第12回
入管の「在留審査」とは?更新・変更・永住で確認される基本事項
 
 
日本に入国した後の在留手続は、上陸時の審査とは性格が異なります。添付された第10編は、在留資格該当性や上陸許可基準への適合が維持されているかだけでなく、入国後の在留状況を評価する必要があるという考え方を示しています。
 
在留審査では「現在までの在留」も見る
旧版第10編の冒頭では、在留諸審査について、在留資格該当性・上陸許可基準適合性の維持を確認し、在留状況に関して情報を収集することが留意点として示されています。更新・変更では、申請時点の契約だけではなく、これまで実際にどのような活動を行ってきたかも重要になります。
変更・更新は「相当の理由」があるときに許可される
入管法第20条・第21条は、在留資格変更・在留期間更新について、法務大臣が変更・更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り許可できる仕組みを採っています。出入国在留管理庁のガイドラインは、活動内容、在留状況、在留の必要性等を総合的に勘案する考え方を示しています。
 
永住は通常の変更より慎重な審査
永住許可は入管法第22条に基づく別の許可で、出入国在留管理庁も通常の在留資格変更より慎重な審査が必要と説明しています。素行、独立生計、日本国の利益という法定要件に加え、公的義務の履行等をガイドラインで確認する必要があります。
 
共通するのは「事実と資料の整合性」
どの在留審査でも、申請書だけでなく、雇用契約書、在職証明、課税・納税資料、家族関係資料、届出状況などを組み合わせて判断します。申請書の記載と客観資料が食い違う場合は、追完・説明の対象になり得ます。
 
実務での確認順序
このテーマでは、結論を急ぐより確認順序を決める方が安全です。まず「在留審査では「現在までの在留」も見る」を確認し、次に「変更・更新は「相当の理由」があるときに許可される」を整理します。そのうえで「永住は通常の変更より慎重な審査」と「共通するのは「事実と資料の整合性」」を客観資料に照らし、申請書・説明書・添付資料の内容が同じ事実関係を示しているかを点検します。入管申請では、資料を増やすこと自体より、法的要件と資料の対応関係が明確であることが重要です。
 
説明資料を組み立てるときの考え方
説明書を作成するときは、事実、評価、将来見込みを一文の中で混ぜないようにします。事実は証明書・契約書・記録等で裏付け、評価が必要な部分は「なぜその資料からその結論になるのか」を文章でつなぎます。資料が取得できない場合は、取得できない理由と代替資料を示します。提出後の追加資料にも同じ説明軸で答えられるよう、申請前に全資料の年月日・氏名・会社名・住所・金額を横断確認しておくと安全です。
現在の運用と審査要領をどう使い分けるか
在留中の申請は、現在までの活動実態が審査の前提になります。申請日直前だけ整えるのではなく、在職・就学・家族生活・納税・社会保険・届出など、日常の在留管理を平時から適正に行うことが最善の準備です。申請後に転職、退職、離婚、住所変更など重要な変化が起きた場合は、法定届出と審査中申請への説明を分けて検討し、古い事実のまま審査が進まないようにします。
 
このテーマで避けたい思い込み
このテーマで避けたいのは、「入管の「在留審査」とは」について一つの数字・一つの資料だけで結果を断定することです。在留審査は、法令上の要件と個別事情を複数資料から確認する手続です。インターネット上の経験談は参考にはなっても、申請時期、在留資格、家族構成、会社カテゴリー等が違えば結論も変わります。公式資料の更新日を確認し、個別事情に当てはめて判断します。
 
よくある質問
Q 更新なら前回許可と同じなので簡単ですか?
A 勤務先・活動内容・生活状況などに変化がなくても、現在も要件を満たしていることの確認は行われます。
Q 永住申請中も現在の在留資格の更新は必要ですか?
A はい。永住申請中であっても現在の在留期間が自動延長されるわけではないため、必要に応じて更新申請を行います。
 
まとめ
日本に入国した後の在留手続は、上陸時の審査とは性格が異なります。このテーマでは、単一の経験談や古い資料だけで結論を出さず、現行法令・最新の公式提出資料・個別の事実関係を対応させることが重要です。申請前に、要件、時系列、客観資料、届出状況を横断して確認し、説明が必要な点は理由書等で簡潔かつ正確に補足してください。
 
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主な確認資料・情報源
・添付PDF「入国・在留審査要領 第3分冊」
第10編 在留審査
・出入国管理及び難民認定法
https://laws.e-gov.go.jp/law/326CO0000000319
・在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00058.html
・永住許可に関するガイドライン
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan50.html
※本記事は2026年9月2日時点で確認できる法令、出入国在留管理庁の公表資料、開示資料等を基に作成しています。制度・提出書類・運用は変更される場合があるため、実際の申請時には最新情報をご確認ください。

【この記事の執筆・監修者】

申請取次行政書士 鈴木 茂(すずき しげる) 東京都世田谷区大原(京王線・井の頭線沿線エリア)を拠点とする、在留資格・ビザ申請専門の行政書士。 永住許可、国際結婚、高度専門職などの複雑な申請において、入管の審査ポイント(事実の証明と資料の整合性)を的確に押さえたサポートを得意とする。忙しい外国人ビジネスパーソンやカップルに向けた、フットワークの軽い伴走型の支援が強み。

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