第16回 お客様お悩み相談
夫婦とも海外在住です。日本へ一緒に帰国するため配偶者ビザをどう準備しますか?
よくあるご相談
「日本人の私も外国人の配偶者も海外で暮らしています。日本へ夫婦一緒に移住したいのですが、日本に申請する本人がいません。COEはどうすればよいですか?」というご相談です。
先に結論
配偶者の在留資格認定証明書(COE)は入国前に行う手続で、申請提出者には本人、法務省令で定める代理人、一定の申請取次者等があります。公式Q&Aでは、日本人と結婚して入国する場合の代理人として外国人の配偶者である日本人が例示されています。ただし、COEの申請取次者が本人・代理人に代わって提出する場合は、本人または代理人が日本に滞在していることが必要とされるため、夫婦双方が海外にいるケースは帰国時期や日本の親族等を含め申請体制を事前に設計する必要があります。
1.制度上の整理
身分系の在留資格では、戸籍や結婚証明書などの形式的な身分関係だけでなく、実際の共同生活、扶養関係、生計、家族の在留資格との整合性が重要になります。家族の状況が変わった場合は、家族全員が同じ在留資格になるとは限らないため、一人ずつ法的な地位を確認します。
COEは短期滞在等を除き、入国前に日本で予定する活動が在留資格に該当すること等を証明する手続です。日本人の配偶者等も対象です。
公式Q&Aは、日本人との婚姻により入国しようとする場合、外国人の配偶者である日本人が代理人となる例を示しています。一方、申請取次者が代理提出する場合には、本人または代理人が日本に滞在していることが条件として案内されています。
夫婦が海外生活をしていた場合、日本の住民税課税証明がないことも珍しくありません。帰国後の就職予定、預貯金、住居、親族支援等で生計の見通しを具体的に説明します。
2.このケースで確認したいポイント
• 日本人配偶者が先に一時帰国して申請するか
• 日本にいる親族が代理人要件に該当し得るかを確認する
• 帰国後の住所・住居契約・同居予定
• 日本での就職・転勤・預貯金など生計の根拠
• 婚姻成立と海外での共同生活を示す資料
ここで重要なのは、項目を一つずつ切り離して考えないことです。申請書、届出、契約書、課税・社会保険資料、会社資料などに同じ事実が異なる形で現れます。日付・会社名・職務・収入・家族関係を時系列でそろえ、資料相互に矛盾がない状態を作ることが、追加資料対応や不許可リスクを減らす基本になります。
3.準備しておきたい資料
• 戸籍謄本・外国の結婚証明書
• 海外での同居・生活を示す資料
• 帰国後の雇用予定・転勤辞令・預金資料
• 日本の住居予定資料、住民票等(取得可能なもの)
• COE申請の代理人・提出者資格を確認する資料
上記は典型的な確認資料であり、すべてのケースで同じ資料が法定必須という意味ではありません。出入国在留管理庁の公式提出書類を基礎にしつつ、個別事情を説明するために必要な補足資料を選びます。外国語資料には、審査上意味を持つ氏名・日付・金額・身分関係等を正確に反映した日本語訳を付けます。
4.行政書士として考える実務上の進め方
・希望帰国日から逆算してCOE申請者・提出者を決める
・日本側の住居・生計計画を具体化する
・海外婚姻・共同生活資料を整理する
・COE交付後の査証申請と渡航日程まで一続きで設計する
申請を急ぐほど、先に結論を決めて資料を後付けしたくなりますが、順序は逆です。まず事実を確認し、現在の法令・公式運用に当てはめ、足りない資料と説明が必要な点を整理してから申請方針を決めます。特に在留期限や14日以内の届出期限がある場合は、期限管理と実体審査の準備を並行して進めます。
5.よくある誤解
「行政書士に頼めば、夫婦が二人とも海外にいても常に行政書士だけでCOEを提出できる」とは限りません。申請提出者・代理人・取次者の要件を先に確認することが大切です。
入管手続では、似た状況でも現在の在留資格、申請区分、経歴、会社・家族の状況によって結論が変わります。インターネット上の過去事例をそのまま自分のケースに当てはめず、申請時点の制度と事実関係で確認することが大切です。
よくある質問
Q1 日本人配偶者が一度も日本へ戻らず申請できますか?
A 申請提出者・代理人の具体的な構成によります。夫婦双方が海外の場合は、公式の代理人範囲と日本滞在要件を踏まえて個別に設計してください。
Q2 日本の仕事が決まっていなくても配偶者ビザは無理ですか?
A 就職の有無だけで決まるものではありません。預貯金、帰国後の雇用予定、親族支援等を含め、日本で夫婦生活を維持できる生計を説明します。
Q3 COEが出れば必ず入国できますか?
A COEは査証・上陸審査を円滑にする資料ですが、それだけで査証発給や上陸許可を保証するものではありません。
行政書士へ相談した方がよいケース
• 在留期限・届出期限が近く、手続の優先順位が分からない
• 公式の提出書類一覧だけでは、自分の事情をどう説明すべきか判断しにくい
• 転職、失業、家族変更、会社の経営状況など申請後・前回許可後に事情が変わっている
• 過去の届出、税金、年金、社会保険、在留状況に気になる点がある
• 不許可を避けるため、申請前に事実と立証資料の整合性を確認したい
行政書士鈴木茂事務所では、単に書類をそろえるだけでなく、現在の在留資格、これまでの経緯、申請後の生活・就労計画を確認し、どの事実をどの資料で説明するかを整理します。許可を保証することはできませんが、申請前に論点を明確にし、入管に伝わりやすい形へ整えることができます。
まとめ
配偶者の在留資格認定証明書(COE)は入国前に行う手続で、申請提出者には本人、法務省令で定める代理人、一定の申請取次者等があります。公式Q&Aでは、日本人と結婚して入国する場合の代理人として外国人の配偶者である日本人が例示されています。ただし、COEの申請取次者が本人・代理人に代わって提出する場合は、本人または代理人が日本に滞在していることが必要とされるため、夫婦双方が海外にいるケースは帰国時期や日本の親族等を含め申請体制を事前に設計する必要があります。
在留資格の手続は、制度を知るだけでなく、自分の事実関係を正確に当てはめる作業が必要です。少しでも判断に迷う事情がある場合は、期限直前ではなく、資料を集められる段階で相談することをおすすめします。
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主な公的情報源
・出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-1.html
・出入国在留管理庁「在留資格『日本人の配偶者等』」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/spouseorchildofjapanese01.html
・出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」 https://www.moj.go.jp/isa/immigration/faq/kanri_qa.html
※本記事は2026年9月5日時点で確認できる法令・出入国在留管理庁の公表情報を基に作成しています。制度改正、告示改正、運用変更等が行われることがありますので、実際の申請時には最新の公式情報をご確認ください。