です。

 

先に結論

永住許可申請をしているだけでは、現在の在留資格の在留期限は延びません。永住の結果が出る前に在留期限が来るのであれば、現在の在留資格について在留期間更新許可申請等を別に行う必要があります。永住申請と更新申請は、目的も審査も別の手続として管理してください。

 

1.制度上の整理

永住許可申請は、提出した時点だけで審査が固定される手続ではありません。審査中も現在の在留資格は有効に維持する必要があり、生活・勤務・家族・公的義務の履行状況に変化があれば、その変化が永住許可の要件や提出済み資料とどのように関係するかを確認する必要があります。

出入国在留管理庁の永住許可手続は、永住許可申請中であっても現在の在留期間が満了する場合には、別途、在留期間更新許可申請を行う必要があると案内しています。

永住許可ガイドラインは、現に有している在留資格について最長の在留期間をもって在留していることを要件の一つとしています。2027年3月31日までは3年を最長とみなす経過措置があり、同日時点で3年を有する者には初回処分に関する経過措置があります。

更新申請で在留資格や勤務状況に変化が出る場合、それが永住申請時の前提にも影響し得ます。更新の資料と永住の提出済み資料で矛盾が生じないようにします。

 

2.このケースで確認したいポイント

現在の在留期限を永住の審査期間とは別に管理する

更新申請に必要な会社・身分資料を早めに準備する

永住申請後に転職・家族変更等がある場合は事実関係の説明を検討する

更新で新しい在留期間が許可されたら、永住審査への影響も確認する

ここで重要なのは、項目を一つずつ切り離して考えないことです。申請書、届出、契約書、課税・社会保険資料、会社資料などに同じ事実が異なる形で現れます。日付・会社名・職務・収入・家族関係を時系列でそろえ、資料相互に矛盾がない状態を作ることが、追加資料対応や不許可リスクを減らす基本になります。

 

3.準備しておきたい資料

現在の在留資格の更新に必要な一式

永住申請の受付票・申請番号

永住申請後に変更した事実の資料

新しい在留カードの写し(更新後、必要に応じて)

上記は典型的な確認資料であり、すべてのケースで同じ資料が法定必須という意味ではありません。出入国在留管理庁の公式提出書類を基礎にしつつ、個別事情を説明するために必要な補足資料を選びます。外国語資料には、審査上意味を持つ氏名・日付・金額・身分関係等を正確に反映した日本語訳を付けます。

 

4.行政書士として考える実務上の進め方

・永住申請の結果待ちでも在留期限を確認する

・期限前に現在の在留資格の更新を申請する

・更新許可後、永住申請に追加で伝えるべき変更がないか確認する

・永住結果が出るまで現在の在留資格上の義務を継続して守る

申請を急ぐほど、先に結論を決めて資料を後付けしたくなりますが、順序は逆です。まず事実を確認し、現在の法令・公式運用に当てはめ、足りない資料と説明が必要な点を整理してから申請方針を決めます。特に在留期限や14日以内の届出期限がある場合は、期限管理と実体審査の準備を並行して進めます。

 

5.よくある誤解

在留資格変更・更新には申請中の特例期間がありますが、それを「永住申請をしたら現在の在留期限が自動延長される」と混同しないことが重要です。

入管手続では、似た状況でも現在の在留資格、申請区分、経歴、会社・家族の状況によって結論が変わります。インターネット上の過去事例をそのまま自分のケースに当てはめず、申請時点の制度と事実関係で確認することが大切です。

 

よくある質問

Q1 永住申請が先に許可されそうでも更新は必要ですか?

A 在留期限までに永住の許可が確実に出る保証はありません。期限が到来するなら、現在の在留資格を適法に維持するため更新を行うのが原則です。

Q2 更新で1年しかもらえなかったら永住申請はどうなりますか?

A 永住の「最長の在留期間」要件との関係を含め、審査中の永住申請への影響を個別に検討する必要があります。事実を隠さず、必要に応じて説明します。

Q3 更新と永住で同じ書類を使えますか?

A 重なる資料はありますが、申請目的・審査項目が異なります。それぞれの手続に必要な最新版を用意し、内容を一致させることが大切です。

 

行政書士へ相談した方がよいケース

在留期限・届出期限が近く、手続の優先順位が分からない

公式の提出書類一覧だけでは、自分の事情をどう説明すべきか判断しにくい

転職、失業、家族変更、会社の経営状況など申請後・前回許可後に事情が変わっている

過去の届出、税金、年金、社会保険、在留状況に気になる点がある

不許可を避けるため、申請前に事実と立証資料の整合性を確認したい

行政書士鈴木茂事務所では、単に書類をそろえるだけでなく、現在の在留資格、これまでの経緯、申請後の生活・就労計画を確認し、どの事実をどの資料で説明するかを整理します。許可を保証することはできませんが、申請前に論点を明確にし、入管に伝わりやすい形へ整えることができます。

 

まとめ

永住許可申請をしているだけでは、現在の在留資格の在留期限は延びません。永住の結果が出る前に在留期限が来るのであれば、現在の在留資格について在留期間更新許可申請等を別に行う必要があります。永住申請と更新申請は、目的も審査も別の手続として管理することが大切です。

在留資格の手続は、制度を知るだけでなく、自分の事実関係を正確に当てはめる作業が必要です。少しでも判断に迷う事情がある場合は、期限直前ではなく、資料を集められる段階で相談することをおすすめします。

 

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主な公的情報源

・出入国在留管理庁「永住許可(入管法第22条)」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/eizyuu_00001.html

・出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂)」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan50.html

・出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00058.html

※本記事は2026年8月25日時点で確認できる法令・出入国在留管理庁の公表情報を基に作成しています。制度改正、告示改正、運用変更等が行われることがありますので、実際の申請時には最新の公式情報をご確認ください。

【この記事の執筆・監修者】

申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。

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